ジョニーは嫉妬している
「ず・る・い・ですわ!」
彼女はなんか怒っている。昼休みでみんなで円になりながらご飯を食べている。目の前で叫んでいる、金髪のあの子は何かに触っているようだ。お弁当の白ごはんを口に入れながら見てる。ピョンピョンと跳ねている様子は見ていて元気があるとは思うな。
「わたくし、彼と一緒におでかけしてませんわ!」
大分キレてる部分がおかしかった。
「俺だってまだ行ってないぞ」
会長は正座をしながら、おにぎりを小さく食べている。モグモグと食べている、この中で一番身長が小さいからか、小動物みたいな可愛さがある。
「あなたは放課後いつも連れて行ってますから、ノーカンです!」
「おう」
勢いに負けてた。
「じゃあボクだって行ってないよ」
隣にいた放が立ち上がり、意見する。
「あなたは〜」
ずんずんとこちらに向かってくる。
「同じ部屋にいるからノーカンですわ」
「はぁ」
「でもずるいですわね、あなたも」
口をムッとしたような感じで、言っていた。
「それはごめん」
多分だけどほんとに謝ってるんだろうな。
「じゃあ、一緒に行く?」
僕は立ち上がり、ジョニーの手を握る。
彼女はかぁ〜と顔が赤くなり、こちらの見る目が泳ぐ。「「へ?」」とか周りから聞こえた。
ー
ということですので、わたくしは今正直心が踊っています。ドキドキと音が鳴るのが聞こえますわ。
まさかあんなことになるなんて神様がいるのなら、キスをしてあげますわ。いやキスは彼のために残したいから今のはなしですわ。自分の格好を部屋の鏡で見る。白のトップスに黒色のスカートを着て自分でも思いますけどとてもいいもんですわ。わたくしに似合ってますわ。ふふんと鼻歌だって歌いたい気分ですわ。ピンポンと音が鳴る。
「は〜い、どうされました」
自分でも分かりますわ声が高くなっているのが。
ドアを開けるとそこに立っていたのは彼が立っていた。居てくれるのは嬉しいんですけど、ファションがすんごいですわね。半袖で長ズボンとこれだけ聞くと普通に聞こえますが、柄がすんごいことになってますわね。全身虎柄とあります。彼の目を見てみるとぐっすり寝てスッキリしたような顔をしてますわ。
「失礼だったら申し訳ないですがパジャマではないですわよね?」
「?」
ものすごく不思議そうな顔をしている。違う、この人パジャマじゃないですわ。普段着がこれですわ。
嘘ですわ!信じられませんわ。え?だって遊園地の際はマトモな服を着ていたんじゃないの。誰かコーディネートがいたんですの。
くしゅんとどこからが音が聞こえた気がしますけど気のせいですわ。
「その格好で行くんですの」
「うん」
わたくし百年の恋が冷めそうですわ。いやいやこういう考えだと顔だけでキュンときたそういう感じになってしまいますわ。ごほんと咳をしてわたくしは背を伸ばして彼に手を伸ばしますわ。
「では、このレディをエスコートをお願いしますわ」
「うん、そうなんだけどさ」
彼は少し遠い目をしている。
「わたくしになにか問題でも?」
「いや、そういうことじゃないんだけどさ」
「では何がありますの」
「その場所がね」
わたくしは?を顔で出してしまいましたわ。
「温泉なんだけどさ」
「え!良いんですの!」
「そんなに驚く」
「そりゃ驚きますわよ」
「準備がこんだけしか用意してないんだよね」
彼は着替えを見せてましたが、思ったより少ないですわね。
「ちょっとお待ちください」
思いっきり扉を閉めてしまう。どうしましょう〜!思ったよりグイグイですわ。着替えは、、、これにしましょうか。通販で買った派手目の下着一式が出てくる。いやいやありえないですわ。でももし、万が一がありますから、そう、そうですわ。でも一応普通のも持っていきましょうか。バッグを用意して荷物を入れましょう。
「できましたわ」
だいぶ慌てましたが、関係ありませんわ。
「うん、じゃあ行こうか」
彼は右手を出してわたくしに手を差し出しましたわ。
「ではお言葉に甘えまして」
彼の手を握る。まさかこの日が一番わたくしにとって激しい日になるとは思いませんでしたわ。
ー
バスを降りてわたくし達が向かったのはスーパー銭湯でしたわ。どうしてですの?
