其の十八 バプテスマのバケモノ 一
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
……と言うか文句はペンギンに言って下さい。
この国の国王であるエルマーは、雪が降る以前の技術が使われた、数少ない遺物を使いエイミーと話していた。
「私が頼んだことは、してくれたか?」
『勿論。ちゃんと送っておいたよ』
「なら良かった。ああ、やはり私がメルトスノウに行けば――」
エルマーの後ろに待機している秘書が態とらしく二度咳払いをした。
「……次に会えるのは何時だろうな」
『雪が溶けた頃じゃ無い?』
「……後何年掛かることか」
『それにしても、お父さんも変なことを頼むね。大型の変異体の血を送って欲しいなんて。何でフラマに頼まないの?』
「国家機密的な話になる。これは世界の為であり、誰にも知られる訳にはいかない。今言えるのは、それ位だろう」
『ふーん。まあ大変だったよ。フラマにばれない様に、研究用に回収された変異体の血も取ったんだから。怒られたらちゃんと責任とってよね』
「分かっている。……さて、心苦しいが、もう通話は終わりだ。背後から殺気を感じるからな……」
エルマーは怯えながら、背中にいる秘書に目配せした。秘書の目付きは鋭い物だった。
「……それじゃあまた連絡出来る日を楽しみにしているぞ!」
そのままエルマーは通話を切った。
「……陛下」
「……仕事は後回し……とかは……」
「出来ません」
「……ハイ……――」
――……お、重い……死ぬ……死なないけど死ぬ……死んでしまう……。
何とか体を起こし、その重量の正体を探ってみれば、何だか柔らかい感触を握った。
「……ああ、そうだった……道理で……」
現状俺の傍にいる聖母の内、テミス以外、つまりスティ、モシュネ、レト、リュノの四人が俺と同衾していた。しかもレトとリュノは俺の上に乗ったまま眠っている。
……道理で眠りが浅い訳だ……。
「……腹減った」
どうにか抜け出そうとしてみたが、四人とも俺の体を強く抱き締めている所為で、迂闊に動かせない。……起こすか。
「あー……スティ、モシュネ、レト、リュノ、起きて欲しいんだが、そうだな……こうしよう。今日の朝食は先に起きた奴の血にする」
ほぼ同時に、全員が飛び上がりベッドの上で座った。
「……私が……早かった様ですね……」
「つまらない嘘を付きますね。どう見ても、私です。そうでしたよね、我等が主よ」
「スティ、その変な前髪の所為で良く見えていない様ですね。それとも妹達への嫉妬ですか?」
「……あの……あたし……」
「「「リュノは黙りなさい」」」
「あぅぅ……」
……失敗だったか……? いや、起こさせると言う目的は達成したからまあ、成功か?
「……私達で……言い争うのは……辞めましょう……。全ては……御主人様の……心のままに……。皆所有物と言う……ことを……忘れぬ様に……。……またテミス様に……叱られて……しまいます」
四人の視線は俺に集まった。
「……あー……じゃあ、まあ、レトで」
スティがあまりのショックでベッドから転げ落ち、モシュネは姉妹達から中々聞けない感情が籠もった悲鳴を発し、リュノは俺に縋り付いた。
レトに至っては、もう準備を始めている。心無しか彼女の喜びの感情がちらちら見える。
すると、部屋の扉が開き、そこからサラが顔を覗かせた。
「悲鳴が聞こえたが……大丈夫か」
「大丈夫だ。出来れば退出して欲しいんだが? 今から食事なんだ」
「食事なら見ていても大丈夫だろう。何時もの検査だ。手短に済ませる」
「お前も大変だな。毎日同じことばっかり」
「そうでも無いさ。未知の生物の調査と言えば、好奇心滾る恒例だと思わないか?」
