其の十四 帰宅
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
……と言うか文句はペンギンに言って下さい。
「何も分からないことだけが分かった!」
陛下が冗談めいてそう叫んだ。
「いやーあっはっは! ウィリアム大臣の死亡の原因が魔法技術と言うことは分かったのだがな! それ以外がさっぱりだ。どうやら例のナナシ君の従者であるテミス君も関係が無い様だし、もうさーっぱりだ」
私は死体の解剖結果を纏められた資料を見ながら、頭を悩ませていた。
テミスの不明な魔法技術なら説明は付くが……やはり第三者が殺害したと考えた方が自然か。
ただ、そうだとすると結局何も分からないことだらけだ。ナナシが現れてから、何かが動き出した。つまりナナシに何かがあるのだろう。
……我々は、それを解明する為にいる。
恨みを持つ人物が多過ぎる、そしてその全員にアリバイがある。そして殺害方法が不明な以上、迷宮入りは避けられない。
「……あーフラマ」
「何だフィリップ」
「暇何だか」
「知らん」
「……えー」
そのまま、会議は終わってしまった。
……だが、ナナシを狙う何者かがいることは分かった。それがウィリアム大臣の部下なのか、ウィリアム大臣にナナシの情報を教えた何者かがいるのか。
ナナシを狙う何者か、それが分からない。これが分かれば、恐らくナナシの調査は更に進展するはずだ。
どうやらナナシはもう帰っている様だ。無意味で無価値な会議が長く続き過ぎた。
ナナシが療養している部屋に行くと、ベッドの上に数十冊の本を乗せて読んでいるナナシがいた。
……色々、距離感が近い様だが。いや、健全なのか?
確かスティと言う女性がナナシの隣で密着し、テミスと言う女性が扉の横に佇んでいた。
「……あー……入っても、問題は無いか?」
私はテミスに向けてそう言った。
テミスは無愛想に頷いた。この中だと一番危険なのはテミスだ。警戒するに越したことは無いだろう。
「何を読んでいるんだナナシ?」
そう聞くと、彼は微笑みながら私と顔を合わせた。
「色々、それはそれはもう……」
「そうか」
私はベッドに置かれている一冊の本を手に取った。ぱらぱらと捲ってみると、どうやら工学の重油抽出の専門的な技術が書かれている。
もう一冊の本を手に取ると、今度は私の知らない学問だ。
「……暗黒物質……? それに、何だこの紐のモデルは……? ナナシ、これを何処で買って来た?」
「ああ、外れの寂れた本屋。あ、それにその本屋の店主に一冊変な本を貰ったんだ。俺だと読めない言語で書かれてるんだ」
ナナシはスティを鬱陶しそうに手で払うと、一冊の本を私に手渡した。
表紙にluraats gvuenieと書かれていたその本をぱらぱらと捲ると、確かに言われた通りに未知の言語で書かれていた。
「……この、本は?」
「さあ? 店主が言うには、俺が来た時に渡してくれって言われたらしい。金髪金色の女性」
「……誰かは分かるか?」
「……分からない。正確に言うならきっと、思い出せないんだろう」
「……そうか。一旦そこに行ってみるか」
「あーじゃあテミス」
テミスの方を見ると、何度も首を横に振っていた。
あそこまで露骨に拒絶されるのは心に来る。まあ、ナナシだけを愛していると言えば……良いのか?
「……場所を教えるから、行きたいなら一人で行ってくれ」
「……ああ、そうさせて貰おう」
そのままフラマは逃げる様に出てしまった。
そして、先程突き放したはずのスティがまた抱き着いて来た。……まあ、暖房代わりと思えば別に良いか。
ただ、何と言うか。耳元でスティがずっと甘い声で囁いている。
「あぁ……我等が主よ……。愛しております……」
……うん。集中出来ない!
