第85話 共闘
タッグ戦の動きを描写するのがむずい(´Д⊂ヽ
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「よう、随分と早い帰りだなぁ?」
「これでも随分と遅いがな。それによくもこんなに痛みつけてくれたな!」
大輝は思わず声を荒げる。それは仕方がない。なんせ戻ってみればユリスがボロボロの姿で、ベリアルに顔面を鷲掴みにされているのだ。悪魔に対して何を言っても無駄であろうが、それでも少女にこんなことをするのは許すことが出来ない。まあ、もともと許す気もなければ、はなからぶっ倒すつもりだったが。
「その恰好、オレのゴーレムちゃんと楽しく遊んでいたようだな。オレの魔力パスがあるってことはどうやら倒してねぇみたいだが......はっ、勇者のくせに逃げたのか?勇者とは『勇気ある者』って意味なんだろう。とんだ腑抜けじゃねぇか」
「お前になんて言われようと構わない。俺だって勇者は柄じゃねぇっとことぐらいわかってるからな。だから、任せたんだ。俺の仲間に。俺は託されたんだ、お前を倒すことを」
「言ってくれるじゃねぇか。だが、今にも満身創痍のお前にオレが負けるとでも?加えて、そこの嬢ちゃんはオレに嬲られてもう心が死んでしまってるんじねぇか?」
「俺の師匠をなめんなよ」
そう言いつつもそのことに関してはユリスに心配な目を向ける。なぜなら先ほどから反応してくれないからだ。呼吸はしている。そして、安心したように体を預けている。だが、その瞳にはあまり光というものが見られない。それに左腕から多くの血を流したのかあまり顔色が良くない。
「ユリス......おい、ユリス大丈夫か?」
「おいおい、さっきの自信たっぷりの発言はどうしたんだ?くくくっ、あんまオレを笑わせんなよ」
大輝はその言葉に思わずベリアルを睨む。だが、そっちに構っていられない。こういう時どうすれば反応してくれんだ?声をかけても、肩を揺さぶっても反応する気配がない。目に光が宿らない。このままでは失血で死んでしまうかもしれない。
大輝は唇を噛みながら悩んだ。するとユリスが虚ろな瞳で大輝を見ながら告げる。
「大輝さん......どうやらここまでのようです。体が寒くなってきました。先ほどは無我夢中で行動していたのですが、大輝さんが来てくれて安心したのか体が抜けてしまって.....」
「.....ユリス、回復魔法は使えるか?」
「使えますけど......なるほど、回復させて欲しいんですね」
「悪いな、身勝手で」
「気にしないでください。大輝さんの役目は知っていますから」
そう言うとユリスは大輝に回復魔法をかけた。すると大輝はなにかを呟くとユリスを抱擁した。そのことにユリスは二重の意味で驚いた。その一つ目は大輝の抱擁という行動。二つ目は大輝にかけている回復魔法がなぜか自分も治癒されているのだ。もちろん、ユリスは大輝の背中に手を置いて回復魔法をかけているだけだ。
大輝は復活すると立ち上がり、笑顔でユリスに手を差し伸べる。ユリスはその行動に思わず驚き、同時に光が戻った。それから次第に涙が込み上げてくる。大輝はまだ私のわがままを聞いてくれている。私と一緒に戦おうとしてくれている。その優しさが、温かさが、笑顔が、心に染みて体温を上げていく。そして、私も自然とつられて笑顔になる。失った自信が、弱った心が戻ってきて、強くなる。それがどんなに嬉しいことか。やはり、私は大輝さんが......
