Shutter:12 リズ無双とヌァヌ
ヌメーナをひとしきり捕獲した後、金のためにもう一度余ったガニを潰して罠を設置する。
「明日の朝に上げよう。そしたら、第一村人に遭遇するためここを出よう!」
ミューと今後の方針を擦り合わせてみることにした。
「明日までの間に、基礎のレベル上げ、スキルレベル上げ、魔法レベル上げ、どれがいちばん強くなれるかな?」
「基礎のレベル上げにゃ。身体が強くなれば、効率よく獲物を撮れるようになるし、物理で魔力をカバーできるにゃ」
「りょうかい。じゃあミューの結界を緩めて、弱い獲物だけ入れるようにしてくれる? 狩ってくわ」
「わかったにゃ」
ミューの胸元の石がうっすら青く光を放つと、空気が少しピンとはりつめた気がした。
……ガサガサ
辺りの茂みから、小さなウリ坊が飛び出してくる。
素早くカメラを構え、一度シャッターを切る。
【アルバム】が光ったことを確認すると、足元に転がっている石をぶつけて注意をひいた。
……よし!
ミューがごはんを作ってくれている間に、竹のような植物……バンビィを加工して槍をつくっておいたので、それを使って息の根を止める。
迷いは一切ない。
なんたってレベルが上がるから。
●イシィー
幼体。
石のように硬い皮をもつ。
大人になると人を殺めることができるくらいの勢いで突進する。
身は鍋にすると美味い。
牡丹鍋かー。
癖があるなぁ。
ミューなら美味しく調理してくれるか。
ステータスを開き、レベルをタッチする。
するとほんの少しだけ、バーが右に伸びていた。
……この満足感、たまらない!!
ドーパミンが溢れ出すのがよくわかる。
「次いこ! んん? こんどはうしろ?」
ミューの顔が向いている方向を見ると、大きなツノが木の間に確認できた。
そこに向かって石をぶん投げる。
素早く移動し、シャッターを切り、竹槍でトドメを刺す。
シカのような、美味しそうな腿をもった獣が横たわっていた。
●ジィガー
角は魔力の触媒となり、高値で取引される。
皮は装備品や装飾品として加工される。
肉は煮込み料理にすると美味いり
またステータスを確認すると、イシィーよりも多く、経験値を獲得できた。
こっちの獣のが効率いいなーと思いながら、亡骸を適当に車の近くに移動させる。
すると先程狩ったイシィーを、ミューが石包丁で丁寧に解体していた。
この石包丁は、ミューのふわふわな毛を汚さないようにクラフトしたものだ。
「爪より深く刺さるから、解体しやすいにゃ」
血抜きをし、適当な部位ごとに切り出すと、ポイポイとリズのリュックに放り込んでいく。
アイテムボックスに入れたものは、時間経過したないため劣化しないようだ。
そのためなるべく新鮮な状態で保管することが鉄則みたいだ。
とりあえず倒せばミューがどうにかしてくれると思い、気兼ねなく竹槍を振るう。
気分はさながら呂布か本多忠勝だ。
「うぉりゃー」
ジィガー優先で無双していると、一匹の青い鳥が空を舞う。
素早く狙いを定めて石をなげ、地面に落とす。
気絶した所を、首根っこをつかんで、カメラで撮った。
「スズメより小さい鳥だなぁ。よくクリーンヒットできたよこれ」
●ヌァヌ
幸福を呼ぶ青い鳥として知られ、その存在は幻と語り継がれる。
飼育は難しく、人に懐かない。
「幸福を呼ぶ青い鳥か〜。ごめんよぉ」
経験値が沢山もらえそうだからぶっ○したいところだが、珍しいようなのでミューにも確認してもらう。
「ねぇミュー、ヌァヌを空から落としちゃったんだけど……」
「ぬぁぬ……、ヌァヌにゃ!? 滅多にお目にかかれないにゃ!」
解体していた手を止め、呆けたような顔をしてこちらに近づいてくる。
「……ホンモノにゃ。ミューはこの世界を150年ほど旅してるのにゃ……。でも生きた個体は初めてにゃ」
首根っこを絞めるように持っていたリズから、両手で優しく受け取る。
地面にゆっくりと横たわらせると、頭に右脚を添え、ゆっくりと魔力を注ぎ込んだ。
「元気になるにゃ……。羽根を広げた姿をミューに見せてにゃ」
ヌァヌの傷はたちまち癒え、意識を取り戻す。
ファサッと羽根を広げ、動きを確認すると、驚いたように首を傾げる。
目をパチクリ大きく瞬かせると、ミューの身体に自信の身体を擦り付けて、スリスリした。
「ヌァヌって人に懐かないのでは……?」
「ミューは幻獣だからかにゃ? 傷を治したからかにゃ?」
「ぬぁぬん!」
ヌァヌは一鳴きすると、ミューの首に飾られている、青い石をコンコンと嘴で叩く。
「やめるにゃそれは古代ヌアンプト文明の遺物にゃ!」
ミューが制止しようとすると、ヌァヌの身体が深い深い青色に包まれた。
光はグングンと大きくなり、人の形に変わる。
身に纏っている衣類は男モノで、お胸は……壁のようにぺったんこ。
15歳くらいに見えるこの子は、約160cmほどと華奢だが、どうやら男の子のようだ。
サラサラの金髪に愁いを帯びた青い目、一筋の紅を差したような唇はぷっくりとしていて、見るものすべてを誘惑する。
余分な筋肉も脂肪もなく、スラリと伸びた手脚は、白くて透きとおっていた。
「ヌァヌが美少年……!」
美しいアイドルは男性女性問わず大好物なリズは、感極まり怪しい叫びを上げながら手を伸ばす。
「……僕にさわらないでっ!」
ヌァヌはパシッとリズの手を叩くと、ミューにギューっと抱きついた。
「……なんかへんなのに懐かれたにゃ?」




