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『童話の里』

 因果界パラティヌス上層、童話の里——。

 ちょうど南端国メーテスの東街の上層にある、昔ながらの小さな里村である。

 万世の秘法に携わる位階者が、こだわりなく集う場所なので、いつも賑やかだ。

 里村の家々はすべて宿泊施設。茅葺き屋根に石壁の、小さくて素朴な家ばかりだ。

 中心には広場があって、これまた小さな噴水がある。

 広場を囲む露店では、農作物や料理、花や飾り物、古本などを置いている。

 今風にオープンカフェもあって、木製のテーブルと椅子にかわいらしい刺繡のクロスが掛けられていた。メニューは野菜やチーズのサンドイッチ。手作りヨーグルトにジャム。全粒粉で作ったお菓子に、フレッシュジュースやハーブティーと、オーガニックなものばかり。変わり種でおにぎりカフェなどもある。

 これらはすべて、万世の秘法が運営しているのだ。

 

 エリックとゲイルが童話の里を訪れた時には、とっぷり日も暮れていた。

 道すがら、いろいろなことを話したので、ゲイルもここがどんなところだか、何となくわかっている。

 エリックはゲイルの様子を見ながら、話をしたので、特に混乱もなかった。

 だが、さすがに乗り物が牛車で空を飛んだ時には、ゲイルは目眩を覚えたらしく、こめかみを押さえてしばらく黙り込んでいた。

 おかげでここが因果界であると、完全に飲み込んだのだが。

 それでも、命を絶とうとした理由については、話さずじまいだった。気持ちが落ち着いたらでいいとエリックが言ったので、ゲイルも打ち明けなかった。

 不思議なことに、童話の里に着いた途端、猛烈な眠気がゲイルを襲っていた。このところまともに眠っていなかったからなのか、自分に今起こっていることが信じられないからなのか、判断できなかった。

 エリックに言うと、まず食べなきゃダメだ、ということになり、宿に入ってこれでもかというほど食べさせられた。

 何とか風呂にも入り、ベッドに潜り込んで目を閉じたら、あっという間に深い眠りに落ちた。

 そして五日間、目を覚まさなかったのである。














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