第94話 異常事態
なろうで書き始めて、だいぶ慣れてきました。この調子で頑張っていきます(*'ω'*)
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大輝は城のバルコニーから城下町の様子を眺めていた。そして、改めてこの国の現状を見て顔を暗くする。
物語の多くで滅びる国は大概戦争に敗れるか自然災害によって国の機能が成り立たなくなるということが多い。だが、これは違う。全く別の理由で滅びかけているのだ。だからこそ、この原因を引き起こしたであろう災悪を許すことは出来ない。
「酷いものだろう?」
「!......王様でしたか」
すると王様が声をかけながら大輝の隣へとやってくる。そして、大輝と同じ方向を見ながら言葉を続けた。
「今、目に映る全てが子供。これまで異常な光景はきっと歴代で私が初めてだろうな。そして、こんなになるまで対策をしなかった愚王としても初めてであろう」
「愚王ではないと思いますよ。子供達のことを思って何とかしてでも全員を救おうとしている。人の心を持っている証だと思います」
大輝が王様をフォローするように声をかけるが、王様はそのことに静かに頭を横に振った。
「それはあくまで人としての資質持っているだけの事、王としての資質は持ち合わせていないと言っているようなものなのだ。王とは誰しもが善人だけではいられない。時には非情にならなければならない時もある。それは全て民を守るため。王とは少数を切り捨て、多くを取るという人物のことなのだよ」
「だから、自分のことを愚王と......」
大輝は王様の言葉でなんとなく王という存在理由がわかった気がした。確かに守る人数が2、3人であれば、全員を守ると言っても納得は出来る。しかし、その少数が集団になり、そして組織されれば話は違ってくる。そういうことなのだろう。
だからこそ、勇者が必要なのかもしれない。国民や国を護るのが王様だとすれば、その王様を護るのが勇者であるといっても過言ではないかもしれないし。
「俺は成し遂げてみせますよ。この原因であろう災悪を討伐すれば、元大人達ももとに戻るかも知れないですし」
「そうなってくれることを願う。勇者殿、よろしく頼む」
王様は頭を下げる。その姿勢に頭を上げるよう言いながらも、「わかりました」としっかりと告げた。
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翌日、大輝達は準備を済ませると城を跡にした。そして、国を出ようと大通りを歩いていると相変わらず多くの子供達から不思議そうな目が送られる。ただ、城の方から歩いてきたせいかその目には輝きが混じっていた。
大輝達が門の前までやって来た時、一人の少女が走ってきた。その少女はこの国に辿り着いた時に最初に話しかけてきた人物であった。そして、少女は何かを言いたそうな様子であったため、大輝はその少女に目線を合わせた。
「どうした?」
「これ、あげる」
「これは......」
少女が渡してきたのは一本の花であった。大輝はそれを渡されるがままに受け取るとその花を<精霊の瞳>で見た。この花の名はアルデリックという珍しい花で、10年に一度出来るオアシスで咲く花らしい。もちろん、もとの世界にそのような花はない。この世界の固有の花のようである。そして、その花言葉は「希望」。まるでこの国の未来を託されたかのようであった。
そう思うとその花を持っている手が重く感じた。だが、これがおそらく王様が背負っている重さの一片なのだろう。そして、俺もこの重さを、いやもっと大きな重さを背負う覚悟をちゃんとしなければならない。もう人を切る感覚を知ってしまったのだから。逃げてはいられない。
「ありがとな。大事に受け取らせてもらうよ」
「うん!」
そう言うと大輝は少女の頭を優しく撫でた。そんな大輝の手に少女は嬉しそうに目を細めた。そんな光景をセレネは黙って見つめていた。
それから国を出立するとよく子供が目撃されるという場所に向かった。そこは本当になにもないただの砂漠。アップダウンが激しく、砂嵐がいたるところで見られる。
「ここで戦うのは出来ればしたくないな」
「そうだな。日差しで暑いし、砂で足は取られるし、遮蔽物がなくて砂に潜っている魔物に囲まれるしで明らかに分が悪い。それに子供にされる......とかなんだろ?」
「とはいえ、そんなことを言っていたとしてどうにかなるもんでもないでしょう?勇者も土魔法で地盤を造れるわけでもないし」
