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好奇心で異世界への魔法陣に飛び込んだら青春を謳歌しました!  作者: 夜月紅輝
第5章 たとえ叶わないとわかっていても
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第77話 まさか......

うう、つなぎの話が上手くいかない(-_-;)あ、ストックの話ですけどね


評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(*^-^*)

 大輝がユリスのもとから離れるとユリスに言われた通りとりあえずこの村をよく見てみることにした。この村の雰囲気は大輝が最初にいた村に比べて活気は少ないが、魔術師見習いの子供たちが多く見られる。そして、耳を済ませればどこもそこも魔法に関する話をしている。たまたま聞いた内容によれば違う言語で話しているのではないかというぐらい全くわからない話をしている。そう捉えるとユリスは凄いところから出てきたのだなと思う。


「見ることはないでしょう?こんな光景は」


「村長さん......そうですね、何を話しているかさっぱりです」


 大輝がそう言うと村長は軽快に笑った。こんな光景はここでしか生まれない。勇者様がそう思っても仕方ないだろう。


「そうじゃの......たとえばその右側にいる子供たちはまだ初期の方である魔力練度をどのくらい練り合わせたら元の魔法の魔法の倍以上になるのかを話し合っておる」


「は、はぁ......」


「そして、左側の少年少女たちは魔力練度を高めなくても魔法そのもののレベルがどうやったら上がるかを研究しておる」


「へ、へぇー......」


 大輝はもはやおざなりな返答しかできなかった。研究課題はわからなくはない。魔法レベル自体が多くなるのならより多くの人が強くなることができるだろう。だが、その話している内容がやはりわからない。所々知っている単語を聞き取るだけで精一杯。


「そんな顔をせんでも大丈夫じゃ。儂がここに初めて来た時も同じじゃったからの」


「お主はここ出身ではないのか?」


「どこの国から来たの?」


「ほほほ、しゃべる剣は初めてじゃの。なんだか研究意欲が湧いてくるの」


「「やめるの(じゃ)!」」


 村長のからかいを真に受けて思わず怒鳴り返すフランとドリィ。そんな二つの剣(二人)の反応を見て「まるで人みたいじゃの」と楽しそうに笑うと村長は聞かれた質問に答えた。


「なーに、大した場所でなく普通の田舎村じゃよ。子供の頃の儂は物語に出てくる大賢者に憧れての。大魔法を使って敵を薙ぎ払い、難解な問題を知略を使って解いていく。それがとてもカッコ良かったんじゃ」


 村長はその当時のことを思い出しているのか子供のように瞳を輝かせて話した。だが、すぐにその輝きは消える。


「じゃが、結果は御覧の通りじゃ。儂は大賢者になるためにいろんな情報を集めてこの地に辿り着いた......が、その時にはもう40歳を過ぎていた。そして、その当時の師匠に言われた言葉は『お前にその才能はない』じゃった。儂は酷く悲しかった。どこかわかっていたとしても自分の夢が、憧れが壊されるというのは」


 大輝はただその言葉を黙って受け止めていた。......「才能」その言葉はとてもわかる。その圧倒的な壁の高さも、険しさも。たとえ今は「勇者」という才能を持っていたとしても強気になんてなれはしない。知り合いであってもそうでなくても簡単に自分を飛び越えて先に向かってしまう苦しさを知っているから。


「......じゃが、儂は「才能」というたった一つの言葉で片付けられるのが酷く悔しかった。じゃから、儂は今からでも遅くないと必死に学んだ。何年、何十年かかっても老体に鞭を打ってでも。じゃが、結局成れることは叶わんかった。成れたとして自称賢者見習いというところかの」


「そんなことないですよ」


 大輝は勝手に言葉漏れた。村長の言葉が心に響いた。俺は「才能」に挫折した人間だ。努力しても叶わないと分かった時、「才能」という言葉に俺の夢も一蹴されたとき俺は全てを諦めた。だが、この村長さんは違う。どんなに苦しんでも、辛くても自分の憧れのために悔しさをバネにして努力した。それこそ俺とは比べ物にならないぐらいに。


 俺は思い出せば後悔の念が湧き上がる。だが、俺が今見ている村長の顔は心なしか晴れやかにも見える。この人は凄い。初めて会ったけどそう思う。だから、村長の行動は決して無駄ではないと言いたい。


「村長さんは十分賢者の域に達していると思いますよ。そうじゃなきゃこの村で村長なんてやってないだろうし、こんなに多くの子供達に魔法の魅力を伝えられてないですよ」


 大輝の目の前にいる子供達はなにも人族だけではない、その中には獣人、エルフ、それにあれは海人族であろうか。そんな多様な人々が種族も関係なく話している。ここに魔族と竜人族がいないのが残念だが、それだけ魅力が伝わっているということだと思う。


 大輝がそんな言葉を送ると村長は瞳を潤ませた。そして「最近、涙もろくての」と言いながら言葉を続ける。


「勇者様にそんな言葉をかけてもらえる日が来るとは......頑張って来たかいがあるわい」


「大袈裟ですよ」


「いいや、儂らにとってはそう感じるのじゃ。それにそんな方が勇者様で良かった.....」


 村長がそう言った瞬間、なぜか今まで心地よかった風が冷たく感じた。さすがに気のせいかもしれないが、そうは思わない自分もいる。


「ミリアのことをよろしく頼む。もう限界近いおそらくこれで最後じゃ......」


 そして、大輝に背を向けると村長はどこかへ去っていった。大輝はそんな村長の寂しそうな背中を大輝は眺めていた。


 村長の姿が見えなくなると大輝はこの村を囲っている木に向かっていった。その木には小さな魔石が巻き付けられていてその木がが等間隔に植えられている。


「これが結界か」


 大輝はその魔石に手をかざし魔力を当てる。すると僅かな抵抗を感じたので、ちゃんと機能通りに動いているようだ。それから大輝はその魔石を一つ一つ確かめていく。そして、一周して全ての魔石に異常がないことがわかると今度はその結界外に出て調査し始めた。


