新年拝:プロローグ
イディンでも歳替わりは重要な節目。
新しい祝福を受けるため持たれる新年拝は、欠く事の出来ない行事です。大晦日、ラスタバンの王宮でも、翌日に迫った新年拝の準備が進んでいましたが、思わぬ障害が……!?
次から次へと襲い来る難題に、敢然(?)と立ち向かう給仕長代行。
果して王宮新年拝は、無事催されるのか!?
エリダナ姫を始め、馴染みの面々が顔を揃える、ある意味オールスター。
イディン法――新年拝についての規定
……国及び領地を支配する者の地では、以下の通りに行う。
東に向かう高き所を築き、夜明け前に、王(または領主またはそれに準ずる者)、祈祷師、竜騎士がこれに上る。王は支配を表す杖を持ち、竜騎士は力を表す剣を持ち、これらを上げて祈祷師の頭上で交える。これは蒼穹を表しており、二人は蒼天を表す青い衣を身に着けなければならない。また祈祷師は白い衣を身に着ける。これは暁の光をその衣に映すためである。
もし、王(または領主またはそれに準ずる者)、竜騎士がいない場合は、祈祷師がこれに替わることができる。ただし、必ず三人で高き所で暁を迎えなければならない。……
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法典に目を走らせたラウィーザは、大きな溜息をついて分厚い本を閉じた。身も心も疲れ果て、今にも崩れそうだったが、この長い一日に付いて報告書を書かねばならなかった。昨日からの不眠不休が彼をここまで追い詰めたのではない。張りつめた緊張の中でも、長時間耐える訓練は十分に受けてきた。ただ給仕長代行の重荷は、今まで遣ったことのない神経の酷使を要求したのである。
机の上に白い紙を置き、ペンにインクを付け、再び溜息をついてから事の次第を綴り始めた。
全ては、大つごもりの前日が雪であったことから始まった。
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