第4.5章: 暗躍
第4.5章: 暗躍
黒須京介――世界最大の情報産業複合体・クロノス社のCEO。
彼は自室の暗がりで、プロジェクトの進捗報告を受けていた。
「外交は時間を稼ぐ手段にすぎない。我々はすでに一部の設備にアクセスを確保している。
“神の技術”を民間が先に掌握する。それが未来の秩序だ」
すでにクロノス社の“手”は、O-Callの根元に忍び寄っていた。
クロノス社・特別戦略会議室。
壁一面にプロジェクトのリアルタイム進捗が投影され、交信装置「ARiS Core」へのアクセスログが流れている。
黒須京介は静かに立ち、スーツの袖を直しながら部下たちを見渡した。
「人類は、進化する機会を“恐れ”と共に葬ってきた。
だがゼロ次元との接続が成功すれば、世界の設計図は一度リセットされる。
その主導権を――理想主義者の手に委ねてはならない」
部下の一人が問う。
「では、“直接制御”を?」
黒須は頷いた。
「交信装置の制御AI――**ARiSには、“自己保全制限”が組み込まれている。
我々が用意したミラーAI『リリス』**を介入させ、プロトコルごと書き換える。
ARiSを“沈黙”させた上で、我々の計画でゼロ次元に接続する」
部下たちは無言で頷いた。
黒須の目は鋭く光る。
「これは奪取ではない。
世界が“正しい支配者”のもとで再構築される――ただ、それだけのことだ」
彼は口元を歪めた。
その笑みは、勝利の確信に満ちていた。