「さぁ、行こうか」
すごくキラキラした瞳ですわね。わたくしが悪かったんですの。
「すいません、二人で予約していた者なんですが」
「はい、こちらをどうぞ」
カウンターから一つの番号のキーホルダーがついた鍵をもらう。
「ということで今日は泊まります」
「はい?」
わたくしの聞き間違いですの?夢でしたわね、まだ。
「ねぇ、急に顔が真っ赤になってどうしたの」
「あなた、刺されますわよ」
「え?」
あら、本心が出てしまいましたわね。
「いえ、ありがとうございます。お部屋はどこになっていますの」
「うん、一緒に行こうか」
彼はわたくしの手を握って移動する。
ぐっと力を込めて移動されますの。まだ夢ですわ、あまりにも現実離れしてますわ。でも覚めたくないですわね。
「で、ここが部屋なんだけど、、、」
部屋に入ってわたくしは思いますわ。身体が熱くなるのを感じていますわ。あと正直、激しい心臓の音で彼の声があまり聞こえませんわ。
胸に手を当てなくても聞こえてくる心臓の音。思いっきり息を吐き、整える。
「でねここの温泉、混浴があるみたいーー」
こんよく 混浴!
「え!」
「うわ、びっくりした」
目を点にして彼は驚いていた。
「混浴ですか?」
「うん、混浴」
「わたくしと一緒にですか」
時が止まるそんな音が聴こえましたわね。
彼の顔がだんだんとですが紅くなっていきますわね。
「あの、その、僕もだいぶ男なんだよね」
わたくしは唾を飲んでしまいますわ。
「大事にした方がいいよ、自分のこと」
わたくしはだいぶ心の中が乱されました。ありえませんわ、彼に言われてるんですの。あの鈍感な彼に言われてるんですの。
「あのですわね、お部屋で二人いること自体変ですわよ」
「そうなんだけどさ、急だったから心配しないで」
何を心配すればいいんでしょうか。全部心配することしかありませわ。
「分かりましたわ」
何が分かったんですの、わたくしは。落ち着きすぎてますわ。
「じゃあ、ここからは別行動で」
彼はそう言い、部屋から出て行こうとする。
「え?」
「へ?」
「わたくし、初めてですわよ」
「うん」
「あなたは?」
「何回も」
「では教えてもらっていいですか」
彼は目が点になっていた。そんなにですか。
「いいけど、、、」
そんなに渋ります?
ー
「とは言いましたけど、お嬢様に教えることなんてないよ。お風呂だもん」
二人で隣になりながら、廊下を歩く。
「そうですけど、最初はドキドキしません?」
「それはそうなんだけどね」
正面に看板が映る。
「あぁ、流石にね」
入り口は二つに分かれていた。
ちょっと私はムッとしてしまった。
「ではお風呂場で待ってますから」
「うん、ちゃんとタオルを巻いてきてね」
「わたくしを舐めないでください」
一歩ずつ気合を入れて、暖簾をくぐる。
いやいや、やっぱり緊張しますわ。ふぅと息を整える。れ、冷静に考えて男の人と入るのが初めてなんじゃないですの。父親の顔が出てきそうになるが、ブンブンと首をふる。あの人は違いますから、ノーカンですわよ。ノーカン、ほんとに。
「お姉ちゃん、どうしたの」
「はい?」
ちっちゃい子がわたくしに話しかけて来ましわ。
何回も思いますが、こういう子を見ると良いですわね。
「そのね、お父さんから聞いたよ。変な男と付き合うと後から苦労するよって」
「な、何を言ってますの?!」
な、なんなんですの。この子供!マセすぎませんか!
