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ホロビタセカイデバケモノノタビ  作者: ウラエヴスト=ナルギウ(のペンギン)
21/51

其の十三 首都シャーレム 二

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


……と言うか文句はペンギンに言って下さい。

 その男性は、何処かエイミーの面影があった。


 その男性は俺の腕を掴んでぶんぶんと振った。


「痛い痛い……!! 本当に痛い!」

「ああ、済まない済まない。まだ傷が治っていないのだったな。……ああ、自己紹介が送れた。私の名前は……そうだな。"()()()()"だ」

「はぁ……成程」


 ……誰だこいつ。


 テミスが剣をゆっくりと抜きながら、その男性に振り下ろそうとしていた。


「殺す殺す殺す殺――」

「テミス!」

「こいつを殺すこいつを殺すこいつを殺すこいつを殺すこいつを殺すこいつを殺すこいつを殺すこいつを殺すこいつを殺すこいつを殺すこいつを殺すこ――」

「テミス!!」

「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺し――」

「テーミースー!! テミス! テミス!! 剣!!」

「"罰則""心臓麻――"」

「それは本当に洒落にならないから辞めて欲しいんだがなぁ!!」


 何とかテミスを諌めながら、サラに目配せをした。


「……あー……ナナシ。この方は、一応世界の王だ。国王陛下だ」

「…………テミス! 殺したら不味い方だから天秤を置いて欲しいし、剣もしまって欲しい! あーじゃあ命令! 大人しくすること!!」


 ようやくテミスが大人しくなった。ただ、エルマーに向けての敵意は消えていないだろう。


 陛下を殺せば……まあ、うん。良くて死刑。やっばいやっばい。


「いやいや、国王とは言っても業務は殆ど部下に任せているよ。それにしても、此方の者が済まなかった」

「……あー大臣が俺を拐って何とかかんとか……」

「私の責任でもある。まさかウィリアム大臣がそんなことをやっていたとは思わなかったのだ」

「……そのウィリアム大臣は?」

「……死んでいたよ。理由は今の所不明だが、魔法技術の痕跡が見付かった。念の為聞いておこう、背後から私を殺そうとした君」


 ……せめて威圧的な態度にならないで欲しいが……テミスだからなぁ……。


 テミスは相変わらず威圧的に返事をしている。


「何だ老耄」


 テミース!! 初端から無礼を働き過ぎている!! もう知らない! どうなっても俺はもう庇わない!!


「君のその力は、人に外傷無く殺すことが出来るのかい?」

「……可能性はある。ただ、私は一生最愛の人の隣にいる。近付く者は基本的に殺戮したがな」

「……ふむ。あの外傷がある死体は、君だと」

「ああ、それは私だ」

「いや、特に罪を問う気は無い。あちらに非があることは分かっている。だが、問題は何者が邸宅にいた彼等を殺したのかと言うことだ。君達で無いのなら……一体誰がやったのか」

「……止むに止まれぬ事情が、あるのだろう?」

「当たり前だ。そうでなければ、仮にも国の重役を殺すことなどしないだろう」

「そうでは無い老耄」


 流石にテミスの言葉を止めた。


「テミス」

「何でしょうか最愛の人よ」

「一応この人国王陛下だから」


 するとテミスは、心底不思議そうな表情を浮かべながら首を傾げた。


「何故下の立場のこの老耄風情に媚び諂わなければいけないのですか?」

「そんな訳無いだろうが。国王陛下なら一番立場は上だ」

「……? ……どれだけ考えても、理解出来ません。……ああ、もしや寝取られ展開を……。……まあ、最愛の人の命令ならば……いやしかし……」

「そう言うことじゃ無い! それだと俺が色々最低な人間になるだろ!?」

「ならばやはり理解出来ません。申し訳御座いません」


 こいつ色々危険だ!


「慕われている様だなナナシ君」


 国王陛下の人が出来過ぎている……!!


 エルマーさんはふと視線を俺横に向けた。より正確に言うならば、俺の隣で裸で寝転んでいるスティに向けた。


「……あー」

「……国王陛下、勘違いしてます」

「……そのー何だ。……いや……まあ……自由に過ごしてくれて構わない。……ここは私の城だ……。……ただ……そのー何だ……」

「もう一度良いましょう。国王陛下、勘違いしてます」

「……若いな」

「だから! 勘違いしてます!」

「……ああ、私がいては邪魔だな。邪魔者は消えるとしよう」


 そのままエルマーさんは申し訳無さそうにそそくさと部屋を後にした。


「国王陛下ー! 勘違いなんですー!」


 本当に……スティ……! スティの所為だ……!