……腹減った。
「……レト」
即座に俺の隣にレトが現れた。最近こいつ等の扱いに慣れて来た。
「……はい……貴方だけの……レトです。……ああ、血ですね……。……他の姉妹では無く……私を選んで……くれるのですか……?」
「レトの血が一番美味しいからな」
「有難う……御座います……」
レトはベッドに座り込み、首筋の包帯を解いた。
そのまま俺に抱き付き、顕になった首筋を俺の口に近付けた。その白い肌に牙を突き立て、赤い血を啜った。
耳元でレトが荒い息を吐いている。少し興奮気味の様だ。
そんなことをしながら、レトの体に腕を回しながら本を読んでいた。
この本に書かれていることは俺の好奇心を刺激する。俺の知識好奇心だけは相当な物だと自負している。知識は取り込めるだけ取り込んだ方が良いのだ。それはフラマを見れば良く分かる。
「……おいひい」
「それは……良かったです……。……どうぞ……満足するまで」
相変わらずモシュネの発狂が聞こえる。彼女はどうやら俺との適切な距離感と礼節を守ろうとしている気がする。それに加えその考えを他の姉妹達に共有しようとしている……のだろうか。あくまで俺の予想だ。
まあ、距離感が近い様には感じる。特にスティとか。抱き着くならレトもやるが、スティの場合は体を押し付けている。抱き締めると言うか、押し付けている。特に胸とか。
姉妹達にも体の差異はある。髪が長かったり何がとは言わないが大きさが違ったり。
スティはどうやら、この中だと一番大きい。何がとは言わないが。何がとは言わないが!
渇望が大分満たされると、レトの肌から口を離した。すぐにその傷は塞がってしまった。
体の内側から温かい感触が貯まる。これは体が治る時の感触だ。
すると、レトはあまり力が入らない俺の体を押し倒した。
「……レト?」
「……少し……思うのです」
レトは俺の頬を撫でながら、顔をずいっと近付けた。
「貴方は……色々溜まっている様に……思うのですが……。……手を出さないと……言うなら……」
「一応、この場には他の奴等もいるからな?」
「……つまり……この場に誰もいないことを……望んでいると……?」
「そう言う訳じゃ無いんだが……。とにかく、俺の体を押さないでくれ。今の俺の体は、お前の力でも簡単にへし折れるからな」
「……ああ……申し訳御座いません……」
「分かってくれたなら良いんだ」
危ない危ない。他人の家でそんなことまでやったら、それこそ言い訳が出来ない。
正直に言うと、したく無い訳では無い。俺が彼女達にそんなことを頼めば、快く、むしろ多大な喜びさえも表現しながら了承することは知っている。
この姉妹達はそう言う性格だ。俺の命令は全て了承してしまう。多少の迷いはあったとしても、全て。
周りから見れば、都合が良い。実際俺としても都合が良い。俺の食事は、血と肉だけだ。その血と肉は基本的に人間の物だけ。
何度か試してみたが、獣の肉も俺の体は受け付けなかった。あくまで人間の血肉だけが、俺の体に染み込む。
つまり、俺は、本来人間に忌み嫌われるべき生態をしているバケモノと言う訳だ。
そんな俺が人間と共存出来ているのは、単にレト達の存在だ。その身を俺に喜んで捧げてくれるお陰だ。
そう言う点では、都合が良い。
だからと言って、そう言う行為まで頼むのは気が引ける。まず、一度頼んでしまえばーー。
「……色々不味いよなぁ……」
「どうされましたか我等が主よ。何か悩み事でも? 先程レトに押し倒された部分が痛みますか?」
「いや、何でも無い」
