コント「ココののぞみ」
配役・・・A=飼い主 B=飼い犬
A「ハンコじゃなくてサインでもいいですか?ありがとうございます。ふぅ、やっと届いた!早速使ってみよう。ココちゃん、こっちおいで」
B「ワンワン」
A「お荷物が届いたよ。これ、なーんだ?」
B「ワンッ!?ワンッワンッ!」
A「大丈夫だよ、怖いものじゃないからね~。ちょっと待ってね着けるから・・・ココちゃんこんにちは」
B「ワンッワ主人様何それ!?ご主人様何そ、あれ?今の声、ご主人様ですか?」
A「そうだよ。これは会話ンワンって言ってね、着けるだけでワンちゃんと会話ができる優れものなんだ」
B「本当?すごい!」
A「こらこら興奮しすぎ。グルグル回らないの」
B「ねぇご主人様。僕、欲しいものがあるんだ」
A「早速おねだりか。いいよ、何?」
B「あのね、僕に・・・お仕事をください!」
A「え?」
B「就職させて下さい!お願いします!」
A「落ち着いて。どういうこと?」
B「僕、仕事もしないで遊んでいる自分に我慢できないんです」
A「いや、犬はみんなそうでしょ?」
B「そんなことないです!盲導犬や警察犬みたいに、働く犬はたくさんいます」
A「言われてみれば確かに」
B「仕事もしないで家でゴロゴロ。これじゃニートです」
A「そ、そこまで言わなくてもよくない?」
B「バカにされないために働きたいんです」
A「でもココちゃんは今でも十分役に立ってるよ。僕を癒してくれる、我が家のアイドルってことでいいんじゃない?」
B「(あきれたように)ご主人様、僕もう5歳のおじさんですよ?」
A「おじさんって。確かに人間で言うと35歳だけど」
B「35のおじさんが家でゴロゴロして、僕は我が家のアイドルですって言ったらどう思います?」
A「痛いニート」
B「でしょ!?余計バカにされますって」
A「さっきからバカにされるって言うけど、誰かに何か言われたの?」
B「去年町で会った犬に言われたんです。“あなた、働きもしないでご飯もらえていいわね。私は女優と写真撮って、女優の好感度を上げる仕事してるのよ”って」
A「特殊な仕事だな。とにかく嫌味を言われたのね」
B「マウント取られて悔しくて。それからずっと仕事くれって訴えたんですよ」
A「そう言えばワンワン!ワンワン!ってやたら吠えてキュ~~ンって鳴くことあったけど、そんなこと言ってたの?」
B「気持ちが伝わらなくて悲しかったんですよ。何で気づいてくれなかったんですか?」
A「悪かったよ、もうそんな悲しい思いさせないからね」
B「約束ですよ?」
A「うん、約束する。ところでココちゃんは、どんな仕事がしたいの?」
B「フレキシブルな働き方ができる仕事です」
A「ふ、ふれ?難しい言葉知ってるね」
B「え?ご主人様は知らないんですか?」
A「・・・こ、この話はいったん置いとこうか。じゃあ逆に、やりたくない仕事はある?」
B「飼い主に“うちの子ゴハンって言えるんですよ~”って紹介されて、全然言えてないのにさらし者にされる仕事は嫌です」
A「そういう犬、テレビでたまに見るけど。そんなに嫌なんだ」
B「あと、おデブにされてテレビでさらし者にされる仕事も嫌だし、それから」
A「分かった分かった!さらし者にはしないから。うーん、どんな仕事がいいかな。そうだ!ココちゃん探し物は得意?」
B「はい!」
A「じゃあ・・・この靴下、片方どこかいっちゃったんだけど探せる?」
B「お安い御用です!クンクン・・・ありました、ソファの下です」
A「ありがとう!こりゃいいや。この特技を活かしてココちゃんには探偵犬になってもらおう。いろいろなモノを探す仕事だよ」
B「素敵!」
A「ほらグルグル回らないの。探し物をしてくれたらオヤツやオモチャをいっぱいあげるからね」
B「ところで、そのオヤツやオモチャを買うお金はあるんですか?」
A「う・・・(落ち込む)」
B「ご主人様、それより先にご主人様の仕事を探さないと」
A「う、うんそうだね・・・さてと」
B「ちょっと!何で会話ンワン外すんですか?僕の意見も聞いてくだワンワン!ワンワン!・・・キュ~~ン」