 取り敢えず怒りを恍惚とした表情をしているスティの頬を怒りのままに突付いた。スティの頬を突く度に、「あう」と変な声を出している。


「あう、あう、あうう……」

「お前の所為なんだからな」

「何がいけないのか……あう、皆目見当が……あう、突付くのを辞めて下さい……あう」

「裸で寝ることが色々問題だって言ってるんだ」

「あう、あう、あう、あう……。……我等が主は御存知無いのです……あう。裸でいることの開放感を……あう、あう、あうぅ……」

「そんなことは知りたく無い」


 流石に疲れ始め、スティの頬を突付くのを辞めた。すると、スティは僅かに頬を紅潮させながら俺の頬に手を置いた。


「別に私は裸を皆に知られたい訳では御座いません。あくまでこの肌は全て我等が主だけが目視することの出来る物で御座います」

「……つまり?」

「主に私の裸が見られるのは物凄い興奮します」

「スティが変態なだけだろそれ!! ……痛い……」


 大きく声を出し過ぎて肺が痛い……。まだこの辺りが完全に治っていないのかも知れない。


「ああ、我等が主よ。あまり無茶を為さらない様に……」

「殆どスティの所為だがな……」


 相変わらず上体が動かせない。と言うか足も動かせない。もうこんな状況にも慣れてしまった。慣れるべきでは無いのだろうが。


 ……そう言えば、レトとモシュネの姿が見えない。まあ、そんなことを言ってしまえば、フラマもフィリップもエイミーも見当たらないのだが。


 だが、すぐにレトとモシュネがやって来た。誰も座っていない車椅子を押しながら、ベッドの前にやって来た。


「……ああ……起きられましたか……。……良かった……」

「御主人様、車椅子を御用意しました。気分転換に街並みでも拝見になられた方が良いと、このモシュネが、このモシュネから、提案致します」

「……車椅子を運んだのは……私ですが……。……モシュネはただ……私が運んだ車椅子を……見て……それを思い付いた…………だけなのでは」

「何か?」

「……いえ……少し厚かま――……何でもありません……」


 最近レトが毒舌になってる気がする。表現豊かと表現すれば、良い傾向なのか?


 テミスとモシュネが協力して、俺を車椅子に乗せてくれた。本当に感謝しか無いが、それと同時に申し訳無さも覚える。


 きっと彼女達は、この感情を吐露しても、「気にしないで下さい」だとか、「ただ御主人様の為に」だとか、そう言う言葉を吐くのだろう。


 ……それが、良いことなのかは、やはり分からない。それとも、記憶を失う前の俺は、それに答えを出したのだろうか。もしかしたら、答えを持っていたのかも知れない。


 ……まあ、結局、俺はレトに甘えてしまっている。モシュネにも。それにテミスとスティまで加わってしまった。


 レトが車椅子を押し、俺は外に出た。何とか痛む体を軋ませながら後ろを振り向くと、それこそフラマから見せられた絵本やら、絵画やらでしか見たことの無い城が経っていた。


 一番上まで見上げると、今度は車椅子から落ちてしまいそうだ。


 更に城壁から出れば、多くの人通りが見えた。


 今まで一度に目に入れた人間の数は、大体十数人だろうか。それを遥かに超えてしまった。数百人の人々が右へ左へ前へ後ろへ行き交うその大通りに、俺は圧巻されていた。


 むしろ酔ってしまう……。


 きちんと服を着ているスティが、俺の肩に手を乗せた。


「何処へ行きましょうか」

「取り敢えず、本が読みたい。ここなら多分色々専門的な本があるはずだろ? あ、金が無いのか」


 すると、レトが声を出した。


「いえ……エイミー様がある程度の……資金を頂きました……」

「そう言えばフラマとかフィリップとかエイミーは?」

「……どうやら……この国の王と何か……深刻な顔立ちで……」

「……そうか」


 まあ、議題は分かっている。重役である大臣が何者かに殺害されたとなれば、原因究明に力を入れるのは当たり前だ。


 ……何だか先程から視線が集まる気がする。気の所為か、それともこれが普通なのかは分からないが、どうにも気になる。


 原因は……ああ……。……多分俺の所為だ。


 隣には剣を携えているテミス。しかも目隠しをしている変な格好。


 それに車椅子なのも注目を浴びているのだろう。車椅子を押して貰い、同行者に女性を四人連れ、一人は護衛の様に剣を携えどう言う訳か目隠しをしている。もし俺がそんな人達を見れば、目を逸らすことが出来ない状況だろう。


 何と言うか、うん。もう仕方無い。受け入れるしか無い。


 テミスが辺りの人間に威嚇していることを除いて仕方無い。


 どうにも、テミスは俺と姉妹以外を全員敵視している気がする。……敵視と言うか、見下していると言うか、何と言うか。


 テミスの発言から、国王さえも見下している気がする。そうなると俺は国王よりも立場が上になってしまうが。


 ……いや、テミスから見れば俺の方が立場が上なのか? それなら何と無くあの威圧的な態度に説明が付く……のだろうか?


