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16話 おもらし隠蔽


 昨日の夜二人で作った水たまりを掃除した後、ついでに知らぬ間に千香が作った水たまりを掃除した。

その後私はバケツとタオルを私の部屋に置き、千香の部屋に入ると、未だに千香はすやすやと寝息を立てて眠っていた。

私は千香のもとまで行き、千香の目を覚まさせると、千香は目をこすりながら上体をゆっくり起こす。

この時に私の脳内に昨晩千香に言ってしまったことが読みがえる。


 私は申し訳なさでいっぱいになって、思わず千香を抱きしめた。

「千香ごめんね。昨日はバカだなんて言ってごめんね。せっかく千香がくれた愛だったのに……」

一方的に抱きしめた私の背中に千香の手が触れる。千香の手は私の背中をさするように動いた。

「いいの。お姉ちゃんは何も悪くないよ…… それよりお姉ちゃん、千香のパジャマが濡れちゃってる」

千香は布団をめくり、濡れて少し透けて肌が見えているパジャマを見せてくれた。

また、濡れたパジャマのままベッドで寝たせいでベッドも少しだけ濡れてしまっていた。


 そうだ。もとはといえばこの千香のおねしょを隠してあげようと思って千香の部屋に入ったんだ。

私も千香ぐらいの時は、おねしょをしたらお母さんに怒られていたが、もうほとんど怒られることはない。

「千香のその布団とパジャマ、私がどうにかしてあげるから、まずシーツをはがして私の部屋に持ってきて」

千香はまだあまりよくわかっていないようだったが、シーツをはがし始めた。私は自分の部屋に戻り、自分のベッドにある濡れていないシーツをはがす。


 千香がドアを開けて私の部屋に入ってきた。その手には一部分だけがおしっこで濡れていて、少しおねしょをしてしまったようなシーツだった。

「じゃあ、このシーツを千香の部屋のベッドにつけたらお風呂に入ってきて」

私は手に持っていた濡れていない私のシーツを、千香のシーツと交換してまた指示を出す。

千香はまた微妙な様子で頷いて、シーツを持ったまま私の部屋から出ていった。


 さて、ここからが千香のおもらしを隠ぺいするために重要なことだった。

まず私は、千香の部屋にあったシーツを私の部屋のベッドに付け替える。次に私は、ついさっき脱いだ濡れてしまっているパジャマを身に着ける。パジャマは冷たく濡れていて、私の肌にひっつき私の肌に冷たさを与える。

そして私はその上に寝ころがる。

私の視界には天井とその照明があるだけで他には何も見えない。

すこし天井に向いていた意識をすべて下腹部に集中させる。


 すると私の股間からおしっこが湧き出し、冷たくなったシーツと私のパジャマを温めていく。

今度のおしっこは意外と尿量が多く、水圧も強いせいでおしっこは前方向に軽い放物線を描いて飛んでいく。

冷たくなったパジャマを温めることはできなかったが、まるで私がおねしょをしてしまったかのような、黄色い世界地図が描けた。


 私はあの日のようにキッチンに行き、おねしょをしてしまったという報告をする。

キッチンからは相変わらずの、コーヒーとトーストといった朝を代表する二つの匂いが立ち込めていた。

「お母さん、おねしょしちゃった。それに千香も私のおしっこで濡れちゃって……」

「いいのよ。ほら、風邪ひいちゃうから千香と一緒にお風呂入ってきて」

お母さんは私の背中に左手を回し、私を抱き寄せて右手で私の頭をなでてくれた。

「おしっこでびっしょりだね」

「うん。お風呂入ってくるね」


 お風呂場に行くと千香がちょうどお風呂を上がったところだった。

「千香のおもらしはお母さんにバレてないから大丈夫だよ。でもこれからは頑張って治そうね」

「ありがとうお姉ちゃん!」

私は千香に背中を見せないようにして、千香と場所を入れ替わった。

濡れたパジャマを脱いだ私はシャワーを浴びながらさっき私の言った言葉について思い出す。

「これからは頑張って治そうねだなんて、私が言えるようなセリフじゃないのに……」

私は少しため息をつきながら、おしっこでしっかりと濡らされた体を洗った。


 千香を起こす時着ていた私服に着替えた私は、すでに朝食の準備がされているリビングへと向かった。

いつも通り手を合わせて、みんなで口をそろえて"いただきます"と言った後、まずコーヒーを一度飲んでからご飯を食べ始める。バターをバターナイフでとり、こんがりと焼けたトーストに広げていく。

すると、千香が突然話し出した。

「お姉ちゃん! 今日二人だけで一緒にプールに行こ!」

「いいよ、行こっか。プールってウォータースライダーとかがあるバスで行く少し離れたところだよね?」

「うん! お姉ちゃんとプール楽しみ!」

千香の笑顔は今までで一番輝いていた。

 



 


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