「ん?......」


 大輝は思わず首を傾げる。それはあるはずの反応がないからだ。


「フラン、能力増幅してくれ」


「そう思ってもう使ってるのじゃ」


「けど、災悪の反応がないの」


 ドリィの言う通り女神の予知能力がまだ回復していない以上、もうすでに災悪が現れていることになる。となればすぐに大きな気配が捉えられるはず.......なのだが、その反応がまるでない。それが大輝には疑問であった。


 だが、いないからといって引き下がるわけにはいかない。大輝は周囲を探りながら歩いていく。


「あれは......小屋?」


 小さい魔物の気配しかいないことに若干の焦りを感じていた大輝だが、そこでふと朽ち果て寸前の小屋を見つけた。そこの小屋になにかを感じ取った大輝はその小屋へと向かってみる。


「随分と物がたくさんあるな。しかもほとんど書物だし」


 大輝が言った通りそこには本が敷き詰められた棚に机には何か研究途中のような紙が置かれていた。大輝は同じく机に置かれていた一冊を手に取って目を通してみるが、書いてあることはさっぱり。英語の辞書を読んでいる気分だ。


「ん?」


 その時、大輝は机にある紙に一文が書かれていることに気づいた。しかもその位置はちょうど大輝が本を手に取らなければ気が付かなかった位置だ。しかも何か先に書いてあったようでそれをかき消したうえで一文が書かれている。そして、その一文に目を通してみた。


『これをどうか善ある者に託す』


「善ある者......」


 「俺、勇者だから大丈夫だよな」と若干な不安に駆られながらもその一文が指し示している本を手に取ってページをペラペラとめくってみる。するとあるページのところに止まった。そのページは大きくただ一つの魔法陣が書かれてあった。そして、そこに「魔力を当てろ」と書かれてある。まあ、物は試しと魔力を当ててみることにした。


「うおぉっ!」


 当てた瞬間、その魔法陣は輝きだし、光が大輝の頭を包み込んだ。そして、その光が消えると大輝は咄嗟に瞑った目を開ける。状態異常というのはなさそうだ。ペタペタと顔に触れてみるが、何か変わった様子はない。大輝は少し不安に思いながらも、これはユリスに相談してみようと空間宝物庫(ストレージ)へとしまった。それから他に特に変わったものがないことを確認すると一度村に戻って俊哉に頼んでいた成果を聞くことにした。


 そうして大輝が村に戻って俊哉に会うとさっそく情報を共有し始めた。


「とりあえず、結界が無事に張られていることを確認した。だが、肝心の災悪は確認できなかった」


「あー、そのことなんだが......」


 大輝の言葉を聞くやいなや俊哉はバツが悪そうな顔をした。そして、言いずらそうにしながらもちゃんとわかったことを伝えた。


「大輝、悪い情報だ。災悪はおそらく村の中にいる。反応は小さいが複数確認できた」


「......は!?」


 大輝は思わず目を見開き、思考が停止した。俊哉の言葉を聞いた瞬間、すぐに冗談かと思ったが、俊哉がそんな悪趣味な嘘をつかないことは俺自身が一番知っている。そしてまた、俊哉の言葉は信憑性が高い。俊哉の職業は精霊騎士。職業通り精霊を操るのだ。そして、その精霊は悪意に敏感。だから、災悪の調査を俊哉にも頼んだのだ。


 だが、俊哉の言葉は大輝にとってあまりに衝撃的であった。村の中にいて、それも複数。村の中には生物を飼っている者はいない。つまり今度戦う相手は問答無用で「人」なのである。


 人を切る覚悟はあの猿の魔物が人に近かったからそれで作った。だが、見た目は猿であった。あの時は勢いで覚悟を作ったが、もしかしたら作った気になっているだけかもしれない。


 大輝に妙な汗が流れてくる。人を切る覚悟、その切った罪を背負う重圧。それを考えただけで肩が重くなる。


 そんな大輝にさらに追い打ちをかけるような情報が飛び込んできた。


「それからもう一つ、もしかしたら関係しているかもしれない情報がある」


「......なんだ?」


「村長の姿がないらしい」


「!......げほぉげほぉ」


「大輝、大丈夫か!」


 大輝はその言葉を聞いた瞬間、胃酸が込み上げてくるのを感じ思わずむせた。幸い吐かなかったが、そんなことはどうでもいい。重要なのは災悪が村にいる状態で、その中から村長だけが消えた。そして、思い出すはあの言葉。


『もう限界が近いこれでおそらく最後じゃ......』


 大輝の鼓動が早くなってくる。悪い考えが込み上げてくる。冷汗が止まらない。俊哉が言っていた言葉は「小さい反応が複数」。ということは大元がいるはず。まさか......まさか、まさか、まさか、まさか、まさか!


 あの村長が災悪なのではないか?

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