第74話 俊哉の思わぬ一日#2
この作品を脳内でイメージして書いてる時に流れる曲はいきものががりの「ゴールデンガール」ですね。すごくどうでもいいですね(´-ω-`)良かったら聞いてみたらいかがですか?
評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(*^-^*)
「見たかったなー、あの悔しそうにしながらも泣き腫れたガキの顔」
「ははは、すげーもんだったぜ。髪を見せたら殴りかかって来たけど、俺に蹴られてすぐに抵抗しなくなった」
「ああいうガキは扱いやすくて助かるよな」
とある広い廃屋で男たちが一人の少年のことを話題に上げて話していた。話していた内容は反吐が出るほど下衆な内容であったが、話していた三人の男はとても楽しそうに、その周りにいる大勢の男たちも面白がって聞いていた。
「だが、足りねぇな」
一人の男がそう呟くと鶴の一声といった感じで辺りは一瞬で静まり返った。先ほど話していた三人の男も聞いていた大勢の男たちも緊張の顔色を浮かべた。その男はおそらくこの場にいる全員を統率するリーダーなのだろう。
リーダーは軽くため息を吐くと話していた三人、いや金を回収しに行った男に告げる。
「いびることは別にいいんだがよぉ......なんだ?この額は」
「そ、それはあのガキの稼ぎが悪いせいで......」
「俺は言い訳が聞きてぇんじゃねぇんだ。俺はお前の稼ぎの悪さを二度も注意し、三度目には警告したはずだ......次はねぇぞって。俺は仲間は大切にする方だ。だから、三度も助けの道を示した。なのにお前はその道を歩かなかった。俺は仲間の輪を乱す奴がなにより嫌いだ。......これはお前の責任だ」
「ひっ!」
リーダーはゆっくりと立ち上がる。横にあるサーベルを手に取りながら。その男はあまりの恐怖に顔を引きつらせ、逃げ出したいのか後ずさりをし始める。
「逃がすな」
「「は、はい!」」
「おい、やめろ!仲間だろ!俺を放せ!放しやがれ!」
「あー、ごちゃごちゃうるせぇ奴だな」
男は両サイドから先ほど話していた二人に取り押さえられ、身動きが取れなくなる。そんな叫び声を上げる男を見てリーダーはうんざりとした顔で小指で耳をかきながら近づいて来る。さらにサーベルの存在を主張するように引きずりながら。
「や、やめろ!」
「どうせ言うなら『やめてください』だろ?まあ、やめねけどな」
リーダーはサーベルを見せつけるようにゆっくりと上げて、一気に振り下ろし――――――――
「ごめーんくださーい」
その瞬間、知らないい声が聞こえたと同時に扉が吹き飛んだ。リーダーは咄嗟に行動を止めて声がした方向を見た。するとその扉から二人の若者と一人の少年が入ってきた。
「あのー、この子の妹さんを見かけませんでしたか?」
「俺の妹を返せ!」
「あ、あの時のガキがなぜここに!?」
取り押さえられた男は思わず目を見開く。なぜならそこに先ほど金を奪った少年がいるからだ。ここに来るには最新の注意を払っていたはず。だが、これは好都合。あのガキがいればまだ俺は生きられる。
その男は下衆な笑みを浮かべるとリーダーに声をかける。
「あ、あいつだ!俺が担当しているのはあのガキだ!」
「なるほど、あのガキか」
リーダーは男から離れると二人の若者、大輝と俊哉の方へ向かった。その行動に男は安堵の息を吐いた。
「それでいるんですか?いないんですか?」
「俺の妹をどこにやった!!」
「うるせぇなぁ、俺は静かなのが好きなんだ。だから、もうしゃべるな」
「......!」
リーダーは近づくと同時に部下から槍を受け取った。そして、愚痴のような言葉を吐きながら少年目掛けて突き出した。少年はあまりの突然な行動に思考が働かなかったのか、その場で動けなかった。そして、恐怖に目を瞑った。
「ちょいちょい、もう少し平和的にいこうぜ?」
「.....なにもんだ、てめぇら」
だが、少年は痛みを感じることはなかった。なぜならその直前で俊哉が槍を掴んで止めていたからだ。一方、リーダーは自分の突きが止められたことに驚いた。そして、すぐに目の前にいる二人の実力を修正した。こいつらは強いと。
「そうだなー、少年の願いを叶えるための善良なお兄さんとか」
「お前......それ自分で言うのか、痛いな」
「うっせぇ」