「無理だな。砂を固めることは出来るけど、それはあくまで魔力を流し続けた時だけだ。もともと固まっている土とはかってが違う」
大輝、俊哉、セレネはもはや無意味とかしている額の汗を拭いながら、話し合う。そして、その話し合いで結局打開策は見つからなかった。しかもそんな時によって、魔物はやってくる。
「全員、戦闘準備!周囲を囲って大多数の魔物がやってくるぞ!」
大輝がそう言うとサンドワーム、砂漠セイウチ、砂漠アリの大集団がまさしく地の利を生かすように、大輝達を襲ってきた。
大輝、セレネ、エミュの空を飛べる三人がサンドワームをそれぞれ一体ずつ相手をし始めた。大輝はサンドワームに一気に接近すると魔剣をサンドワームの首らしき部分に刺した。そして、その魔剣の柄に括り付けた糸を掴むとサンドワームを一周するように回った。
「お前はこれで終わりだああああ!」
大輝はその糸を思いっきり引っ張る。するとその糸はサンドワームに食い込んでその頭と胴体を二つに分けた。また、セレネの方ではサンドワーム自身の陰を使って、多数の巨大な<影の手腕>を作り出した。そして、その一部でサンドワームを縛り固める。
「共食いは好きかしら?」
すると残りの影でサンドワームそっくりな頭を作り出した。そして、それをサンドワームの頭に向かって食いつかせ、噛みちぎらせた。それから、エミュの方ではサンドワームにも向かって多数の<竜の炎連弾>を放った。しかし、そのほとんどはサンドワームに避けられる。だが、エミュの狙いは当てることではない。
「竜の業火に耐えれるかな?」
エミュはこちらに意識が逸れているサンドワームに一気に接近するとその胴体にしがみつき、バキュームのように息を吸ってその胴体に噛みついた。そして、その胴体の中に流し込むよう竜の業火を吐いた。するとサンドワームの胴体は熱せられた溶岩のように赤くなり、やがて口から炎を吐いた。それからしばらく暴れまわったが、全身が炭のように真っ黒になると朽ちていった。
そして、三人がサンドワーム倒し終わり、下にいる俊哉達を見るとそっちも丁度終わったらしくこちらに向かって手を振っている。
「結構な魔物の数だったが、問題はなかったな」
「それだけ俺達も強くなったということだろう。だが、これだけ魔物が多いと今までの傾向的に言えば、災悪が近くにいそうだな」
俊哉はそう言って、周囲を精霊に探ってもらう。するとその確認をし終える前に異常は起こった。それは突然大輝達を巻き込んだ砂嵐。大輝が咄嗟にかけた風の結界でダメージこそなかったが、それでも周囲を状況をわからなくするほどの荒れ具合であった。
「とうとう災悪のお出ましのようだな」
「......なあ、今この場に何人いる?」
「大輝、突然どうしたの?」
俊哉が気合を入れるように拳を合わせると急に大輝がおかしなことを言い始めた。それに対し、香蓮は疑問に思いながらも答える。
「六人だけど。まあ、レオちゃんはもちろん抜いてるわよ」
「なら、どうして結界内に五人しか気配がなく、外に二つの気配があるんだ?」
「は?感じ間違いじゃないのか?だってこの場には六人いるぞ?」
俊哉は大輝の言っていることがわからなかった。なんせこの場にはちゃんと大輝、香蓮、自分、茉莉、エミュ、セレネといるのだから。だが、大輝は自分達を疑うようにして一人一人見ていくとひとりの所で止まり、「嘘だろ......」と呟きながら目を見開いた。
「香蓮、セレネに触れてみろ」
「え?わ、わかったわ......なっ!?」
香蓮は触れた瞬間、大輝と同じように驚いた。なんせそこにセレネに実体がないからだ。つまりそこにあるのはホログラムのような二次元なもの。その光景を見ていた他の四人も言葉を失う。
大輝はすぐに結界の範囲を広げ、この砂嵐を消滅させた。するとそこには笑みを浮かべたゴーストのような黒いなにかとセレネによく似た小さな子供。するとそのゴーストは地中に潜っていくような動作をするとその位置を中心として、大輝達を砂の中へ引き吊り込むようなアリジゴクを作り出した。
全員すぐにその場から離れたが、少女だけがゆっくりと引き吊り込まれていく。大輝は咄嗟にそのアリジゴクへと戻るとその少女を抱え、その場を脱出した。すると、そのアリジゴクは依然として残り続けていた。まるで大輝達が望んでそこに入っていくかのように。大輝はそのことに苦虫を嚙み潰したような顔をしながらも一時この場を離れた。
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