本を目が潰れそうになるまで読んでいると、窓から見える太陽が沈んでいた。
「……それでは……御休みなさい……」
レトが僅かに頭を下げながらそう言った。
それと同じ様に、モシュネも頭を下げながら呟いた。
「御休みなさいませ御主人様」
……ああ、そう言えば添い寝禁止にしてたな。
レトとモシュネの二人は寂しそうな顔を浮かべていた。……心が傷付く。
何とか痛む腕を持ち上げ、二人の頬を撫でた。
「御休みレト、モシュネ。これで勘弁して欲しい」
相変わらず二人の表情は変わらない。ただ、僅かに頬が紅潮しながら心が雀躍していることが分かる。俺の気の所為で無ければ。
二人は俺の手を握ると、顔を擦り付けて来た。こう言う小さな動作に姉妹らしい共通点が見える。
満足そうな鼻息を出すと、二人は部屋を後にした。それでも口惜しそうだったが。
……物凄く腕が痛い……。
レトとモシュネの足音が聞こえなくなった頃に、扉の横に佇んでいたテミスが俺のベッドに飛び込んで来た。
テミスは目隠しを外し、剣も放り投げ、俺に抱き着いたまま胸に顔を擦り付けた。
「……あーんぅぅ……! あぁ……」
「……どうしたテミス」
「……疲れました」
「だろうな。剣を構えてずっとそこで立ってたからなぁ」
「……ですので、最愛の人の匂いを嗅いでいます……」
「ああそう。まあ、俺が目覚めなかった頃にずっと俺を守ってくれたんだろ? ありがとうな」
「勿体無い御言葉……」
……さて、今にも悲鳴を出してしまいそうな程の痛覚が体中に走っている。テミスの体が俺の上に乗っている所為だ。
離れようにも、今の俺は歩くことも出来ない貧弱な体。それに加えて離れるのも心が痛む。
そしてもう一つ、スティが腕に引っ付いている所為で動けない!
……まあ、うん。もう暖房代わりってことにしよう。レトの代わりってことにしよう。
すると、隣のスティが何やらもぞもぞと動いている。……多分あれだろうなぁ……脱いでるんだろうなぁ……。
スティと会話をして分かった。こいつ露出狂だ。いやまぁ……手を出されないし俺も出す気は無いから大丈夫だろう。
スティの感触が俺から離れると、すぐにまた引っ付いた。先程よりも体温がより近くに、ふんわりとした感触を感じる。
「ゆっくり御休み下さい我等が主よ」
「……何故脱ぐ?」
「何か駄目で御座いましたか?」
「……いや、純粋に疑問に思って」
「前に聞かれた時と同じことしか説明は出来ませんが……。それに、もうこの部屋には我々以外入って来ませんので。どうせ主やテミス様なら見られても大丈夫でしょうし」
何が大丈夫なのか小一時間問い質したいが、まあ今は眠ろう。今日は何故か疲れた。多分一日中本を同じ体勢で読んでいた所為だ。頭にも疲労が溜まってしまって体中が固まってしまっている。
テミスは俺の目元を隠す様に手を置き、スティは俺の腹部辺りを優しく撫でていた。……眠くなる。
そのまま眠気に従い、温かい感触に身を包みながら、夢の中に潜り込んだ――。
「――夢は、夢では無いかもね」
「……なーんかそんな気がしてたんだよ」
俺の目の前には、何時かの夢で見た女性がいた。あの時と全く同じ光景、あの時と全く同じ女性。体勢も、俺が立っている場所も、全て同じだ。
「あの本は、お前が?」
「……さあ?」
女性はクスクスと笑っていた。
「いや、違うか。金髪金眼では無いからな。そうなると本当に誰なんだ?」
彼女は何も答えようとしない。全く関係の無い話題に逸らした。