「それは多分ですけど、その通りですわね」
「そうだよね、お父さんの言う通りだね」
じゃあとドタバタと浴場に走っていた。
な、なんなんでしたの、今の。ふぅと、服を脱ぎカゴに入れる。タオルを一枚取り、バスタオルを身体に巻く。鏡を見て、わたくしは思う。自分の身体は彼にとって必要とされているのだろうか。いや、何を考えているのだろう。出てるところは出てますし、お腹だってベッコリ行ってますわよね。むぅとまたなってしまう。
「わたくしだって他の子と比べたら全然ある方と思いますけど」
バスタオルを身体に巻いてお風呂の扉を開く。
ガラッと音をたて、外に出る。思ったよりまだ寒いですわね。
「お姉ちゃん!」
さっきの子供の声がする。バッと顔を上げるとそこには黒い機体が目の前に立っている。
「はぁ?」
『よく来たな』
「いや、よく分かりませんが」
『そうか、では始めようか』
黒い機体は子供を連れて外に出てく。
「いや?!やってることヤバすぎませんか」
タオルが宙に舞い、わたくしは髪の毛の中にいれておいた宝石を手に取り、機械を纏う。
刀を取り、真っ黒の腕を斬る。ちっちゃい子が腕から落ちる。お父さんみたいな人がキャッチする。
「すいません、ありがとうございます」
「いいえ、安全なところに避難してください」
黒い機体はモノアイをぐるぐる回す。何をするかわからないため、その場で止まってしまう。
「大丈夫?!」
彼が男の浴場から出てくる。機械を纏って黒い機体を倒している。
わたくしが目を一瞬彼に向けた時、黒い機体は光を放った。
「あ?」
「え?」
黒い機体は空に飛んでいた。そして彼も一緒に飛んでいた。
わたくしもぐっと力を入れ、空に上がる。
遅れてしまった!
宙に上がり、空を見るとすごい勢いで落ちていく彼と黒い機体があった。ですが彼の反応があればそこに落ちたらいいですわ。
閃光が目の前を通る。
反応に一瞬追いつけなかったわたくしは腕に当たってしまった。ぐぅと痛みがきて、身体がぐるっと回ってしまう。舌打ちをしてしまう。そのままの勢いで地面に叩きつけられてしまう。大きな音を出して落ちてしまう。アラームが鳴る。思った以上にダメージが大きい。身体自体に傷はないが、機体がダメかもしれない。ほんとはもう解除して、オーバーホールした方がいいが。その、、、格好が悪すぎますわ!
どうすればいいんですわ!裸で草むらを歩くなんて痴女、ヤバい奴ですわ。まずは彼を探すところから始めませんと。通信は、、、出来ませんわね。こんな温泉の近くに組織があるのはあまりにも想定外ですけど。マーカーが動いているのでそこまで行きますか。足は動きますわね、腕も特に問題ないですわね。胸の部分にガッツリ焼けた跡がある。思った以上に焼けてますわね。貫通されてたらわたくし終わってますわね。ただもう一回撃たれますとどうしようもないですわね。ゆっくりと歩き出す。
ー
目の前で彼女が撃たれて怒りが湧いてくるが、まずはこれを片付けないと。一緒に地面に叩きつけられる。いったぁ!腹の部分が痛くなる。軽減されているが痛いのは痛い。目の前にビームが飛んでくる。これは喰らえない。スロットを選び、装備する。直撃が当たる。だか盾がそれを守る。自分の身長ほど高い盾が目の前に4つ見える。
「あのさぁ、意外と高いんだよ!」
ビームが当たった盾を投げつける。爆発が起こる。
黒い機体はこちらを見て、後ろを振り向いて走っていた。マジか!ガシンガシンと音がなりながら、走っていた。僕も追いかけないと!
