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ホロビタセカイデバケモノノタビ  作者: ウラエヴスト=ナルギウ(のペンギン)
36/51

其の十九 夏日 二

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


……と言うか文句はペンギンに言って下さい。

「……さて、フラマ君。何か弁明は?」

「……いえ……何も、ありません。陛下」


 今、私の前にいるのは、国王陛下である。あの温厚な陛下さえも、顔を顰める程のこと。


 ……いや、全て私の責任ではあるのだが……。


「観測史上初めてだよ。夏日を観測したのは。幸いにもあの地域全体だけであり、他の地域では影響が少ないとは言え……しかもその原因が、ナナシ君だと言うじゃ無いか。命令を下したのは君と言うのだから驚きだ」

「……彼に、責任はありません。事前に予測し、それに備えることも十分出来たはずであり、此度の件は私の責任です」

「……まあ、咎めようと言う訳では……いや咎めるべきなのだが……。……倒れた者もいると、聞いたのだが」

「……熱中症で、二十三名程倒れています」

「バプテスマの発生による、有意義な情報はあったのか。それによっては……評価が多少変わる。それでも管理不足だったのは変わらないがね」


 有意義な情報はあった。この気候から予想出来る。


「この雪は、科学では説明出来ない未知の手段で降っていることが判明致しました」

「ほう、と言うと」

「ナナシが持っていた大量の文献。及び資料。本で纏められていましたが、ある程度の信憑性があると判断しました。その本の中に書かれていた、雨が降る理屈。原理は解明されていますが、詳しいことはまだ分かっていないので、彼処まで事細かに書かれているとは驚きで――」

「話がズレているぞ」

「ああ、申し訳御座いません。雨が降る原理は、空気中に含むことが出来る水蒸気の量を超えることで、雲からその水蒸気が集まり雨となって降る。簡単に言えばこんな感じです。つまり雪はそれが凍った物、つまり原理は一緒です。凍っているか、溶けているか、その違いです」

「……つまり何が分かったと?」

「メルトスノウでは、今日雨を観測していません。曇りではありますが、日差しが強く差し込む薄い雲が空を覆っています」

「……成程、偶然とは思えないな」


 今日も雪が降るなら、その雪が溶け、気候は雨になるはず。にも関わらずメルトスノウでは雨が降っていない。今日が偶然にも雪が降らない日だったのか、それは確率的にほぼあり得ない。


 まずナナシが原因だと思われる雪が降らなかった時期は、雲が無く晴れていた。その違いがある。


 雪が溶ければ水になる。常識だ。実際メルトスノウの何割かの飲用水はその積もった雪を溶かしている。あの雪は溶けて、水になる。当たり前で、産まれたばかりの幼子でさえ知っている常識だ。


 ならば何が起こっているのか。ナナシの魔力放出に影響して、何か影響が変わったのか。だがあの程度のバプテスマで世界に降り積もる雪に影響を与えるとも思えない。雲は数百km上空にある。影響が届くはずも無い。


 ……人為的な、それでいてナナシがそれに深く関わっている。その予想は出会った当初から考えていたが、この件で更にその仮説は信憑性を増した。


 ナナシの膨大な魔力放出。その結果何者かがそれを察知。そして雪を、その周辺の降雪を止めた。容疑者としては……ナナシと、七人の聖母達のことを知っているあの銃を持っている複数人。


 ……それなら何故今までして来なかった。それにメルトスノウでは無くてもそう言う話を何処か公的機関に言えば、すぐに……。


 ……まだ分からない。もうこれ以上分からないとも言える。


 さて、どうした物か――。


「――おいナナシ!」

「何だフィリップ!」

「どうなってんだジークリンデのあの魔法技術!」

「水鉄砲持って来る訳じゃ無くて何かそれを魔法技術で再現してる! 以上説明終わり!」


 同時に、俺の背に高い圧力を掛けて放出された水の塊が地面に着弾した。音も、飛び散る水飛沫の威力も、明らかに色々おかしい。


「アハハハハハ! ほらほら反撃しないと死んじゃうよー!!」

「だから逃げてんだよ!!」


 見れば俺の背後の地面が着弾した水の塊の所為で抉れている。どうなってるんだ彼奴の魔法技術……!!


 隣で走っているフィリップさえも、冷や汗をかいている。いや冷や汗か? 暑いから汗かいてるだけか?


 俺達が持っている水鉄砲……水鉄砲とも言えるか分からない程粗末でついさっき作った粗悪品だ。木の筒にポンプを付けて、蓋をしてその蓋に小さな穴を開けた程度の物。


 一回打てばそれで終わり。対してジークリンデは魔力が尽きない限り無限に撃てる。ジークリンデの魔力総量何fsだよ!!


「涼しくなりそうだから付き合ってやったんだぞナナシ! 肝は冷えてるがなァ!!」

「俺もこうなるとは思わなかったんだよ! 取り敢えずすぐに逃げた彼奴等の場所までジークリンデを誘き寄せて無理矢理戦わせるぞ! 俺達だけ怖い思いするのは不公平だからなぁ!!」

「大賛成! 全員で総攻撃でもしなけりゃジークリンデに殺されちまう!」


 他にも誘った奴等がいる。居場所は分かってんだ! どーせ氷が溶けた川にいるだろ!


