Shutter:14 補正〘ちょびっとカメラ回〙
「面白いからミューとセルの写真撮っとくか」
右手にカメラを具現化し、構える。
……が、何か違和感を感じる。
念の為、使用回数の窓を覗くと、0と表示されていた。
「あ〜。27枚撮りきっちゃったのか。どうしよ」
「スキルレベルを確認するにゃ」
ミューに言われた通り、スキル欄を確認する。
【カメラ Lv2】と赤く光り、右には「Lv Up」の表示があった。
「レベルがアップしてる! タッチしてみよーっ」
【カメラ Lv2】をタッチすると、空間からポーンと、新しいインスタントカメラが紙の袋に入って落ちてきた。
「おおっ! これで新しい写真がとれる! レベルアップすると新しいカメラが届くんだね」
「もしかしたら今後グレードアップする可能性もあるにゃ。色んなものを撮っていくのにゃ」
まずはミューとセルのくっついた姿を写真におさめる。
【アルバム】から写真を選び、タブレットに表示して、ミューとセルの前に差し出した。
すると「幸福度加点 スキル経験値+10」と、初めて見る表示が出てくる。
「ミュー、幸福度加点なんてものが出てきた。これなんだろう?」
「うーんと、なんにゃ。ふむふむ、被写体が幸せを感じると、幸福度加点というものがあるようにゃ」
セルはリズからタブレットをぶんどり、ニコニコしながら画面を食い入るように見つめる。
「被写体が幸せ? もしかしてセルが幸せに思ったのかな?」
「たぶんそういうことにゃ。ポートレート加点、ランドスケープ加点、ジャーナリズム加点なんてのもあるらしいにゃ。無能女神からの取扱説明書に書いてあったにゃ」
「トリセツなんてあるの〜!? 読むのめんどくさいから、その都度教えてね」
「やれやれにゃ」
ランドスケープということは、景色を撮っても加点があるのか。
じゃあ、今のこの池の美しさを、写真におさめよう。
天気は晴れ。風はない。
ゴタゴタしていたら日の入りが近くなっており、太陽のギラツキも少ない。
池の水面に、緑の山々が映し出されており、美しい緑が連なっていた。
池の淵に伏せ、水面ギリギリにカメラを構え、シャッターを切る。
広角レンズや望遠レンズは手元に無い上、絞りもシャッタースピードも調整できないが、これはこれで味がある。
少しぼやけていて、縁に向かって影のある、特徴的な写真が撮れた。
アルバムを開き、写真を選択すると、セルが持っているタブレットに表示される。
「わぁ! ……あれ? 僕とミューじゃないけど、きれい」
「嬉しい! リフレクションショットって言うんだよ!」
「初めて芸術的な作品を見たにゃ。やればできるのにゃ」
ミューもタブレットに寄ってきて褒めてくれる。
「リズ……、こんな綺麗な絵のなかに、僕もっと入りたい」
セルが初めて自らリズに話しかけてくれた。
よく言われる「写真を通して〜」という美辞麗句は大嫌いだが、こういう時には「幸せや美しい場面を切り取るツール」として最適だと思う。
「もっともっと撮ろう!」
セルとちょっと通じあえたな、カメラをやっていてよかった、と思える瞬間だった。