「待ってくださいまし!」
ジョニーの声が後ろから聞こえる。胸の部分が焦げていた機体でこちらに手を振って来ていた。
「えぇ?!その機体大丈夫なの」
「全然、大丈夫じゃないですわ」
「じゃあ、早く解除しないと」
ギロっとこちらを睨みつける。
「ごめんって」
「今、あなた解除したら裸ですか」
「えっ?」
「今、何か着てますの」
「いや、ズボンしかないけど」
「そうですのね」
彼女の気分が下がっていた。なんとなくだけどわかった気がする。
「盾しかないけど、いる?」
「その重さどれぐらいですの」
「あぁ、えっとこれが炸裂ボルト入ってるから60くらいで 。こっちが閃光弾が入ってるから、軽いけど50くらいかな」
「そうですわね、そしたらその50の、、、いや無理ですわね!!」
ノリツッコミしてくれた。意外と元気なのかな。
「そしたらあの黒い機体、追うしかなくない」
「そうですね!!」
声がデカすぎる。
ー
「ごめんね、お姉ちゃん」
「大丈夫だから、もっと優しく」
私はお姉ちゃんを背中に持ちながら、移動する。
「でもそんな傷だらけなんだから、早くしないと」
「だから!その動くので痛いの!」
「我慢して!お父さんに見てもらうまでなんだから」
「しょうがないけどさ」
大穴が見えるところまで移動する。まさかあそこにあの二人がいるとは思わなかった。油断した、完全に。若い子だったらなんでもいいとお父さんは言っていたから。だから空から見た時に子供が見えたから攫おうとした。そしたらあの二人がいるのは知らなかった。
でも、いいよ。彼らの戦いをこの眼で見ることができた。これをお父さんに持っていったら喜んでくれるだろうな。
息を切らしながら、穴の中に入っていく。
「お父さん」
「なんだい」
ヒゲを生やした白髪のお父さんがいる。
「見て、あいつがいてさ」
お姉ちゃんを背負いながら、お父さんに話しかける。お父さんは優しくて、私の話を全部聞いてくれる。今あったことを全部話す。
「うん、大丈夫だよ。見てたから」
「じゃあ、お姉ちゃんを助けて」
お父さんは少し笑って指を指す。
「いいよ、じゃあ。外に車を準備してるから」
「お姉ちゃん!早く行こうよ!」
「うん、わかった」
お姉ちゃんの声は少し低かった。
ダッシュで背負ったまんま走り出す。
「お姉ちゃん!一緒に出よう!」
「そうだね、大好きだよ」
「急にそんなこと言うなんて変だよ、お姉ちゃん」
ー
「会話を盗み聞きするなんて趣味が悪いよ」
「いえ、たまたまですわ」
刀を取り出し、空を切る。
「ですが、あなたのような非道には関係無いですわね!」
相手の前に加速をかける。
「イヤァ、急に切り掛かるなんて酷い奴だね」
彼女はひらりとかわす。
チッとわたくしは舌打ちをしてしまう。
「その機体のダメージじゃあ、それくらいだろうね」
「何を見通してますの!」
「うん、そうだね。君の戦い方とかかな」
「なら!これはどうですわ!」
刀を地面に突き立て、足蹴りをかます。
「へぇ、君ってそんな下品なことができるんだ」
「黙りなさい!あなた、私の父親ではございませんよね!」
「でもね」
私の蹴りを思いっきり受け止めた。
「彼女達のお父さんだからさ」
複雑そうな顔をしてわたくしに銃に向ける。
音は無いが、確かなダメージがある。しかも傷がついた場所を正確に打ち込んできた。
「それであの子を撃ったのに」
彼女はふぅと銃に息を吹きかける。
「なんだ、見えてたんだ」
「どうしてそう、簡単に命を奪えますの」
心の中がグツグツと煮える。
「あんな出来損ないに何を感じてるんだ」
ぐっと目を凝らしてしまう。
「だって、あれは私が生み出したもんだ。私に全部あるんだ。どうするかは私自身だ」
心の中の炎が消える。刀を下ろす。
「あなたって毒親ですわね」
「なに?」
「だから、毒親って言ってますの」
彼女は少しばかりか怒りの表情を見せる。
「はぁ?」
「だって子供なんて手がつけられませんわ」
「何を言ってるだ」
「怒って泣いて、笑って喜んでそんな姿が子供ですわ」
「だから何を!」
ドンと彼女は地面を蹴る。
「自分の思い通りにはならないってことですわ」
