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俺と使い魔の学園生活っ!  作者: ぷにこ
序章【出会い】
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06『購買部のネコメイド』

「いらっしゃいませぇ~……♪」


およそ15分掛けてたどり着いた購買部では

眠そうな女性がゆる~く出迎えてくれた。

ゆったりしたエプロンドレス、もといメイド服を着込んだ青髪の女性だ。

くるんと湾曲した巻き毛が何とも可愛らしい。

整った顔立ちは絶世のと言っても過言ではない、かなりの美人である。


「あのー……俺、萩原先生に言われてきたんですけど」


「すぅ……すぅ……」


……寝てる!? そんな馬鹿な。今の今まで起きてたじゃないか。

それともあのいらっしゃいませは無意識か。

この人は購買部の店員さんだろうか。

だとしたらこんな状態で商売なんてできないと思うんだが……


「あのー……お姉さん! 起きてくださいよ、俺どうすりゃいいんですか」


俺はとりあえず女性の肩を軽くゆすってみる。


「……ふぇ?」


「いやあの……ふぇ?じゃなくて」


「あぁ、良くお休みになられましたか……?」


良くお休みになっていたのはあんただろう。

ダメだこの人、早く何とかしないと……

ぐしぐしと目を擦る仕草は猫っぽくて可愛いが

こうもまったりしてたんじゃあまともに会話も出来やしない。

俺にどうしろって言うんですか萩原先生っ!


ふと気が付くと、レジでこっくりこっくりしてる女性のスカートの中から

細長い尻尾がゆらゆらと揺れていた。

さらに頭からは三角の獣耳らしきものが生えている。

何だろう、何故だか無性に触りたくなる。


俺はそっと手を伸ばし、目の前でゆらゆらしてる尻尾を握ってみた。

ふにゃっとしてて、ふわっとしてて、不思議な感触だ。


「ぁん…だめですよぅ、そんなとこ触っちゃ……」


女性はいつの間にか目を覚まし、悩ましげな表情で俺を見つめていた。

……神経通ってんのか? この尻尾。

心なしか女性の青っぽい瞳がうるんでいる気がする

思いっきり握りたくなってくるのは気のせいだと思いたい。が、無理だな

イタズラしたい。心の底からそう思う。

このまま尻尾を捻ったりすれば、さぞ良い声で鳴いてくれるだろう。


「その耳と尻尾…何ですか?」


「ふぇっ!? い、いや違うんですよ? これは、そのぅ……アクセサリーです」


「アクセサリーに神経通ってんですか?」


「えぇと……それは……」


女性は真っ赤になって俯いてしまった。微笑ましいな

この焦りようは……ただのアクセサリーじゃないな。


「と、とにかくっ 先生をからかっちゃダメですよ!」


女性は耳と尻尾を隠しつつ 叱るような口調で言う。なにこれ可愛い

焦るネコメイドってのは中々の萌えだな


「……先生なんですか?」


「……はい。特殊魔物科担任の暁と申します

話は聞いてますよっ 貴方、杉原圭一君でしょう?」


「(いつの間に……)」


「ここに寄こされたということは、萩原先生の手には負えないということですので

貴方は特殊魔物科に配属されることになります」


「特殊魔物科……?」


「はいっ 貴方のように特殊な魔物を使い魔にした生徒の学科なんですよ

元々生徒数が少ないので、それなりに広い部屋をご用意できますが……」


使い魔にした覚えはないが、恐らくどうにもならないので言わないでおく。

それより……


「部屋ってなんですか?聞いてないんですけど」


「そういえば言ってませんでしたねぇ

我が校では全寮制を取り入れておりますので……」


「別に自宅通学でも構いませんが」と一言付け加えて、暁先生は微笑む。

広い部屋だというのなら、せっかくだし活用させてもらおう。

荷物は家から送ってもらえばいいわけだし

色々と言いたいことはあるが、とりあえず我慢しておく。

だが……結局箱の正体はわからないままだ


「(俺は、ホントどうすりゃいいんだ…この箱なんなんだよ…)」


「どうする必要もありませんよ。ただ、可愛がってあげてください」


「えぇ!? 今俺声に出して……?」


「うふふ、独り言ですよ~♪ それより貴方の部屋は666号室です

寮棟三階の日当たり良好なお部屋ですので、一息ついては如何でしょう」


「666……何となく不吉な……」


「あ、それと……これをどうぞ。使い魔にあげてください」


暁先生がにっこり微笑みながらチョコシューを一袋、差し出してきた。


「ふふ……仲良くなるには甘いものが一番ですから……♪」


「……どうも」



袋を受け取った俺は軽く会釈し、

置きっぱなしにしていた箱を抱え、購買部を後にする。

暁先生はひらひらと手を振っていたが

購買部を出た後振り返ってみると、彼女は忽然と姿を消し

代わりに『close』と書かれた札が立っていた。




謎の箱と同じく…彼女の正体もまた、謎である

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