「……ルーラッツ・ゲブニー。彼は、罪深い獣。救世主を喰い殺そうとして、無惨に殺される罪深くも哀れな獣。力を掲げ幸福になることを義務付けられた王。まるで、貴方みたい」
その女性は俺を憐れむ様な表情を浮かべながらそう言った。
「貴方は、王。それは国の王では無い、獣の王」
「……俺の名前は、ルーラッツ・ゲブニーなのか?」
「■■■。どうせ分からないでしょ?」
「……相変わらず、何も分からないな」
「答えは自分で見付ける物だよ!」
「もう一つ聞いておきたい」
女性は首をこてんと傾けた。
「レト達の長女は、お前か?」
女性は僅かに驚いた顔をすると、今にでも泣き出しそうな表情を浮かべた。顔を俺から背ける様に俯くと、絞り出した声を出した。
「……ある意味で、それはあってるよ。けど間違っている」
「……そうか。辛いことを聞いたな」
ある意味で長女だが、間違っている……。意味が、一切分からない。
元々、理解させる気もこの女性には無いのだろう。
ここは俺の記憶。夢と言うのは記憶から構成されると何処かで読んだことがある。つまりこの夢は俺の記憶とも言える。
そんな記憶の中に、こいつは一人出に入れる。そして言葉を交わす度に、何処か温かい感触が俺の中にじんわりと広がる。
「……何時か――」
この言葉はきっと、俺が理解していない程に奥底に秘められた言葉。俺が、俺になる前の、記憶を失う前よりももっと前の、より純粋な俺が発した言葉。
「――必ず、会いに行く。ここで待っててくれ」
女性は、にっこりと笑った。
「うん。待ってるよ。何時までも――」
――目覚めた後、俺達はすぐにメルトスノウへ帰宅した。
まさかエイミーがそこを繋ぐ魔法技術を持っているとは思わなかった。あまりに長距離な移動の所為か、この感覚が当たり前なのかは分からないが、気分が悪い。
今にも吐き出しそうな程に、喉の奥の胃から何かが込み上げて来る気持ち悪い感触がある。
「大丈夫ですか? 何処か顔が青いですが」
モシュネが俺の顔に触れながらそう言った。
「……吐きそう……」
「視界が揺れたのでしょうか。あの移動方法は目が回りますから」
「……何でお前達は大丈夫なんだ……」
「私は大丈夫で御座います」
「ああそう……。うぅ……気持ち悪い……」
レトが俺の乗っている車椅子を押し、メルトスノウの俺の自室にまで運んでくれた。
ああ、見慣れた天井。かったいベッド。対して良質でも無い掛け布団。うーん、あの城の中の寝具が如何に高品質なのか分かる親しみ深いベッドだな。
相変わらずスティは俺の体に自分の体を密着させている。
そんなスティを引き離そうとモシュネが腕を引っ張っていた。
……騒がしくなったな。
一応俺は怪我人のはずなんだが。
「……腹減った」
「ああ、分かりました我等が主よ」
「いや、スティは良い。前に啜ったし」
「……そうですか」
今日はどうしようか。……そう言えば、まだテミスの血を啜ったことが無かった。
「じゃあテミス、お願い出来るか?」
「私、ですか。いえ、駄目と言う訳では無いのですが、少し以外でした」
「そうか?」
「ええ、自分で言うのはアレですが、私の物はそこまで美味しくは無いらしいので」
「……そうなのか?」
「辞めておきますか?」
「……怖い物見たさ、と言うか怖い物食べたさか? それがある。じゃあお願いしよう」
そのままテミスは上着を脱ぎ、首筋の包帯を解いた。そのレト達よりも筋肉質な首筋に、牙を突き立てた。
肉が、と言うか筋肉が硬い所為か血が出ない。いや、レト達の肌が傷付き易いのか?
