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俺と使い魔の学園生活っ!  作者: ぷにこ
第二章【対抗テスト】
46/114

40『使者』

~2F・休憩所前~


「杉原遅ぇな……何してんだあいつ」


「……早く入ろうよ」


2Fに続く階段の先、踊り場に取り付けられた扉の前に、浩二とスミレは立っていた。

その手には『1位』『2位』と書かれたカードが握られている


扉の傍にはハートマークがふわふわと浮いており

その周りには白紙のトランプがくるくる回っている


『あなた達……いい加減中に入りなさい……』


「後輩を待ってるんだよ、『女王様』」


「……早く行こうよ」


くいくい。

スミレは軽く浩二の腕を引っ張る。が、浩二は動かない


「にしても遅ぇな……手こずってんのか?」


「……ねぇ……早く行きましょう?」


ぐいっ

浩二の腕を引く手が紺色のローブに包まれる


「何だよスミr……」


振り返った浩二の視界に映ったのは、煌めく藍色。

仮面の下から除く金色の瞳が、冷ややかに浩二を睨んでいた


「私は空腹なのよ。圭一はきっと来るわ」


「……腹減ってるならそう言えよ」


浩二はやれやれと肩を落とし、扉に手をかける。


『……特殊科二名。ご案内……』




『(あうぅ……恥ずかしいです……)』


『あの男……殺る』


『(だ、だめですよ! そんな殺気溢れさせてたら勘づかれちゃいます……

そ、それにあの人……見逃してくれたんですよ? 気づいたはずなのに……)』


『よくも、私専用の大福を……! 絶対殺す。悪夢に閉じ込めてやるっ!』


『(専用ってなんですか!? 落ち着いてくださいっ あと静かに……!)』




「―――何か声しないか?」『!!』


『(ほ、ほら! 少し静かにしてくださいっ)』


『(んむ……分かった、分かったから口押さえるな!)』


「どうしたのですか?」


ユイが冷たい瞳で俺を睨む。

結局戦車ぶちかまし作戦は失敗に終わり、俺とユイは白い通路を歩いている

黒戦車と白衣の生徒は別のルートへ行ってしまったし……

打開策が見つからなくて苛々しているのだろうか


「いや……何か声聞こえる気がしてさ」


「貴方は何を言っているのですか。私には何も聞こえませんよ」


……おかしい。

ユイはただでさえ感覚が鋭いはずなのに……

今のユイは血の匂いも嗅ぎ取れなければ、微かな声も聞こえない。


声は俺の聞き間違いなのかもしれないが、床に滴る血の匂いが分からないのはおかしい。


……感覚が鈍くなっているのか? どうにもそんな気がしてならない


……


……まずい。これはまずいぞ。

この無限回廊を突破するにはユイの感覚が頼りだというのに!

当のユイはもはやただのケモ耳幼女と化してしまっている。


ポケットの中から俺を見つめるアリスもどこか不安げだ


これはもう、さっきのことをユイに教えて何とかしてもらうしかないな


「なぁユイ、実はさっき……」


――ちゃりんっ「?」


「……何か用ですか?ってそれは、鍵じゃないですか!」


「え? いや、これは……あれ?」


気が付くと、俺の足元に金色の鍵が転がっていた。

ユイが疑惑の表情で俺を見つめてくる


「手に入れたのならどうして黙っていたんですか。無駄な時間を過ごしてしまいましたよ」


「違う、俺は……」


辺りを見渡してみても、やはり人影は見えない。


「全く。鍵を手に入れたのならこんな場所に留まる理由はありません

さっさと『こうちょうしつ』へ戻って2Fとやらへ行きますよ」


「あ、あぁ……」


ユイは鍵を拾い上げ、スタスタと歩いていく

俺はとりあえず誰もいない無限回廊に会釈し、ユイの後を追う。



『……宜しかったのですか? ()()()


『ふん……私は借りを返しただけだ。帰るぞ(あかり)っ』


『あ、はいっ けど……リリス様とエドワード様は置き去りですか?』


『構わん。あいつらならどうせすぐ帰ってくるだろう』


『そういうものでしょうか……』


不協和音と共に無限回廊に裂け目が入り、二人の少女は裂け目の向こうへ消えた



「ここですね」


何処までも続く無限回廊の途中、不意にユイが立ち止まった

…まぁ当然真っ白な壁にしか見えないのだが。


ユイが白い壁に手を付き、力を込める。

すると、白い壁はまるで壁紙のごとく剥がれ

……立派な扉が姿を現した。


扉の上部には金文字で『校長室』と書いてある


剥がれ落ちた壁は、さらさらと虚空に消えてゆく。


「ここか……本当に幻覚の類だったみたいだな」


「……遅かったじゃねぇか」


俺が振り向くと、そこには黒い戦車があった。

白衣の生徒が砲身に座って笑っている


「あ、さっきの……」


「鍵は手に入れました。一応貴方には感謝しておきますが、手柄は譲りませんよ」


「ユイ……さすがにそれは感じ悪いだろ」


ユイが扉に鍵を差し込み、ガチャリと解き放つ。

部屋の中には高そうな椅子や机、そして大きな階段が見えた



「……行けよ」

「え……」


「この結果はお前らが成し遂げたことだ。お前らには先に行く権利がある」


「で、でも……」


「いいから行けっての。ほら、遠慮すんなって」


白衣の生徒がぐいぐいと俺の背中を押す

ユイは部屋の中に入って階段の傍でこっちを見ている

目は口ほどに物を言う。早く来いと言わんばかりだ。


「せめて、名前を……!」


「……俺の名はエドワード。とある魔界の技術者(エンジニア)さ」

「……っ!?」


――――


その瞬間、俺は突き飛ばされ校長室に転げた。


倒れる瞬間、俺は確かに見た。

無限回廊に佇む白衣の生徒と、通路を埋め尽くす真っ赤な光の群れを……


気が付いた時には、校長室の扉は閉まっていた。


「行きましょう……? ほら、立ってください」


小さな体でそっと手を差し伸べてくれたユイは、どこか大人びて見えた。

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