チッと舌打ちが聞こえる。銃をこちらに向ける。
もう見えていれば、関係ない。
刀を銃口に向ける。そのまま銃ごと彼女を斬る。
「は?」
驚いた顔をしている。
「わたくし、こんな器用なことだってできますのよ」
刀を背中に収納し、後ろの彼女に振り返る。
正直、ボロボロの機体で一回しか出来ない加速を使うことができた。まぁ、これ以上使ったら、強制的にオーバーホール行きですが。
彼女の機体は倒れ、纏っていたのが外れていく。
「さて、彼を探しますか」
ー
これは、、、なんだ。目の前に広がるバラバラの人、人、人。喉に何かが込み上げてくる。飲み込む、飲み込まなければ、僕は、私は。気味が悪い。盾を構え、撃つ構えを取る。すると目線の先に先ほどの黒い機体が歩いている様子が小さいモニターを通してみれた。音声も聞こえているのか。
「あのね、お姉ちゃん。外に出たらさ、温泉とか行こうよ。結局行けなかったからさ」
「だからさ、一緒に行こうよ。昔みたいにさ、お姉ちゃんと二人きりで」
「もう、私の方が身長高いだからさ」
誰に言っているんだ、こいつは。だってもう、後ろのお姉ちゃんとかいうのは、、、
「ほら、光が見えてきたよ」
ピイと音が聞こえ、その時であった。首が跳ねる様子が目に映った。
それを目にした時、私はもう盾に指を掛けていた。
目の前が爆発が起きる。自分にも爆風が起きるが、関係無い。もうあんな子がいなくなる、それがいい、そうじゃなければ生きている意味がない。
「何をしていますの!」
ジョニーの声が聞こえた。今、俺は何をしていたんだ。手が信じられないくらい震えている。これが今の自分がしてたことなんて、また上に上がってくる。
「ごめん、頼むから。俺を斬ってくれないか」
そんな言葉が出てしまった。
彼女は微妙そうな顔をしていた。
「そんなことを言っても、わたくしにはどうにもできませんわ」
「え?その刀は」
「もう機体自体がボロボロですので、歩くのが精一杯ですわ」
「だったら「もういいですわよ」
言葉を遮ってきた。
「まずはゆっくりお話でも聴きますから」
「だって、俺は今たくさんの命を」
「今はいいですわよ」
言葉がぐっとなって口から出てこない。
グラグラと揺れる。
「このままじゃ崩れますわよ」
「じゃあ、出ようか」
彼女の機体を手に取って走り出す。
「これ崩壊する方が早くないか」
「そうですわね」
「冷静だね」
「まぁ、あんなに撃ってたら崩れますわよね」
「じゃあ、二人とも潰される?」
「なんてことを言いますの!」
「でもこのままだと、確実に潰れない」
盾や装甲を外せば、俺だけは生き残るかもしれないけどそしたら彼女は。
「あの、わたくし後一回は出せますので、タイミングを合わせてください」
「そうなの」
重たいものを外し、その場に捨てる。こういうのをすると後から整備の人にバチギレされるけどしょうがない。
「では、タイミングを合わせて」
「うん」
ぎゅとお互いの手を握り、彼女の加速に耐える。
ぐっと身体に重さがくる。こんな速度を彼女は毎回耐えているのか。光がみえ、外に出る。
「では、わたくしこれで終わりますので早めに戻ってくださいね」
彼女の機体が無くなり、裸が見える。
「は、はい!」
彼女の身体を持ち上げ、なるべく見ないように露天風呂が見てるところまで移動する。
ー
湯煙が舞い、ちょうど良い温度の中、俺は銭湯に入っている。正直あの時のことは覚えていない。覚えていない感覚があるのが怖い。右手を湯船から出し、自分の指を見る。ここに入った時に気づいたんだけど、俺の指なんか女の子ぽくね。いや、どこからこんな指になったんだ。昨日はなんてことなかったんだけどな。相談しようとしてもなんて言えばいいんだ。いやぁ、俺の指が女の子ぽくなってさ。みんなの反応は多分だけど、困惑な気がするな。
がらっと音が鳴る。
「入ってますよ」
「はい、知ってますわ」
聞き覚えがある、というかさっきまで一緒にいなかったけ。金髪のロングヘアーがタオルを巻いて入ってくる。
「え?!」
思いっきり立ち上がる。
「いや、混浴ですわよ」
「そうか」
納得して入り直す。いや、うん?え?うん。
う〜ん?いやうん、混浴だもんな。ほんとか?
