Shutter:10 そういえば魔法って……
暗い暗い闇の中。
焚き火で暖をとりながら、ミューの毛並みを手櫛で整えていく。
「ねぇ、ミュー。そういえば魔法って、どう使うの?」
ポンコツ女神が「魔法の世界にお送りします」って言っていたような……。
スキルステータスにも【火属性 Lv1】ってあったし。
○ラとか○オとか撃てるん?
「う〜んとにゃ、こうして、こうにゃ」
ミューはぶんっと前脚を振り上げて、前に突き出した。
すると爪の先から、白く渦巻いた光が現れ、5mほど離れた木の幹に当たる。
「おおっ! ナイスコントロール! で、どうやるの?」
にっこり笑顔で再度尋ねると、ミューは両手で頭を抱えた。
「原理とかはわからないにゃ。ミューは光属性だから、なんかこう、パッとヒュっとする感じにゃ」
「ミューは感覚派なのね〜。じゃあ、えいっ!」
左手の人差し指に感覚を集中させて、前に撃ち出すイメージをする。
しかし、うんともすんともしない。
「こんどは、○ラ!」
RPGゲームのあの技をイメージしてみるが、それもうまくいかない。
「なんかにゃ、物質をコントロールするイメージかにゃ? この空間の光を集めるというか、にゃんというか……」
……物質のコントロールか。
じゃあ、マッチみたいに摩擦で火を起こすイメージは?
頭の中でシュッと木と木を擦り合わせ、発生した熱を空間に放出する。
「着火!」
すると指先から、それこそマッチの火ほどの大きさの炎が、ボッと浮かんだ。
「ついた! ちっちゃいけど……」
「そりゃそうにゃ。魔法は使うほどスキルアップして、使える魔力も威力もアップするにゃ。元からの素質も、もちろんあるけどにゃ」
ミューはまた右脚を上げると、ポンポンと8個ほど光の球が浮かんだ。
「うわぁ! 明るいねぇ。ミュー、属性ってどれだけあるの?」
「火、水、土、風、そして光と闇にゃ」
そう言うとミューは、器用に木の棒で地面に図を描いていく。
「水は炎に強い、土は水に強い、風は土に強い、炎は風に強い……」
「光と闇は互いに打ち消し合うにゃ」
「まぁポ○モンよりわかりやすいね」
おつむには自信がない自分でもどうにか覚えられそうだ。
そうなると、効率よく狩るなら風属性のモノね……。
「魔物とかっていないの? レベル上げしたいんだけど」
「この世界に存在するにゃ。近くにももちろんいるにゃ。でも今は、ミューがバリアを張っているから近づいてこないにゃ」
「そういうことね。じゃ、夜が明けたら狩りをしますか」
魔物に襲われる不安はないようだから、安心して休もう。
体を拭いて、ミューを完全に乾かした後、車の後部座席を倒して横たわる。
明日はどんな魔物に逢えるかワクワクしながら眠りに落ちた。