ユリスは確かに大輝の手を掴むと立ち上がる。そして、二人でベリアルの方を見た。
「律儀に待っちまって」
「その選択が間違っていたことを後悔させますよ」
「はっ、ようやくいい面構えになったな。やっぱ、こういう顔を絶望に染め上げねぇと面白くねぇよなぁ!」
そう言うとベリアルは大輝へと突っ込んでいった。それに迎え討つように大輝も向かっていく。まず仕掛けたのはベリアルで右手を大きく引くと一気に突き出した。それを大輝は魔剣で受け流し、聖剣を袈裟切りに振るった。だが、ベリアルは後方に下がってその攻撃を避けると後ろ回し蹴りを大輝に向かってした。
「おらああああ!」
「ははは、そらあああよ!」
大輝はそれを右腕で受けるとしゃがみ込んで足を払う。だが、それを見越したようにベリアルは地につけた片足だけでバク宙し、大輝から距離を取る。そして、左手を向けると<闇弾>を放った。
「大輝さん、気を付けてください!それは魔法を吸い込みます。撃ち払うことは出来ません。ですが、許容量以上になれば暴発させることが出来ます」
「わかった」
「わかったからってどうなるもんでもないだろう?」
ベリアルは嘲笑うように大輝にそう言う。そして、その言葉に対し大輝は苛立つこともなくただ不敵な笑みを浮かべる。そして、<空間宝物庫>から一つの石を取り出すとベリアルに向かって投擲した。それにベリアルは思わず警戒する。
「くらえ!」
「!」
大輝はその石に巻き付けた蜘蛛糸から魔力を流し込んでいく。その瞬間、ベリアルを簡単に包み込む大爆発が起こった。その勢いは爆風だけでベリアルの近くにある木をなぎ倒し、地面を抉った。爆発が収まった後は煙で姿が見えないが、気配は感じる。すると爆風の中からその身を焦がしながらも悠然に歩いてくるベリアルの姿が。
「くらってやったがぁ......それだけか?」
「大輝さん、危ない!......屈折光線!」
「!.......がはっ!」
ベリアルはこれまで手を抜いていたかのように気を抜けば目で追いきれないような速さで大輝へと接近した。ユリスは近づけさせまいと追尾する光線を放つが簡単に避けられ、追尾させても追うことが出来ない。そして、大輝の前に現れると咄嗟に聖剣を振ろうとした大輝の右手首を左手で掴むと大輝の胴を袈裟切りにした。大輝の胴から鮮血が舞う。
「痛てぇな!」
大輝は切られてもすぐに魔剣を振ってベリアルを間合いから離れさせる。するとユリスが駆け寄ってきてすぐに回復魔法で治療に入った。
「させるかよぉ!」
だが、今度はさせまいとベリアルがユリスに切りかかった。大輝はユリスを護るように前に立つとベリアルの剣を受け止める。だが、切られた箇所が尋常じゃなく痛み、傷が開いたのか装備が赤く染まる。
「流星波動!」
「あめぇ!」
ユリスは大輝が食い止めているベリアルに向かって光の波動をほぼゼロ距離から放った。だが、ベリアルは大輝から一歩下がり、流れるように体を動かしてユリスを間合いに入れるとユリスの杖を弾いた。そしてそこから、思いっきり中段蹴りをした。だが、それを大輝が横から蹴って攻撃を防ぐ。
「お前は雑魚とでも戯れてろ!」
ベリアルは大輝達から距離を取ると召喚魔法で大量の魔物を召喚した。そのことに大輝とユリスは思わず苦虫を嚙み潰したような顔をする。さも自然に召喚魔法を使っているが、それはもとより村長の魔法だ。お前が使っていい魔法ではない。
「行くぞ、ユリス」
「わかりました、大輝さん」
「いけ、お前達」
大輝が動き出した瞬間、ベリアルも魔物を動かした。大輝は最低限の魔物を切っていき、残りはユリスの援護射撃に任せてベリアルに直進していく。そして、聖剣を一気に突き出した。それをベリアルは半身で避けると下から上に袈裟切りした。だが、大輝は魔剣で受け止め刀身を滑らせて切りかかる。しかし、ベリアルは左手を支えにするようにバク転して攻撃を避けると同時に振り上げた足で大輝を攻撃した。
「!」
大輝はそれを見切ったように体を逸らして避け、しゃがみ込むとその手を足で払って聖剣で切りつけた。しかし、切った間隔はない。そのことに驚いていると目の前にいるベリアルが次第に揺らめき始め、その姿を消した。代わりに大輝を囲むように魔物が立ち塞がっていた。大輝は咄嗟に気配を探るとベリアルはユリスの方に!
