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21話 私と晴香ちゃん

 「里穂お姉ちゃん、泣き止んで。ほら、歩かないと」

小学一年生におもらししたところを見られて励まされる高校二年生だなんて……

自分の状態があまりにも惨めで、ただでさえ暗く悪い視界が、歪んでさらにひどくなる。

最終的には頬に涙を伝わせながら、春香ちゃんに片手を握られたまま引っ張られて、案内されるほどだ。時には、ここに二つ水たまりがあるから気を付けて、だなんて言いながらも案内してくれる。


 途中で私は春香ちゃんを引き留めた。

「ねぇ、さっきのおもらしのこと千香には言わないで欲しいの」

「いいよ。もしバレちゃったらお姉ちゃん失格だもんね。言わないで上げるからちゃんと頑張ってね」

”お姉ちゃん失格”その言葉が私の脳内を何周も駆け巡る。

もし、この肝試しのペアが私と千香だったら、今頃はもう私は千香のお姉ちゃんではいられなくなっていたのかもしれない。

小学生の純粋な言葉は時に私たちを癒すが、時に凶器となる。


 私はこんなことでいいのだろうか……

そんなことを考えながらも、メイド服のスカートからおしっこを滴らせつつ、徐々にゴールの方へ向かっていく。何度か道の途中で自治会の人がお化けの恰好をして出てきたりもしていたが、私の気持ちはそんなことに驚くほど余裕がなかった。

そうこうしながらもゴールの目印であるライトが見えてくると、そのライトに照らされた麻衣ちゃんと千香の顔も見えてくる。


 すると突然春香ちゃんが私とつないでいた手を離し、私の前に立つ。

そうか、春香ちゃんは私がおもらししてしまったのを隠そうとしてくれているんだ。

私は心の中でなんども春香ちゃんに感謝しながら、麻衣ちゃんと千香の顔を順にみる。

麻衣ちゃんは少し暗い表情をしていて、千香の頬には涙が流れた後ができていた。

私の視線は千香の頬から下に落ちていき、千香のスカートに向く。

千香のスカートには私が前押さえしながらおもらしした時によく見るような模様ができていた。


 「千香おもらししちゃったの?」

「ごめんなさい、お姉ちゃん。」

千香は再び頬に涙を伝わせながら私に抱き着いてきた。

ふんわりとしたスカートが体と体により押しつぶされる。

私のしてしまったおもらしがこの時にばれてしまうのではないかと思ったが、メイド服の外側にまではおしっこは到達していなかったため、ばれなかった。


 「麻衣ちゃん、何があったの?」

すると、麻衣ちゃんが千香との肝試し中に何があったのかを事細かに教えてくれた。

私が聞いた内容はこうだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 月明りだけが照らす薄暗い夜道を私と千香ちゃんの二人だけで歩いている。

千香ちゃんはお化けが苦手らしく、私の手をギュッと握ってビクビクとおびえながら歩いていた。

私はそんな姿にかわいいだなんて思ってしまったけど、守ってあげないとって思ってた。

そして私は千香ちゃんに手を強く握られたから、私も千香ちゃんの手を強く握り返す。


 肝試しの終わりが近づき、もうすぐ終われると油断したところで、お化けが出てきて、それに驚いた千香ちゃんは固まったままでおもらしを始める。

固まっていた千香ちゃんのショートパンツからおしっこがあふれ出してきて、そのおしっこは千香ちゃんの細い足に伝っていく。

徐々に千香ちゃんはその場にしゃがみ、すべてのおしっこを出し切った。


 その場には雨も降っていないのに不自然な水たまりができている。

私は千香ちゃんを励ますために千香ちゃんの頭をなで、千香ちゃんの肩に手を当てて、励ましながらゴールした。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 私は千香を抱きしめながら、千香の頭をやさしくなでてあげた。

実際のところ私にこんなことしてあげられるような資格はないんだよね。

なのに、私はいままでずっと騙してきたせいで、この”お姉ちゃん”としての威厳を保てている。 

こんなことで私は本当にいいのだろうか。


 私が千香と抱き合ったままでいると、春香ちゃんの手が私の手と触れ、麻衣ちゃんの手が私の髪と触れる。春香ちゃんは私と同じように千香を慰めようとし、麻衣ちゃんは私のことを慰めようとしてくれているのだろう。