そう言ってサラは何時も通りの検査を始めた。
もう慣れてしまった。何時も通りレトの首筋に噛み付き、溢れ出る血を啜っていた。
「……ナナシ」
「なんふぁ」
「……体に異変は無いか?」
「とふに」
「……そうか。……いや、それだとおかしい。注射器の針が折れた」
「それのなにはもんはいなんは?」
「前まではすんなりと刺さっただろう。だが刺そうとしたら折れた。手元が狂った訳でも無さそうだ」
レトの首筋から口を離し、俺の腕に刺された注射器を見た。確かに折れている。
「最初にやった時も折れてなかったか?」
「まあ、フィリップもそうだったからな。変異体用の注射器を使っていた。それが折れたんだ。相当頑丈に作ったはず何だが……」
「じゃああれだ。俺が動いたんだろ」
「……ナナシ、訓練室に行くぞ。今ならフラマとフィリップがいる」
訓練室に向かうと、フラマとフィリップが先に模擬戦闘をしていた。
すると、フィリップが大きく大鎚を振り払うと、そのまま座り込んだ。
「駄目だ! なあエイミー! これもう少し重く出来ないか!!」
良く見れば、エイミーが壁に凭れ掛かってその戦闘を観察していた。
「うーん……これ以上重くすると、今度は材料が無いんだよね。脆くなるよ」
「そこをこう……上手く出来ないのか」
「それが出来ないから悩んでるの」
すると、自分の槍の手入れを始めたフラマが此方に気付いた。
「どうしたんだナナシ。それにサラまでやって来て、何かあったのか」
「少し確かめたいことがある。フラマ、フィリップ、ナナシと戦ってくれ」
「本当に何があったんだ」
「喧しい。良いからやれ。こっちとしてもまだ半信半疑だ。参考程度に聞くが、前の模擬戦闘ではナナシはフィリップと互角だった、そうだな?」
「そう聞いている」
「……まあ、やってみれば分かる」
そう言ってサラはそこら辺に散乱していた木剣を俺に投げ渡した。
「……なあ、フラマとフィリップはマジの武器で、俺は木剣?」
「多分大丈夫だ」
「何だよその自信」
「自分自身への自信だ」
「さっき半信半疑って言ったのに?」
「良いからやれ。医者として信じ難い変化が起こっている可能性がある」
サラの面持ちは険しい物だった。そこまで重く見ることか? 針が折れた位だ。注射器の針が折れるのは良くあることのはず。
フラマとフィリップは困惑しながらも、自分の武器を我流の構えで俺の前に立ちはだかった。
木剣を強く握り締め、これまた我流の構えで迎え撃つ。と言うかメルトスノウに真艫な師範代がいない所為で剣術とか習って無いんだよな……今まで身体能力の暴力で何とかして来ただけで。
始めに、フィリップが一歩を踏み出した。そこからは激的に動きが速まった。
一気に距離を詰められ、その鉄塊と等しい大鎚の横振り。打撃部分が俺の左からやって来る。だが、何故だろう。とても遅く感じる。
ほら、俺の、蹴りが間に合った。
大鎚の打撃部分に突き刺さった鋭い蹴りは、迫って来る勢いを押し返し、それ処か僅かに凹ませた。後でエイミーに怒られる……。
……おかしいな。さっきから危機感を感じない。フィリップの攻撃なんて、一撃でも喰らえば骨がぼっきぼきに折れて即レト呼びするのに。
即レト呼び。略して即レ。……やっぱり何かおかしいな。危機感の欠如が明白になっている。
大鎚が押し返された衝撃に釣られ、フィリップの体勢は大きく崩れた。勿論その隙を狙って左腕をフィリップに向け、黒い鎖を出現させて投げた。
少しでも動かせば鎖はフィリップの体を縛り付け、力のまま引っ張れば簡単にフィリップの体は空中を飛んでしまった。
そのまま鎖を下に振り下ろせば、フィリップはそのまま床に叩き付けられた。
