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『五十人からの人々』

 その日の夜、すっかり日が落ちた広場に、五十人からの人々が集まっている。

 エリックの呼びかけと……昼間の悪態が聞き捨てならない、と勇んで集まった人々だ。

 そういう理由だから、エリックに反目してもおかしくなかったが、真央界からの脱落者を一人救ったことが考慮されて相殺された。ただ、サブリーダーに推されたのは仕方なかっただろう。

 集会の挨拶はサブリーダーから。

「えーっ、今日ここに集まってもらったのは他でもない。霊長砂漠の砂漠化防止に必要な、戦争なんかで蓄積された負のこごりを除去するためだ。後々の段取りと精霊界の兼ね合いもあって、すぐに取り掛かる必要がある。そこで急遽、今夜決行となった。ここまではいいか?」

「おーっ!」

 そう言ったメンバーは、二十~三十代の若者が多くを占めていた。

「対処するのが負のエネルギーだけに、夜ともなればおどろしさも満点だ。みんな幽霊は怖くないか――? あれっ」

 水を打ったように静かになったと思うと、全員の罵倒がエリックに浴びせられた。

「アホかー! 怖くないわけあるかーっ」

「不安煽ってんじゃねぇよ」

「祟られたら、呪ってやるぅ」

「そいつの対策はできてんだろうな?!」

「塩持っとけ、塩」

「マジかよ、洒落になんねぇって」

 ざわめく人々をなだめたのは、最高責任者のレンナだった。

「あのっ、各班に私の使役精霊の炎の猛禽(フレイム・ラプター)を分霊して先導させます。フレイム・ラプター!」

 すると、夜の闇に橙の炎が上がり、尖った嘴と鋭い翼の巨きな鳥になって、レンナが差し出した細い腕にとまった。

「この子です。いざとなったら皆さんの盾になるように指示しておきます。もちろん、皆さんの手に負えない魔物の類はいませんから、安心してください」

「おお……」

 その統制が取れた主人ぶりに、感嘆の声が上がった。

 しかし――。

「でも、幽霊はいるわけね」

「確定って感じ?」

「ついでに浄霊して成仏させれば? ちょうどほら、星の野原が近いことだし」

「うげっ、魂浄めってどうやるんだっけ、覚えてねぇし……」

 明るいところで仕事できるとわかって、ちらほら前向きな意見が出てきた。

 エリックは両手を合わせてレンナに詫びて、意を得たりと話を続けた。

「——というわけで、作業中の安全は保障されている。この機会に夜毎の悪夢の元凶をふん縛っておけば、夜泣きの子どもから霊能者まで安泰間違いなし。ここは全員に気張ってもらいたい」

「本当かなぁ」

「まぁ、確かに、悪夢は霊長砂漠から砂に乗ってやってくる、って言われてるけどな」

「あながち間違ってないらしいぜ。あそこって銀霊鳥になり切れなかった魂が落ちるところなんだってさ」

「へぇ……そいつが負のこごりと結託してんのかね」

 エリックはさらに声高に言った。

「真偽のほどは自分で確かめてくれ。作業の内容は説明したとおりだ。浄化作業の応用になる。各自、習得した技能の復習だと思って、大いに頑張ってほしい」

 高く拳を突き上げる。

「それじゃ出発。往くぞ!」

「おおーっ!!」

 心を一つに五十人は霊長砂漠に向かう。

 目指すは負のこごりの完全除去。

 そして、自分たちの未来に希望を見い出すために、持てる力のすべてを出し切る。

 彼らの肩にはパラティヌスの……引いては世界の安定がかかっていた――。












 

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