おそらく麻衣ちゃんはもう私がおもらししていることに気が付いていた。


 「ねえ! そろそろ戻って浴衣に着替えないと! 花火大会に送れちゃうよ!」

春香ちゃんが自分の左腕の手首につけてある小さな腕時計を見ながらそう言った。

私はそのことを知らされて驚きつつも、春香ちゃんのそのしっかりとしていて落ち着いた様子に深く関心してしまう。


 千香と私は、それぞれが屋台をやっていたところに浴衣が置いてあるので、それに着替えれば何の問題もなかった。麻衣ちゃんと春香ちゃんは浴衣を持ってきていないのかと思っていたが、麻衣ちゃんがずっと片手に持っていたカバンから、一着の小さな浴衣を取り出し春香ちゃんに手渡す。

そのかばんの中にはまだもう一着浴衣があるようだった。


 私と麻衣ちゃんはメイドカフェのブースの女子更衣室までやってくる。

幸い、ほかの人はもう着付けを済ませて会場に向かっているようで、私のおもらしが誰かに見られてしまうということはない。

私はメイド服を脱ぐ。

そのメイド服はおしっこを吸ってとても重くなっていて、真っ白なパニエやドロワーズは黄色く染ま

っている。それに夏とはいってももう夜なので、おしっこで濡らされて風にさらされたパニエとドロワーズは冷たくなっていた。


 私は麻衣ちゃんにおもらしの処理を頼もうかと麻衣ちゃんの方を見ると、麻衣ちゃんはちょうど今脱いだロングスカートを腕で抱えていた。

さっきは暗かったせいで気が付かなかったが、麻衣ちゃんのロングスカートはびっしょりと濡れていた。

「麻衣ちゃんもおもらししちゃったの?」

「うん。実はね……」

麻衣ちゃんはおもらしの処理をしながら、さっきゴールで教えてくれたことの真実を私に話す。

私も同じように股間を拭き、着物を着ながらその話を真剣に聞いた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 少しだけおしっこを我慢しながらも千香ちゃんとゆっくりゴールを目指す。

途中、尿意の波が私に押し寄せて、瞬間的に我慢がきつくなった私は千香ちゃんの手を強く握る。


 そして、肝試しも終盤に差し掛かったころだった。

お化けの恰好をした人が出てきて、私は千香ちゃんと声をそろえて驚く。

”ジョロッ”

驚いて気を抜いたせいで少しおしっこが出てくる。

しかし、一度出てきたおしっこは次のおしっこの呼び水となり、再び漏らしてしまう。

私は今なら止められると思い、強く股間を抑えた。


 しかし尿意は収まらず、バッグを持っていない方の手をロングスカートの上から挟みながらおもらししてしまう。

ショーツとロングスカートの生地を超えたおしっこはまず、私の薬指、中指、人差し指の三本を濡らしていく。

徐々に水流の強まっていくおしっこにより、ほかの二本の指と手のひらがすべておしっこで濡らされる。

同時におしっこは太ももにも流れ出し、生暖かい水流が私の太ももやひざやふくらはぎにまとわりつく。

足を舐めまわすようなその生暖かい感触にこそばゆくなり、私は少し変な気持ちにもなってしまっていた。


 私はおしっこを出しながらもふと千香ちゃんの方を見た。すると千香ちゃんが固まったままおもらしをしていた。私はそんな千香ちゃんをかわいそうに思い、私は千香ちゃんの頭をなでた。

しかしお姉ちゃんとしてこのおもらしがバレるわけにもいかず、私は千香ちゃんを前に歩かせて、千香ちゃんの肩に手を当てたままゴールをした。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「じゃあ春香ちゃん以外全員おもらししちゃったんだね」

「ううん。多分全員おもらししてる。だって春香はおむつしてるもん」

私はとても驚いた。そしてそれと同時に春香ちゃんがあの落ち着いた様子でいたことに関してすごいとも思った。


 「ほら、里穂ちゃん! 早く着付けないと!」

麻衣ちゃんの方を見るとすでに浴衣を着ていて、ほとんど準備ができている。

私は少し甘えたくなったせいで、麻衣ちゃんに着付けを頼んだ。

さすが麻衣ちゃんは毎日着つけているだけあって、本当に手際が良く、仕上がりもよかった。

「行こ! 里穂ちゃん!」

私たちは小走りしながらも、千香や春香ちゃんがいるところに向かう。

少しの騒がしさがまだ残っている運動場には、私たちの下駄が地面と当たり奏でる”カッカッ”とい音が加えられた。



 


 

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