Shutter:11 ぬめぬめのヌメーナ
次の日の朝。
ミューに頭をグラグラ揺さぶられ、目が覚める。
「リズ、そういえば設置した他のもんどりは、引き上げなくてよいのかにゃ?」
「うわぁぁぁ! 忘れてた!!」
急いで車を飛び出し、設置していたもんどりを上げていく。
トラップ部分を外し、網に中身をあけていった。
残っていた七つのうち、最初の三つは空だった。
「残念〜。次いこ、次っ!」
また一つと網にあけていくと、今度は黒くて細長い「ナニカ」が飛び出す。
「あばばばば、こいつ、すごいニュルニュル!」
慌てて掴もうとするが、ぬめぬめしていてなかなか抑えきれない。
首元を狙い、左手の人差し指と薬指の甲側に身を乗せ、中指で締め上げる。
すると垂れたロープのように、びろーんと縦に伸びた。
「うぉー! うなぎだ! うなぎ♪ でも何か紫?」
「とりあえずカメラで撮るにゃ」
ミューに促され、カメラを具現化し、シャッターを切る。
【アルバム】が光ったので、写真を表示し、詳細を表示した。
●ヌメーナ
表面にぬめりのある水生生物。
食べると美味しい。
とても高値で取引される。
「高値で取引されるだと!?」
目の前が金、金、金、でいっぱいになる。
「さばくのがたいへんにゃにのだけど、美味しいのにゃ。さっそく絞めるにゃ」
ーー無理ぃ!
お金にするぅぅ!
ミューの手をさっと躱し、リュックの中に放り込む。
「……ミュー、私はいま、お金がないの。今後のことを考えて、お金にしよう」
自分がそう言うと、ミューはムンクの叫びのような絶望した顔をし、うなだれた。
「それはかなしいにゃ……。骨も揚げるとおいしいにょににゃ……」
目に涙を溜めながらうにゃうにゃと悲嘆にくれるミューを尻目に、他のもんどりも上げていく。
すると残りのもんどりにも、一匹ずつひっかかっていた。
「お金〜♪ おっかね〜♪ 現実はしっかり見る〜♪」
フリーランスになりたての頃に、とてもお金に困った時期があったため、それを機にシビアになった過去がある。
一匹を捕まえたら慣れたので、手際よくポイポイとリュックに放り込んでいくと、ミューの目から一筋の涙が溢れた。




