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Shutter:3 ポンコツ女神との出会い

ーーすずさん! 李寿々さん!

ーー聞こえていますか??


頭の中で、少し高い女性の声が響く。


「うるさい……」


ーー李寿々さん!李寿々さん!!


「もうちょっと……、ねかせて……」


あー、来週は七五三の撮影があった……。

シャボン玉の液、まだ残ってるかな……。


推しのコラボカフェの復活当選、入金今日までだっけ……。


ぼんやりとした意識のなか、様々なタスクがとりとめもなく浮かんでは消えていく。


……李寿々さん!李寿々さん!!!


「んー、、なに……!?」


この女うるさいな。

せっかく二度寝していい気分なのに。


ん……?

二度寝……?


なんだか背中が冷たいぞ。


嫌な予感を感じて目を開けると、地平線まで真っ白な世界が広がっている。


「へ!? ここ何処!?」


「……本当に申し訳ございません! 巻き込んでしまいました!」


声がした方を見ると、なぜだかとても焦った顔の青い目をした女性が、ポツンと置かれたコタツの中にいた。


「はぃ…?」


「李寿々さん、本当に申し訳ございません。本来、お呼びするはずだった方と間違えてあなたを召喚してしまいました」


鮮やかなピンク色の髪をしており、白い猫耳が生えている少々童顔の、たぶん同じくらいの年齢の女が、申し訳なさそうに頭を下げている。


「ここは神の世界、元いた世界のあなたは、土砂に巻き込まれて死んでしまいました。今のあなたは、魂だけの存在でここに居ます」


「は、はぁ…」


ってことは、このひと女神か……。


「私の手がうっかりと滑ってしまい、ほんらいお呼びする方と間違えてあなたを呼んでしまいました。ですので、今からあなたを別の世界へ転生させていただければと思います。」


女神は頭を抱え、こたつの天板の上に突っ伏し、あーだこーだと呻く。


「…うっかり? 間違えて…??」


え?今この人、うっかり間違えてといったよね?


一通り呻いた後、女神は姿勢を正し、こちらに向き直った。


「何か望む力はございますか…?」


え?うっかりの部分をスルーして話を進めたぞ?


「うっかり、、間違えて??」


あ!目をそらしやがった…!


「……何か望む力は……」


わぁ! 目をそらしながら早口で話題を逸らそうとしている!


「うっかりしちゃったんですか?」


「は、はい…」


女神はしゅんと耳を畳みながら、自分のうっかりをやっと認めた。

まじかー……、この女神絶対にポンコツやん。


「どんな世界に行くんですか?」


「魔法や色々な生物がいる、そちらの世界で言うファンタジーな世界です。」


え? ファンタジー!? 異世界転生じゃん! ってことは、もと居た世界には戻れないってことやんな。

うーん、どんな能力が欲しいかな……。

最近の異世界ものだと、通販とかマジックボックスが定番かな……。


「では、女神様なら私にどんな能力がオススメですか?」


せっかくの機会なので、このポンコツ女神にも意見を求めてみる。


「おっオススメ?! で、では、カメラを使えるようにすると言うのはどうでしょうか? もちろん、能力追加で!」


カメラ…?えー、面白そう!


「じゃあそれで。あ! でも、急に1人での異世界は寂しいし、女神さまにう~っかり間違えて転生させられてしまったので、責任として女神様も付いてきて欲しいなぁ〜なんて」


「そ、それはむずかしいです……。世界の維持もあるので……。そのかわり、使い魔を同じ世界に派遣します。転生後の詳しい内容については、その使い魔を通じて聴いてください」


寂しかったから、付いてきてくれないかなーってダメ元でお願いしてみたけど……。

一人じゃないようだし、よかった!!

使い魔ってどんな姿なのかなぁ……。


「りょうかいです!」


「では、転生する異世界へお送りいたします。お気をつけて。」


こうして、カメラと共に私の異世界転生が始まった。

ポンコツ女神の従魔付きで。


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