墓石の誘惑
私は霧のように深い森を彷徨っていた。暗闇の中を歩くこと数時間、突然、古い墓石が目に入った。そこには「見知らぬ人よ、ここで休むが良い」という刻まれた文字があった。
心の奥底から、その墓石に居眠りしてみたいという気持ちが湧いた。そこに座り、身をゆだねると、墓石に隠された不思議な力が私を包み込んだ。
私の目は閉じられ、静寂が包み込む。深い眠りが訪れる。しかし、その眠りから覚めると、森はもう違う世界に変わっていた。
空は黒く、地面は血で覆われている。私は恐怖に震え、逃げ出そうとするが、足がすくむ。周りには、私と同じように、墓石に居眠りした人々がいる。
私たちは、この世界に閉じ込められた魂たちだった。そして、ここで永遠に眠り続けることになるのだった。