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序章

「それでは数日前、新たに修法者(エターナリスト)に認定された、万世の魔女の処遇について、話し合いたいと思います」

 長円形のテーブルを囲んで、白い法衣姿の尼僧たちが、十人ほど集まって会議をしている。

 周囲は霧のように霞み、その場だけがぼんやり明るい。

 尼僧たちはフードを目深にかぶり、口だけぽそぽそ動かして話していた。

「弱冠十二歳ということでしたねぇ。またずいぶん認定を急いだもの」

「修法者の仕事を任せるには、早すぎますわね」

「やはり、ほかの修法者の下で経験を積ませて、実績も十分となった時に、独り立ちさせるのがよいかと」

「ですが資料を見ておりますと、思考力・判断力・技術力とも申し分ないように思えますが……」

「実際のところ、すぐにでも仕事に就いてもらいたい状況です。修法者は絶対数が足りませんから」

「かと言って、十二歳に任せるというのは……」

 話はいつまでも平行線をたどりそうだった。

 すると、テーブルの上座に、いつの間にか三人の尼僧が増えていた。

 一人は椅子に座り、二人はやや後方に立って控えていた。

 左にいた痩せた尼僧が屈んで、座った背の低い尼僧に申し伝える。

「いかがいたしましょう、万世の占術師様」

 その声に場が静まり返る。

 万世の占術師は銀髪を二房に分けて髪留めで括り、紫紺の瞳を持った老尼だった。

 一同を眺め渡し、語りかけた。

「各々がた、思うところが多々あるようじゃが、万世の魔女が修法者だということをゆめゆめ忘れてはならない。この者が若かろうと、経験が浅かろうと、修法者の認定を受けたからには厳しい仕事をこなしてもらわなければならない。どうだろう、案件を一つ、すべて任せてみては?」

「と仰いますと……事案から手配、実践まですべてでございますか?」

「そうじゃ。国を丸ごと見た時、綻びを正しく見極め、最優先の案件は何かを判断し、きちんと世界ぜんたいとの調和が図られているかどうか、照合しながら解決する。それができてこそ修法者じゃ」

 尼僧たちがざわめく。

「それでは、霊長砂漠の砂漠化防止をお任せになるのですね」

 霊長砂漠プライメイト・デザート——。

 西のパラティングス大樹海の東端に広がる砂漠である。

 七宮廷国のパラティヌスとウィミナリスの西端に連なる、ストルメント山脈を隔てた場所にあり、かつては草原が広がっていた。

 しかし、古い戦争での搾取や過放牧による荒れ地化などで、生態系がほとんど成り立たない、死の砂漠になりつつあった。

 そのせいで、大樹海や海で作られる雨雲が、砂漠の放射熱で小さくなったり、逆に夜は急激に空気が冷やされて、砂漠に雨が落ちるのだった。

 おかげで雨雲が山脈を越えられず、パラティヌスとウィミナリスは深刻な雨不足に陥っていた。

 これは万世の占術師こと、パラティヌス統治者、ウェンデス・ヌメンにとって、最も憂慮すべき問題であった。

 ウェンデス統治者はこう宣言した。

「では一時的に、私の権限を万世の魔女に委譲し、問題解決に当たらせる。よろしいな、各々がた」 


















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