1章2C オリエンテーション
「あなたは、科学部に入部しましたね」
まあ、入部させられたようなものだけど……。
「これが科学の力です!科学の力があれば、帰宅部志望の人も、部活に所属させることができるのです‼︎」
それは、科学の力じゃなく、脅しの力っていうんだよう。
「ところで、私はこういう者です」
僕のことを引きずり込み、入部までさせた少女は、僕に向かって名刺を差し出した。
名刺には、“科学部長 頭破中学校一年 生天目未来“ と書いてあった。
ん?この名字なんて読むんだ?
僕が眉間にシワを寄せていると、科学部長こと、ミクが
「それは、なまためって読むんです。珍しいでしょ」
……自分で言うのはどうかと思うが。
あと、ついでだから、前から気になっていたことも聞いておこう。
「……この、うちの学校の読み方、トウハでいいのか? 転校してきたばかりで知らなくて」
「トウハ?何を言っているんですか?これは『あたまくるくるパー』って読むんですよ」
嘘をついているのかと思った。
すぐにスマホを取り出して、うちの学校のHPを開いた。
……ミクの言っていることは、正しかった。
名前を決めた人の顔が見たくなった。
僕が、自分の母校の名前が、あたまくるくるパーになってしまうことにショックを受けていると、ミクが、
「君の名は。」
と、大ヒット映画のタイトルのような名前の聞き方をしてきた。
僕は慌てて
「僕は、山田和哉。よろしくね」
と、言った。
「よろしく。和哉先輩! じゃあ、入部も決まったことだし、誓いのキスをしましょう!」
え? ええ? ええええええええええええええ〜⁉︎
〈続〉
【次回予告】和哉初キス。