すると、今度は俺の背後に回ったフラマが槍を突き出した。
やはり、遅い。こんなに生っちょろい攻撃をする様な奴では無かったはずだ。するりと避けられる。
……違う。この二人が遅いんじゃ無い。何時もより俺が速いんだ。体の動かし方が分かる。
何時もより自然と体が動く。まるで変異体みたいに、全身に目が付いていて、それで後ろも見えるみたいに、全ての方向が見える。いや、感じられる。
自然と、しかし確かな敵意と悪意と殺意を持って、フラマに木剣を力の限り振るった。
「馬鹿ッ……!!」
咄嗟に出たのは俺の声だ。
木剣を握っている右手に意識を集中させ、無理矢理軌道を変えてフラマの槍に切り込んだ。
鈍い音が響いたかと思えば、木剣は一気に白い灰となり、フラマの槍は木剣が激突した箇所だけ大きく湾曲していた。
あのままだと、フラマの頭部にあれが直撃していただろう。本当に危なかった。殺す所だった。
「……成程」
フラマは湾曲した自分の槍を見詰めてそう呟いた。
「身体能力が著しく上昇している。それも、人間とは考えられないスピードで」
「……なあ、フラマ」
「どうしたナナシ」
「……全然疲れない」
「まあ、そうだろうな。同時に持久力も上がっているのだろう」
「……何でだ?」
「分かれば苦労しない。何せナナシ含め、あの姉妹達のことも一切分からない。何かそれらしい条件があったのか……?」
すると、目を鋭くさせながら観察していたサラが声を出した。
「食事、の可能性はあるかもな」
「……いや、だとしたらすぐに気付きそうだが」
「フラマ達はほぼ毎日ナナシと共に行動しているだろう。だからこそ気付かなかったと考えれば、筋は通る。それに先程の様に互いに戦う場面も少ないだろうからな」
「……ナナシ、何か体に異変は?」
両腕をぐるぐる回しながら俺は答えた。
「特に何も」
「……そう言えば、今は火を出せるか?」
「出来るぞ。ほら」
黒い鎖から炎が吹き出した。もうこの力にも慣れた頃だ。
フラマとサラの顔は更に険しい物になった。
「魔力総量は測ったことがあったか?」
「ああ、メルトスノウに運ばれた時に次いでにな。3500fs、まあ、驚く位に一般的な総量だ」
「それならおかしい。3500だと魔法技術も禄に扱えないはずだ」
「……あの黒い鎖が出て来る原理も不明だ。それならあの炎もそう言う我々が未だに感知出来ていない技術の可能性はあるだろう?」
「いいや、あれは魔法技術だ。私の目にはそう写っている」
「……だとすると、何だ。トレーニングもしていない奴の魔力総量が、勝手に増えたとでも? 確かにそう言う事象はあり得るが、基本的に第二次性徴期に伴って急成長する物だ。ナナシはとっくに過ぎている」
「……サラ、今のナナシの魔力総量を測る。機器の準備をしてくれ」
「……久し振りに動かすな。今も動くかどうかは分からないぞ」
「それでも良い。はっきりさせたい」
そのまま俺はフラマとフィリップに抱えられて、基本的にサラがいる医療区画に入り、その更に奥の部屋に連れて行かれた。
何の面白みも無い真っ白い壁に囲まれた部屋の中心にある椅子に座らせられた。
向かいには硝子の窓があり、そこからアルバードが覗いていた。
今俺が座っている椅子は、兎に角座り心地が悪い。冷たいし、硬い。それに妙に仰々しい。
俺の足元から伸びている何本もの太い配線が、その硝子の方に伸びている。
硝子の向こうにサラがやって来ると、そこにあるであろう操作盤を弄っていると、俺が座っている仰々しい椅子から大袈裟な程に蒸気が発せられた。
背凭れから「バチバチ」と不安になる音も聞こえるし、中から「ゴウンゴウン」とけたたましいモーターの音まで聞こえる。本当に何なんだこれ!