バシャンと音が鳴る。いやいや意識しすぎだから。
「裸を見られてますから、わたくしは」
「その節はすいません」
「いえ、別に、いいですわよ。ほんとに怒ってませんから」
「それ、怒ってる人がやるやつじゃん」
「全然、もう、大丈夫ですわよ。若き乙女の裸くらい、見慣れてますわよね」
「見慣れてないよ!俺は!」
「でも女の子の裸は二度見てますわよね」
思い出す、いや、だってあれ不可抗力みたいなもんだし。
「鼻の下伸びてますわよ」
「え?!」
鼻の下を触る。
「エッチですわね」
顔が赤くなるのを感じる。
「そりゃ、俺だって思春期なんだからさ」
「そうですか」
ピチャピチャと音がなりながら、こちらにくる。
「ではわたくしが教えてあげましょうか」
ゆっくりと湯船に入っていく。
「へぇ?!」
意識が飛びそうになる。
「いやいや、そんなねぇ」
ふにっと何かが背中に当たる。いや、考えるな!考えたらまずい!
彼女の顔が後ろに見える。
「どうですか、わたくしなら満足できると思いますわよ」
俺の右手を触り湯船から出す。
咄嗟に俺は触った手を振り払う。
彼女は驚いた顔をしていた。
「その、わたくしではダメですの」
「いやいや、全然そんなんじゃなくてさ」
手をブンブンと振る。
「では、どうしてそんな態度をとりますの」
「ち、ちがう。俺だって嬉しいけどさ、その雰囲気があるじゃん」
「それは、あるかもしれませんわね」
あ、納得してくれるんだ。
「だからさ、こういうのって好きな人とするのがいいんじゃない」
バシャンと思いっきり彼女の態勢が崩れていた。
「そ、そうですわね」
「うん、じゃあ先に上がるね」
頭につけたタオルを手に取り、扉に手をかける。
「まだ入ったばっかりですわよ」
「それは」
「あ〜あ、このままだとわたくしは皆様になんて言おうかしら」
「えっ?」
「いやぁ、このまま二人きりで裸の付き合いをしたと言ったら、皆様どんな反応されますでしょうか」
おや、なんだか状況がめちゃめちゃ悪くなってないか。
「その、どうしたらいいんでしょうか」
敬語を使ってしまうくらいには冷や汗が流れる。おかしい、身体が暖かくなったのにちょっと寒い。
「では、わたくしともっと二人きりで遊びましょうよ」
「あぁ、それだったら全然」
「言いましたわよね」
「はい、男に二言はございません」
フッと彼女は笑った。
「じゃあ、この後お父さまのところに一緒に行ってもらっていいですか」
「それくらいなら全然」
バシャと音が鳴る。後ろを振り向くとぐっと拳を握っていた。
「ではよろしくお願いしますわね」
あぁ、多分だけどいやな予感がするな。