「……ああ……そう言えば……」


 レトが会話を始めた。


「ここは……首都シャーレムと……言うらしいです……」

「この街には雪が降って無いんだな」

「ええ……。この街には……どうやら半円形の壁が……貼ってあるらしく……。……その壁に雪が触れれば……溶けるらしいです……。……溶けた水は……様々な飲料や……生活用水として……使用されている……様です……」

「これを全世界に配布することは?」

「エネルギー的な問題が……まだ山積みらしく…………。……他の地域では……稼働することも……難しいらしいです……」

「そうなのか。……雪を溶かすならこれに対する研究をすれば良い気が……」

「……フラマ様もいるので……確かにそうですね……。……しかし……エネルギー問題で……普及が難しいとなれば……やはり難しいのでは……」

「さては雪が降る前の技術なのか? それなら追い付くこともまだ出来てないと思えば納得出来るか」

「……ああ……エイミー様がそんなことを…………言っていた様な……」


 モシュネが地図を眺めながらレトがその案内通りに車椅子を押して先へ進んだ。


 そろそろこの騒々しい景色に慣れたと同時に、この街の良さと悪さに気付いた。まず良い所、大抵の物は揃う。次に悪い所、人が多くて酔う。


 いや、これは俺の体質の問題だろうが、こればかりは……。


 まあ、また俺の体が元気な時に一人で来るとしよう。そうしないと周りの視線が気になって気になって……。


 少しだけ人々の喧騒から離れた細い道の奥。そこの僅かに寂れた木造の店。


 モシュネとスティはその両開きの扉を開き、レトが車椅子を押してその店の中に入った。


 入って来た光景は、優しい木の色だった。


 物静かで、何処か張り詰めた緊張がある中には、本棚が所狭しと並んでおり、自分を買ってくれる人を待っていた。


「……おや、お客さんとは珍し――って何事!?」


 本を一冊一冊丁寧に埃を払う男性が俺達のことを見るや否やそう叫んだ。


 ……まあ……うん。仕方無い仕方無い。


 その男性は恐らく年齢は同じ位だろうか。妙な青い服装を着ている。確か……えーと、フラマに見せて貰った歴史資料で似た様な服装を……ああ、そうだ。浴衣だ。


 黒い髪の美形であろう顔を隠す様に、黒い狐の面を付けていた。


 何だか此方のことを言えない位に変な人だ。


「あー……お客さん……何ですよね?」

「はい」

「……はぁ……。成程。何とも、個性的な……いや逆に統一感があって良いのかも? ……ああ、忘れていました。お客さんでしたら、本を探しに来たのでしょう? ここには大体の本は揃っています」


 余程自信があるのか、早い口調で語り始めた。


「さて、どんな本をお探しで? ここには有名な物から、あまりに駄作過ぎて世界から忘れさられ、あまりに危険すぎて消し去られ、政治的な理由から焚書にされた本までありますよ」


 それはそれで問題があるのでは無いのだろうか?


 すると、その男性は俺の顔をじろじろと見詰め始めた。


「……ふむ、中々に特異な力をお持ちですね。そしてその瞳、その髪色。成程成程。何より、彼女達の存在」


 そう言ってその男性は視界を俺の後ろに向けた。


「……ようやく訪れましたか」


 そう言って男性は店の奥へ走った。戻って来ると、一冊の本を俺の膝に置いた。


 その黒い表紙には、luraats(ルーラッツ・) gvuenie(ゲブニー)と書かれていた。人名だろうか。


「貴方が訪れた時に渡すべき本がありまして、それがこの本です」

「……ついでに、誰がそれを頼んだとかは?」

「さあ?」


 そう言って男性は首を傾げた。だが……嘘を吐いている様にも聞こえる。


「ただ、とても綺麗な方でしたよ。金色の髪と金色の眼が良く映えていました」


 金色の髪に金色の眼……?


 ……誰だ。思い出せない。……思い出せない? 知らないなら思い出せる訳が無い。当たり前だ。知らないんだからな。

 なら、何で俺は必死に思い出そうとしてるんだ? 俺は知ってるのか?


「……苦労している様ですねぇ」


 その男性はぽつりと呟いた。


「さて、他に欲しい本はありますか? 色々取り揃えていますよ」

「……それなら、より専門的な科学と魔法の本……とか」

「……ふむ、初心者向け……いえ、ここは私のお薦めの本を。えーと……少し待って下さい」


 男性は何かを引くように手を動かすと、本棚ががたがたと揺れ始めた。


 一際多く揺れたと思えば、本が全て飛び出した。そのまま、まるで鳥が羽撃く様に本が辺りを飛び回った。


 その男性は飛び回っている本を何冊か手に取ると、どんどんと俺の膝の上に乗せていった。


「数学も入れておきましょう。……超弦理論は難しいので辞めておきましょうか。……ああ、魔法技術もでしたね。で、し、た、ら……ああ、魔法学の本が。魔法子学も一応。熱力学の本も入れましょう。それに、知識欲が豊富そうですので、力学、熱力学、連続体力学、電磁気学も入れましょうか。工学にも興味はお有りで? それならこれもこれも、後これもそれも。ああ、化学と生物学も入れましょうか。天文学も入れます? それに医学も?」

「お、重い……」

「魔法力学、魔法学も入れましょう。魔法鉱物学はどうします?」

「あぁ……えーと……はい」


 計、何冊だろうか。数えてみれば、大体四十冊だ。


 全部読めるのか……? まずどうやって運べば……。


 そんな懸念を他所に、テミスはもう支払いを済ませてしまった。

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


いいねや評価をお願いします……ペンギンの自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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