この部屋の中にサラが入ると、俺の体を麻紐で椅子に縛り付けた。
「……なあ、サラ?」
「多分正常に動いているだろう。まあ、正常に動いていなければ数日は起きれないと思ってくれ」
「何で縛るんだよ! それを聞きたいんだよ!」
「今から魔力総量を測る。この科学技術を応用した機械だと正確に測れる。但し、滅茶苦茶痛い。麻酔無しで手術をする位にはな」
サラは一切表情筋を動かさずに俺を淡々と縛っていく。今度は金属の薄い板を俺と椅子に巻き付けている。
「手術ってあれだろ!? 刃物で腹かっさばいたりする奴だろ!? 幾ら治ると言えど俺には痛覚があるんだ!! レト達みたいに痛覚が無い訳じゃ無いんだ!! 後生だから辞めてくれ!!」
「これは君達の体の調査の為だ。少しは我慢してくれ。それとも何だ。レトでも呼んだ方が良いか? まるで子供だな」
「そう言う問題じゃ無い!!」
「手摺はしっかり握れ。そうしないと正確に測れなくてもう一度することになる」
「ハイッッ!! 分かりましたッッ!!」
手摺に俺の腕と手を縛り付け、そのままサラは退出した。
何でこんなことになったんだ……!! あーやっぱりレト呼んだ方が良かった……!!
サラが硝子の向こう側から此方を見ていた。すると、この部屋の中にサラの声が響いた。
『あー、気分はどうだ。緩く無いか?』
「最悪! 気分最悪! やるなら早くやれ! ……あーでも、始める時は言って欲しい!」
『良いだろう。もう少し此方の準備がある。それまでリラックスしてくれ』
「この状態で!? どうやって!? これから来る激痛に恐れを為して今みたいにギャーギャー騒いだり!? それともこれがマッサージチェアだと思い込んだり!?」
『口も塞ぐぞ』
「黙ります!」
……まず手術ってどれくらい痛いんだ……? やったことはあるが、俺が気を失ってた時の話だしな……。それも多分麻酔は使っているはずだし。
……最初に変異体に襲われて、レトを引き摺ってた時よりかは、大丈夫なのか? ……それより痛かったらどうしよ。
『準備が完了した。心の準備は出来たか』
「もう少し待って欲しい! 後一時間位!」
『始めて良さそうだな。さーん』
「待って! 本当に!」
『にー』
「あーもう良い! 覚悟は決めた!」
『いーち。ぜー――』
ろ、と聞こえた瞬間に、椅子から轟音が鳴り響いた。
同時に襲って来たのは肋の奥の心臓に毒でも掛けられた様な、鈍く大きな痛み。悲鳴を発することも出来ずに全身が麻痺する位には巨大な痛み。
嘘吐き! 大型の変異体と戦った時もこれよりは痛く無かったぞ!!
その状態が、どれだけだろうか。体感的には一夜明けた頃だと思うが、きっと、一分も経っていない。
やがて痛みが収まると、椅子から鳴っていた轟音も鳴りを潜めた。
「はっ……はぁぁぁ……ぉっ……おぉっ……!!」
『気は失っていないか』
「……おぉぉ……」
『……まあ、本来変異体に使う物だからな。より人間に近い体をしている変異体に使う物だ。倫理観はガン無視している』
「……それぇ……むししたらぁ……だめなやつぅ……!! あぁ……おっ……!!」
『良く頑張ったな。飴玉位なら容易出来る』
「今すぐくれぇぇ!!」
金属の板と紐を解かれ、椅子から降りてみると、足ががたがたと震えて立ち上がれない。
「……れぇーとぉー……たぁーすぅーけぇーてぇー……」
「……本当に辛そうだな。レトを呼んで来ようか?」
「……だいじょうぶ……すぐくる……」
すると、俺の腕を誰かが掴んだ。
レトだ。やはりすぐ来た。サラはいきなりのことに目を丸くしていた。
「……何処からやって来た?」
「……何が……あったのでしょうか……?」
「……まあ、少し確かめたいことがあってな」
レトの助けで何とか部屋の外に出て、今度はちゃんと休められる椅子に座り込んだ。
「……あー……痛かった」
「……大丈夫ですか……? ……どうやら……相当酷い扱いを……受けた様ですね……。……テミス様に…………言い付けましょうか……?」
「……サラがやった」
レトの無表情がサラに向けられた。
「いや、確かにあたしがやったが……あれは仕方無かった」
「……同意を得ずに……無理矢理やった……」
「辞めてくれナナシ。あたしが殺される」
「……死んでしまえ……」
絶対に許さない……!
