17話 千香と2人でプールへ
朝食を食べ終えた後、私と千香は先に水着を着ておくことにした。
水着を下に着て、その上からいつも通りの私服を着る。こうすることで更衣室の長い行列に並ぶことがなくなるのだ。
私たちは替えのパンツと長いタオルだけをプールバックに入れて二人で家をでた。
ドアを開けた瞬間むわっとした夏特有の空気とセミのうるさい泣き声が私を包み込む。
私たちはは家の近くの公園の前のバス停に到着した。
バス停の前にある椅子に座りバスを待っていると、後ろの公園から男の子の声が聞こえてきた。
「あいつ、おもらししやがった!」
私はドキッとした。私急いで下腹部のあたりを確認したが、別に気づかずにおもらしをしてしまっているわけではない。
一呼吸おいてから声のした方を振り向くと、麦藁帽を被った一人の少年が、虫取り網を片手に目の前の木を見上げていた。
「あの子、蝉取りしてるね」
千香が私と同じ方向を向きながらそう言った。
「う、うん……」
勝手に変なことを心配していた私自身がすこし馬鹿らしく感じられて、私は暑さのせいではなく恥ずかしさで頬を赤く染める。
そうこうしている間にバスがやってきたので、私たちはすぐにそのバスに乗り込んだ。
バスの車内に入ると今まで私の体を包んでいた熱気は急になくなり、ひんやりしていてさっぱりした空気が私たちを包み込む。車内は意外に空いていて、二人して座席に座ることができた。
ここから目的の大きなプールまではこのバスに乗ったまま1時間ほどかかる。
しかし千香をそのままにして、私だけゲームに没頭することもできないので、私は千香とずっと話していた。
バスに乗って30分ほどがたっただろうか。
私は下腹部を内側から圧迫される感覚を少し感じていた。
確かにすでに家を出てから1時間以上たっていて、あまりおしっこの我慢できない私にとってはきつい時間だった。
それに加わり、乗客へのサービスであるクーラーが過度に効いていて、余計に私の尿意を増長させる。
カバンの中には帰り道に履く予定だったおむつがあるのだが、行きは水着を着ているということでおむつを付けていない。それにそのおむつを取り出して、千香の横でバレずにつけるのも無理がある。
今のこの状況は、温泉旅行に行った時のように千香の後ろの席にいるのではなく、隣の席にいるのだ。
もしこんな時に、あれほどのおもらしをしてしまえば、千香にバレることは確実だろう。
私は我慢していることを悟られないためにも、前押さえをすることすらできなかった。
私は、もしもの時を想定して、お尻の下にあったスカートの後ろ部分を少し上げて、スカートを濡れないようにした。
「お姉ちゃん、どうしたの? なんだかそわそわしてるよ?」
「そ、そんなことないよ。ちょっと寒かっただけだから」
私は心配そうな顔をしてみてきている千香の頭をやさしくなでてあげた。
バスがそのまま進んで10分が経った。
何度かほかのバス停にも止まるのだが、そこで降りてもその近くにトイレはなく、結局おもらししてしまうことになるので、私はバスに乗ったままでいた。
千香は昨日の夜に怖くてあまり眠れていなかったのか、私の腕に頭を当てて寝ていた。
すると、千香の頭が私の腕から外れ、少し前に傾く。
そのまま千香は私の太ももの方へ頭を倒した。
千香の頭により膀胱が圧迫されてしまい、下にきている水着に少し染み出てしまう。
千香が息を吸い、吐くたびに体が少し上下して、千香の頭も上下する。
私はその周期的な圧迫により徐々に水着を湿らしていく。
また、少しずつ我慢がきつくなり、ちびるだけでなく一、二秒間で続けてしまうようなことも増えてくる。
私は少し足を浮かして、バスの座席部分に手を差し込んだ。
私の手は濡れた水着とシーツに挟まれて、手の両面を濡らされる。
その時だった。足を浮かしたせいで、私の股を抑えていたバス座席がなくなり、急におしっこが外界を目指しだした。
我慢に我慢を重ねて疲労していた私は、10秒間ほどの放尿を続ける。
シートとおしりの間にある手に生暖かい水がかかり、その水は座席に吸い込まれていく。
10秒がたった時、座席面にはおしっこが少したまっていた。これ以上出してしまえば座席のくぼみからあふれ出し、千香だけでなく乗客全員におもらしが見られてしまう。
私は咄嗟におしっこを止めた。
今回の私は、こないだの家族旅行での車の時よりも早いうちから漏らしてしまっているので、ある程度ならおしっこを制御できる。しかし一度おしっこを途中まで出してしまうと、すぐに次を出したくなってしまう。だが、未だに私の手のひらには、おしっこの水たまりに使っている感覚が残っている。
一度放尿してから10秒ほどが経ち、ようやくすべてが吸収された。
そして、私はまたおしっこを出す。手を濡らし、おしっこをゆっくりと座席面へ落とさせる。
しかし一度おしっこを吸った座席は、なかなかおしっこを吸収せずに、7秒ほどでさっきと同じようになってしまった。それに今は千香が私の膝の上で寝ていて、スカートの一枚向こうには水たまりがある状態なのだ。
もし千香が起きていたら、私のおしっこの音も匂いも感じられてしまう。
そう考えると私は恥ずかしくてたまらない気持ちになった。
15秒ほどが経ちようやくまた水たまりがなくなり、私は再びおしっこを出す。
「もうすぐ東波プール前、お降りの方は……」
私がおしっこを出している間に、そんな車内アナウンスが聞こえてきた。
私は座席とおしりの間に入れていた手を抜き、下車ボタンを押すために腕を上げる。
すると、手のひらについていたおしっこが私の手首、肘、二の腕と伝い流れてきた。
しかしそんなくすぐったさにも関係なく、おしっこは出続けている。
再び手をもとの位置に戻すと、おしっこの水たまりの感触が手に触れる。
私は必死におしっこを止めようとするが全く止まらない。
そうこうしていると、目的地のプールが見えてきて、バスが停車した。
私は千香をゆすり起こし、先に立ち上がらせて、ドアの方へ向かわせる。
おしっこを何とか終えた私は立ち上がり、一度自分の座っていた座席を振り返った。
座席にはなみなみとおしっこがたまっていて、もう少ししていれば決壊していただろうと思えるほどだった。
幸いスカートは濡れておらず被害は水着とバス座席だけだった。
私は千香の背中に手を当てて、前に進ませながらバスの前方のドアへ歩いていく。
千香と私の分の運賃を財布から取り出し、お金の投入口に入れた。
普通ならそのままバスから降りるのだが私は運転手の方を向き、深々と頭を下げる。
「ごめんなさい」
顔を上げた私に映ったのはキョトンとした運転手の顔だった。
恥ずかしさのせいで元から体がほてっていたので、外に出てもそんなに大して暑さは感じなかった。
しかし、夏の強い日差しに照らされて、私は思わず目を細めてしまう。
それは千香も同じのようで、私たちは麦藁帽の唾を上手に使い、目元に影を作りながらプールの入場口へと歩いて行った。