ようやく溢れ出した血を啜ってみると、刳い渋みが俺の舌に乗った。
モシュネの様な僅かな苦みでは無い。それにモシュネの血の味も砂糖の様な甘みがあるからこそ独特な味わいを作り出していた。だが、テミスのこれは駄目だ。
独特な味わいなんて言葉で擁護が出来ない程、何処までも不愉快であり得ない程に不快な味だ。
すぐに口を離し、先程まで啜ってしまった口の中にある血液を全て吐き出す様に咳き込んだ。
「まっっず!? レト! レト血!」
すぐにレトが俺の口に首筋を曝け出した。すぐに牙を突き立てた。
甘美な味のレトの血で、舌の不愉快な感触を紛らわせた。ふと横目でテミスを見ると、ベッドの横で剣を引き抜き自分の首筋に刃を当てていた。
天井を拝む様に上を向き、その刃を首に押し当てていた。
「死にます」
「ふぁへ! もふね!!」
モシュネは俺の言葉にすぐに反応し、テミスの腕を掴み上げた。良く分かったな……。
「死にます。今まで有難う御座いました」
「テミス様!?」
「こんな私を笑いなさい。最愛の人を苦しめた挙げ句に餌にさえもなれないこんな私を笑いなさい」
すると、この部屋にフィリップがノックもせずに入って来た。
すぐに異常を察知したのか、フィリップはテミスの剣を取り上げた。
「何やってんだてめぇら!!」
「死にます」
「何でだよ!?」
「私は最愛の人の御希望に添えることが出来ませんでした。なので死にます」
「それもそれで意味が分からないぞ!?」
色々あったが、テミスの行動を何とか止め、俺達は司令室へ来た。
「……何か、騒がしかったが」
「気にしないでくれ。テミスが自殺未遂をしただけだ」
「本当に何があった」
「テミスが自殺未遂をした」
「……ああ、そうか。まあ良い。今後の話をしようか」
フラマは神妙な面持ちで話を始めた。
「まず、ナナシ。君が意識を失くしている最中、我々は調査を進めていた」
「ああ、レトとモシュネからそう聞いてる」
「そこで出会った二人の人物。恐らくあの女と同じ団体だ」
あの女性、つまり銃を抱えているあの女性か。
「その団体の目的は未だに不明だ。ただ、一つだけ分かることと言えば、君と、その……七人の聖母だったか。君達に関係がある。恐らく君達のことに関して、彼等は何かを持っている。我々の知らない何かをな」
「『金を持つ者』と『金色の男』が俺と仮定した場合、『銀を持つ者』と『銀色の女』が七人の聖母だった場合ってことだろ?」
「ああ、そうだ。ナナシも要求していると言うことは、少なくとも彼等は雪を溶かす為には君と七人の聖母達が必要なことは分かっているのだろう」
「そうだとすると、何んであいつらは俺達を止めようと――」
「いや、あの女は我々と敵対していなかった。敵対していたのは初対面だけだ。そして彼等の態度を見ると――」
「守っている、だろ?」
フラマは微笑を浮かべた。
「ああ、その通りだ。彼等があの木を守っているなら、初めの頃のあの態度にも説明が付く」
……確かに、フラマの意見にもある程度同調する。俺もそう考えたからだ。
だが、何か引っ掛かる。何かを見逃している。
記憶を辿り、あの女性の言葉を思い出した。
『……この雪が、何故降ったのか分からないままでいるお前等には、何も分からない。それに何も教えない。どーせ理解出来ない』
この雪には、何か理由がある。それこそ、人間が、この雪の唯一の被害である人間が、守ろうと決意する程の理由が。
初めの方こそ、ただの気が狂った科学者が全人類抹殺的な馬鹿みたいな考えから作り上げた細菌兵器だとも思っていた。
だが、やはりそれだと辻褄が合わなくなる。あの女性の発言が不可解になる。
つまり、この雪には人間にとって必要不可欠な理由があった。そう考えると、不思議と辻褄が合う……気がする。
……例えば、何かの行動を制限する為、とか。
……あー駄目だ。俺はフラマ程ひらめきに優れている訳では無い。こう言う考え事は、世界をより良く知っているフラマだからこそ分かることがあるはずだ。
「――ナナシ、話を聞いているか?」
「……ああ、済まない。考え事をしていた」
「そうか。なら、もう一度言おう」
フラマは体勢を整え、話を続けた。
「調査によって判明した二箇所。今後はここを目指す。ナナシの体が完治すると同時に出発をしたい。それで大丈夫か?」
「ああ、問題無い。問題があるとすれば、姉妹達の方だが」
「……全員連れて行くか?」
「全員着いて来ると思うぞ」
「……それもそうだな」
……少しだけ、心の片隅に、不安感が募っている。
俺は、このまま雪を溶かしても良いのだろうか。この雪を降らせた根本的な原因が、未だに不明なのが、どうにもきな臭い。
俺は、このまま雪を溶かしても良いのだろうか。
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
いいねや評価をお願いします……ペンギンの自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……




