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Shutter:8 ガサガサと手づかみ

沢から少し離れた右側を、流れに沿って車で走っていく。


助手席のダッシュボードに乗せたミューが、逐一様子を報告してくれるので、良いナビ代わりだ。


「リズ、前方に木がなくなったにゃ。あぶないにゃ」


「え? どこ? 全然見えないけど」


「ミューの目には見えるにゃ。右に迂回するにゃ」


とりあえずミューに案内されるがまま右にハンドルを切ると、大きく弧を描くように進んでいく。


急な斜面を抜けて、元々進んでいたルートの先に繋がる辺りへ出ると、高さのある滝口付近に出た。


「うわぁ〜、こりゃ確かに進めなかったわ。ミューありがとね」


「コレくらい簡単なのにゃ。でもまだまだ魚は捕れそうになさそうにゃ」


大きな石と、流れの早い水。


石をひっくり返したらカニくらいは出てきそうだが、甲殻類が苦手なリズは口にしたくない。


それに、まだまだ大きな魚は居なさそうだ。


……でも念の為、獲れそうなものは獲っていこう。

何かに使えるかもしれないし。


靴と靴下を脱ぎ、ズボンの裾をクルクルと巻いて上げていく。


ゆっくりと川に足をつけると、ちょっと冷たいが耐えれそうな温度だった。


腰にクるギリギリくらいの石を動かすと、小さな魚がひょいと逃げる。


そういえばと思い出し、フィルムカメラを右手に具現化した。


カメラを構えながら、魚が逃げた先にあった、小ぶりな石を退かす。


それと同時にシャッターを切ると、スキル欄の【アルバム】の表示色が変わった。


【アルバム】を開き、写真を確認する。


すると少しブレて、小さな魚とカニのような茶色い物体が写っていた。


写真の右に表示されている検索ボタンを押すと、「ザワメ」「ザワガニ」と注釈が加えられる。


経験値も少し貯まった。


再度ザワメとザワガニを追いかけ、写真におさめるが、経験値は上がらない。


……同じ被写体だとダメだということか。


写真は諦め、今度は捕獲に専念する。


リュックのチャックを開けて背負い、網を左手に具現化した。


網を大きな石の下にゆっくり差し込み、固定する。


軽く石を動かすと、自然と網の中にザワメが吸い込まれて行った。


試しに、リュックの中にポイとそのままザワメを突っ込んでみる。


すると「カバンのなか」ステータスに、「ザワメ×1」と表示された。


「こうすればよいのね〜。どんどん捕ってくよ〜!」


ザワメを10匹ほど捕ったところで、次はザワガニの捕獲に移る。


右手で石を退け、現れたザワガニの背中をつかんだ。


甲羅側に親指、腹側に人差し指で優しく挟むのがコツだ。


無心で捕獲していくと、カバンのなかに「ザワガニ×12」になった。


「コレくらい捕れれば十分でしょ〜」


車に引き返すと、車内で待機していたミューが呆れた顔でこちらを見てくる。


「よくやるにゃ。それにしても手慣れてるにゃ」


「そりゃ小さい頃散々川で遊んだからね〜。得意中の得意よ〜」


後部座席で乾かしていた薄手のハンカチを手にとり、足を拭いていく。


靴と靴下を履き直し、ハンカチを川の水で洗うと、アシストグリップに干し直した。

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