すると、フラマが一枚の紙を眺めながらやって来た。
「結果はどうだ」
「……2805391801fs、観測史上最高数値大幅更新だ」
「……嘘だろ? 壊れていたか?」
「その可能性の方が低いだろう」
「……その数値だと、バプテスマの一つや二つを引き起こせるぞ」
「いや、単純計算で二十八回は引き起こせる。バプテスマは十二時間で総量100000000fsが空気中に流れていることが条件だからな」
「だとすると、何だ? ナナシの魔力を全放出するだけで、島の一つでも沈められると?」
「首都位滅ぼせるだろうな」
話を聞く限りだと今の俺の体はとんでも無いことになっているらしい。
「……色々説明してくれ。何が何にバプテスマ?」
「魔力が原因による災害、通称バプテスマ。魔力総量は樹齢十年の特定の被子植物を100fsとして数値化した物だ。そのバプテスマは半径35kmの範囲内で十二時間以内に総量100000000fs以上の魔力総量が空間に流れ込むことで発生する。……まあ、そんな事例、人為的で無いなら、変異体が数万単位で押し寄せなければ、まず発生しないがな」
「……記録上、何回だ?」
「記録が始まったのは、世界統治から三年後、つまり今から八十二年前だ。それ以前の記録は最早我々の技術では解読不可能な程に壊れてしまっている。八十二年間の記録上、観測されたのはたったの二回。発生条件が余りにも厳しいから、この二回だけでも相当高い頻度だと推測されるが」
魔力が空間に流れ込む……。そう言えば、本で読んだことがある。生物はその中に内包する魔力を少しずつ体外に排出するのだとか。その排出された魔力総量が100000000fsを超えればってことか。
確かに、理論上俺はバプテスマを引き起こせるか。と言うか良くそんな莫大な魔力量を測ることが出来たな。
今まで起きなかったってことは、自然体で過ごせばバプテスマはまず起こらないと安心した方が良いか。
「問題は何故ここまで莫大な魔力総量に成長したかだ。今までそんな傾向は無かった」
サラがそう言いながら、俺に手渡したはずの飴玉を横取りした。
「しかも、ナナシからは一切魔力が排出されていない。最初は一般的な魔力総量だから微量な物だと結論付けていたが、それも否定された。まず排出されないことが、生物上あり得ない。生物から相当逸脱した変異体でさえその法則に従っている」
「……また、謎が増えたな」
「謎だと? 解明する見込みが一切無い謎は理解不能で解析不能の未知と言うべきだ。謎の一言で済ませられる物では無い」
「いいや、謎だ。解明出来る見込みはある」
「……お前は、本当に狂っているな」
フラマは俺の方を見ると、俺の手を掴み、またじっくりと見詰めた。
「何を見てるんだ」
「……魔力を自然排出する穴、それは全人類共通して掌に必ずある。人によってはそれ以外にもあるがな。そこから魔力を排出する量を調節して魔法技術を扱う。今はそれを見ているが……その、穴はあるんだが、魔力が一切排出されていない」
「何か不味いのか?」
「ああ、魔力の自然排出は、言わば排泄だ。1fs程度でも、少しずつでも出さなければ不調が続く」
「……まーた俺の体の謎が深まった」
「……そう言えば、レト達姉妹は排泄をしないと言っていたな」
「あー、そう言えばそんなことを何処かで。食事もしてないしあんまり疑問にも思わなかったが」
「……レト、少し失礼する」
そう言ってフラマはレトの腕に手を伸ばしたが、大袈裟に避けられてしまい、俺の背に隠れてしまった。
「……そ、そんなに私に触れられることが嫌なのか?」
「本気でショックを受けてるな……。……純粋に、俺以外に触られて欲しく無かったんじゃ?」
「ああ……成程。なら、掌を開いて此方に見せるだけで良い」
レトは俺の後ろに隠れたまま、フラマに手を腕を突き出した。
「……やはり自然排出はしていない。……どう言うことだ」
フラマ達の疑問は尽きることが無いらしい。
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
いいねや評価をお願いします……ペンギンの自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……




