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ネカマ兄様

(……私の愛が行き過ぎてしまったようだな。手や指の細さ、水溜まりに映るぼんやりとした輪郭、王家に伝わる水色の瞳、純粋さと礼節を含んだ声、まさしくミッフィーだ。そして何より全身を包むこのかお…りっっ)


ッッドゴォと轟音が響き渡ると同時にマコトの目の前にいた美少女が奥の岩山まで吹っ飛んだ。どこぞのスーパーヤサイ人さながらの迫力である。


「っいや!何してんだよマッチョ!!」


「あぁ、マコト違うんだ。トレーニングの一貫さ、ゴブリン退治は基礎中の基礎だろ?」


「いやゴブリンじゃねーだろ!どっからどう見ても!町の落書き共はとにかく、あの子は人間だっただろうがよ!!」


「いや奴はゴブリンだ」


「ッッッ♡!!!ゴブリンで構わない……わ」


振り向くと先程岩山まで飛ばされた美少女がボロボロになってそこに立っていた。ギャグなのに思いの外ダメージが入ったようで、長い木の枝を杖代わりにして両手で掴み、プルプルと震えている。


「それもまた…フフッ……いやすまない、そんな風に呼ばれたのは初めてでな。是非ゴブリンと読んでくれ……ていいわ」


話し方がどことなく不自然だか、それ以上にドン引きである。このゴブリンを名乗る美少女はドMらしい。これがギャグのジャンルでなければ死んでた攻撃を受けて喜んでいる、真のマゾだ。


「あー……あん。分かった。じゃぁ聞くけどゴブ子、なーして空から降ってきたんだよ」


「ゴブ子?」


「流石に罪悪感という罪悪感を軽減したいんだわ。女の子にゴブリンは流石にな……。んでゴブ子、なんでここに来たんだ?」


それからしばらく沈黙が流れた。


ほんとにやめて欲しい虐めてるみたいになるから。俺なんか変なこと言ったかな…あーもうなぜ何どうして俺はこうも


「私……」


「ん?」


俺が大反省会を繰り広げていると、ゴブ子がモジモジとしながら話し始めた。


「私、何も…覚えてないの……本当に、怖くて…でもお兄ちゃんは助けてくれる…よね?」


ズッッッッキューーーンと俺の胸が高鳴りを告げた。それもそのはず、27年にも及ぶ童貞死守者にこの上目遣いは即死攻撃に等しかった。


「んん…つぁぁすけます!!」



呆気ない。実に呆気がないと、自分でも思う。




──────────────────────



「ゴブリン、離れて歩け」


「んんっ…はぁい!」


美少女、改めゴブリン……改め…ゴブ子は俺らの旅に加わった。ゴブ子はマッチョの言葉にいちいち恍惚な表情を浮かべクネクネ震える。なんだろう、このいたたまれなさは。そして…


「なぁ本当にいい訳?流石の俺でも人間をゴブリン呼ばわりするのは…」


「黙ってろカス」


この対応の差だ。なんで俺こんなに傷つかなきゃいけないの?


「黙ってろマコト、こいつはゴブリンだ」


なんでマッチョまで辛辣なん?女の子よ?なんというかこう……手心というか…なんかない訳?もうやだこのパーティ。


こんな時はあれだ。青すぎる空に向かって叫びたい。「これから、俺は一体全体どうなっちゃうんだってばよーー!!」ってな


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