 全力で、命の危機を背中で感じながら走っていると、ほーら見付けた! 予想通り溶けて水量が増えた川で遊んでやがる!


「お前等ぁぁー!! 楽しそうに遊んでるなぁぁー!!」


 メルトスノウのまだ元気がある連中も水を浴びているが関係無い! 全員漏れ無く巻き込んでやる!


 今すぐに逃げようとしていたドミニクの首根っこを掴んで、後ろから追って来るジークリンデに投げ付けた。悲鳴が聞こえた気がするが、まあ大丈夫だろう。


 フィリップと共に川に飛び込むと、冷たい感触が俺の体を包み込んだ。さあてどうするか。ジークリンデがこのまま他の奴等にも水を向けてくれれば良いんだが……。


 川の底から様子を見る限り、どうやら俺達が上がって来る所を狙っている様だ。


 一緒に潜ったフィリップに目配せをすると、彼は一気に上昇を始めた。


 水面から飛び出すと同時に、その馬鹿力で水面から水を勢い良く叩き付けると、大量の水が波となってジークリンデを襲った。


 それと同時に俺も水面から飛び出し、補充しておいた粗末な水鉄砲を波に流されたジークリンデに向けた。


 彼女の腰の左右の地面に足を乗せて着地し、その頭に銃口を向ければ、後は簡単。勢い良く押すだけで射出された粗末な水がジークリンデの顔を濡らす。


「あゔぁ……あばばばば」

「ぼこすか撃って来やがってこのヤロー。ドミニクも巻き込まれて……彼奴は良い奴だったよ。惜しい奴を失くした」

「それはナナシ君が投げたんじゃ……あばばばばば」


 空っぽになった水鉄砲をフィリップの方に投げると、代わりに満タンに補充されている水鉄砲を投げ渡された。


 そしてもう一度ジークリンデに射出する。


「こっちは魔法使えないんだぞおい」

「それはナナシ君が悪いんじゃ……あゔぁゔぁゔぁゔぁ……」

「うるせぇ! 取り敢えず仕返しに……そうだな」


 ジークリンデの薄い腰を掴み上げ、そのまま川の方に力いっぱい投げ付けた。


「おー良く飛んだな」


 そのままジークリンデはとても良い角度で川に着水した。舞い上がった水飛沫は縦に伸び、涼しい空気を押し寄せた。


「復讐完了!」


 どんだけ怖い思いしたか……! まあ肝を冷やしただけで怖かった訳では無いが。


 すると、俺の足下で小さな子供が上目遣いで見詰めていた。誰の子供かは分からないが、メルトスノウで産まれた子供だろう。


 メルトスノウには託児場所もあるし、まあいてもおかしくは無い。


「……投げられたいのか?」

「うん」

「よーししっかり目を瞑れよ」


 腰を掴んで、子供だから慎重に川に投げ飛ばした。すぐに浮かび上がってキャッキャと笑っているから喜んでいる……であってるんだよな? まあ良いか。


 すると、今度は何処からやって来たのか、俺の周りに子供達が羨望の眼差しで俺を見つめ始めた。


「……あー分かった! 全員投げ飛ばしてやる! はいやりたいひとー!」


 全員一斉に手を挙げた。だろうな!


 一人一人丁寧に、そして慎重に投げ飛ばす。力加減を間違えれば……水面に体を激突させて体がぐしゃぐちゃに……ああ恐ろしい。


 まあ、楽しそうで良かった――。


「――キョロちゃんランドは本当に酷かったんだよね。ジャンプのタイミングもシビアで、本当に難しかった。断罪のマリアは乙女ゲームじゃ無くて違うジャンルとして売ったなら伝説になれたかも知れないのに……いやどうだろ。たけしの挑戦状は兎に角分からなくて……やっぱり伝説だね」


 女性はそんなことを言っていた。その女性の対面にいるのは、ジギスムントと呼ばれる男性だった。


「一つだけやった記憶がある酷いゲームがあってね。興味本位だったが本当に酷かった。確か……名前を思い出せないんだ」

「へー、どんな作品?」

「何かの二作目だとは思うんだが……チーターが戦うゲーム」

「あーチーターマン2かな? あれも酷かったよ。バグで先に進めなくなったり。ウケるよね」

「クル・ヌ・ギ・アーも酷い物と聞いたことがあるね」

「おーマイナーな物知ってるねジギスムントさん。絵は良かったんだけど……当時からネットで買うなって書かれる位にクソだったんだって」


 そんな雑談を交わしながら、二人は曇り空を見上げた。曇り空とは言え、日差しが雲を擦り抜けて明るい空だ。


「……ありがとうね、ジギスムントさん。ここに連れて来てくれて」

「感謝を言われる筋合いは無いさ。僕はやるべきことをしたまで。この暑い夏の日が来たと言うことは、そう言うことだろう。頼んだよ、"夏日(なつひ)"君」

「分かってますって。ああ、暇があったらおこずかいだいさくせんもやってみて下さい。ストレスが溜まりますよ」


 そう言って眩しいばかりの笑顔を向けたナツヒと呼ばれた黒髪銀眼の女性は、手を振り走り去ってしまった。


「帰ったら一緒に神ゲーやろっ!」

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


いいねや評価をお願いします……ペンギンの自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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