「ユリスを狙ってんじゃねぇ!」
「前衛と後衛がいたらまず後衛を倒すのは定石だろう?」
「あんまりなめてもらっては困りますよ!」
大輝がすぐに魔物を薙ぎ払ってユリスの方を向かう一方、ユリスはベリアルの攻撃を杖でなんとかしのいでいた。するとベリアルが回し蹴りをしてきた。ユリスはそれを上体を逸らして避け、杖に炎を纏わせると一気に突き出した。だが、その攻撃は剣で弾かれ右肩を掴まれる。
「黒槍」
「あああああ!......白明光!」
「ぐああああ!」
右肩を掴まれたユリスはベリアルの闇の魔力でできた槍をゼロ距離で射出され、貫かれた。だが、相打ち覚悟とばかりに左手に持った杖をベリアルに突き出すと眩い閃光がベリアルを襲った。その攻撃は範囲攻撃だったため逃れるにはベリアルは遅すぎた。そのため身を焼くような激しい痛みが全身を駆けずり回る。
「!」
そして、後方からは大輝がベリアルの隙を逃さまいと駆けていき聖剣で切ろうと振りがぶったその瞬間、大輝の脳内にあのゴーレムと戦った時と同じようにビジョンが流れた。それはベリアルが大輝に対して背を向けているのは誘いで、その実は大輝が切りかかったと同時に剣を横に振るうというものだった。その攻撃を大輝は避けられることは出来ず、喉元を切られ地に伏せる。これもまた大輝は確かな予感がした。
「がはっ!」
大輝は咄嗟にブレーキをかけると両剣を逆手に持ち、地面に刺した。そして、その剣を支えにして逆上がりするように足を上げた。するとベリアルは「なぜ見切られた!?」と驚いた顔をしながら大輝に顔スレスレで避けられ、代わりに大輝の足で顎を思いっきり蹴られる。
「六属の剣!」
「ぐふぉ!」
そこにさらに追撃とばかりに火、風、氷、雷、土、光の剣が死に体のベリアルへと射出され、その胴を貫きながら吹き飛ばす。そして、大輝はまだ追撃を終わらせない。今がチャンスとばかりに一気に攻め込む。
大輝は遠くへ離れていくベリアルに向かって蜘蛛糸を飛ばした。そして、ついたことを確認すると一気に引き寄せる。同時に鋭く神経を集中させながら。もし、もしあのビジョンがもう一度見れるなら俺に力を貸してくれ!そう願った瞬間、これまでの二回よりもより鮮明にこの周りの動きがスローに見えた。この感覚が正しいならこれは未来の光景だ。
そして、ベリアルは俺の動きに合わせて魔法を放とうとしてくる。それは異常に速い弾速で俺は避けられず胴をハチの巣にされる。なら、それを防ぐ!大輝はタイミングを計って土魔法で地面を突起させ、向けてきた左手を弾いた。
「お前に良く効くだろ......聖閃!」
「あああああ!」
「屈折光線!」
「ああああああああ!」
大輝は神聖属性を付与した聖剣を頭上に掲げると一気に振り下ろした。その攻撃はベリアルの胴を切り裂き再び吹き飛ばす。そこにユリスの援護射撃が飛んできた。ユリスが放った光線は大輝を避けるように屈折し、ベリアルを襲った。その二つの攻撃にベリアルは周囲に響くような悲痛な声を上げる。
「これで終わりにしよう......ユリス」
「はい、大輝さん」
大輝は剣をしまいユリスに近づくと使えなくなっている右腕の方に立ち、杖の先に俊哉達からもらった聖魔石を括り付けると右手で杖を支えた。そして、ユリスの左肩にもう片方の手を置いて引き寄せる。ユリスはその大輝の行動に身を預けるように立ち、左手で杖を支えた。
「神聖属性付与、能力増幅、魔力全解放」
「了解なのじゃ」
「わかったなの」
「「流星消閃光」」
大輝とユリスはその杖にすべての魔力を注ぎ込んでベリアルに放った。その光は真っ直ぐベリアルに向かい、優しくしかし力強い光を放っている。その光線に対しベリアルは咄嗟に<黒渦>で飲み込もうとした。だが、当然と言うべきかその強すぎる魔力はベリアルの魔法を破壊し、ベリアルを優しく包み込む。
「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
するとベリアルは断末魔の叫びを上げた。その光は村長に取りついたベリアルだけを攻撃しているらしく、村長の体に傷は増えていない。そしてやがて、村長の体からベリアルの本体であろう黒い靄が出るとその身を消滅させた。
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