こんな危険な状況にも関わらず冗談を言い合う二人に周りの男たちは慄いた。目の前にいるリーダーを無視するなど自分達ではあってはならないことだ。一方、そんな二人の正体を知っている少年は心強いのだが、なんとも呆れたため息を吐いた。
「おい、お前......生きたかったら殺れ」
「う......はい」
取り押さえられた男はリーダーの言葉を渋々了承すると腰にある短剣を抜き、大輝に襲いかかった。だが、大輝は突き出された短剣を半身で避けるとその男の進行方向上に足を突き出して、転ばせた。そしてさらに追撃とばかりに背中を踏んずけて動けないようにした。
「これは?平和的にいこうと言ったのにそれに対する反応は随分と物騒じゃないか?」
「......チッ、いけ」
「「「「「おらああああ!」」」」」
リーダーの言葉で全ての男たちが一斉に襲いかかってきた。どうやらこの男達はリーダーに心底恐怖しているらしい。なんとも可哀そうなことだ。せめて女であれば良かったのにな。
大輝はそう思うと静かにリーダーへと向かっていった。俊哉はその行動を理解して少年の擁護に入る。
「死ねえええぇぇ!」
「無理だな」
大輝は男の振り下ろした剣を半身で避けると剣を握っている手を掴んだ。そして、がら空きになっている腹部に軽く一発。それだけで男は崩れ落ちる。すると後方から槍が突き出されているのに気が付いた。だが、大輝は冷静にその槍の中間部を掴み取るとそのまま振り回して周囲に男達に当てた。
「「「「「わああああ!!」」」」」
槍を突き出した男は槍と一緒に振り回され仲間に当たると悲痛な声を上げた。だが、負けじと遠くからクロスボウで大輝を狙い撃ちにしようと放って来る。だが、大輝は<気配察知>ですでに周囲の男達がどこにいるのかは把握済みなので楽々と避けていく。
「いい加減にしやがれ」
「それこっちのセリフなんだが?」
リーダーはイラ立ちが募っているのか青筋を走らせた顔で大輝に切りかかった。大輝はそんなリーダーに冷たい視線を向けながら後方に下がって避けた。
だが、リーダーはその距離をすぐに詰めるとサーベルを突き出す。大輝はその攻撃をサーベルの刃の横を軽く小突いて受け流す。
「うぜぇなあああ!」
リーダーは増々いら立ちを募らせ青筋を増やしていく。そして、大輝に向かって思いっきり蹴りを入れる。
「それもこっちのセリフ」
「がっ!」
だが、大輝に簡単に避けられると空中で回し蹴りをされ、逆に吹き飛ばされる。大輝はそんな男を見て呆れたため息を吐いた。
「剣筋は良いから冒険者でも十分食っていけるのに......」
「うるせぇ、あんな所じゃ全然稼げねぇ。俺はもっと金が欲しいんだよ!」
「金にとりつかれたってところか......じゃあ、少しは反省させてやるよ」
大輝はリーダーに一気に接近する。リーダーは咄嗟にサーベルを横に振るが、大輝はそれを避けて懐へ潜り込むと腹部を思いっきり殴った。
「がはっ!」
リーダーはうめき声を上げるとそのまま体をぐったりとさせた。
「さて、片付いたと」
「こっちもだ」
俊哉の声が聞こえたのでその方向を見ると大勢の男達が地面に伏していた。それを確認すると空間宝物庫から紐を取り出して次々と男達を縛っていく。そして、縛り終わると咄嗟に後ろに後ろに蜘蛛糸を飛ばした。
「な、なんだこれ!?」
「あえてお前だけは気絶させなかったんだ。さあ、妹さんの居場所を吐いてもらおうか」
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「お兄ちゃん!」
「無事だったか!」
少年のもとへ妹が駆け寄ってくると少年は両腕を広げて、そこから受け止めると抱きしめた。妹の方は少し頬がコケているが体調は問題なさそうだ。そんな二人を見て大輝たちも安心した様子であった。
「兄ちゃん達ありがとな」
「おうよ。それでお前達これからどうするんだ?」
大輝の質問はもっともであった。なんせこの少年は妹を助けるため、そして生きるためにこのようなことをして生活しているのだ。なら、この二人の両親はいないと考えてもいいだろう。そして、少年は「好きでこんなことをしていない」と言っていた。そうであるなら、この子達にはこのまま良い子で巣立って欲しい。
「どうするもなにもあまりしたくはないが、兄ちゃん達にしたようなことをしていかなければならないと思う」
「ならさ、良い場所を紹介してやろうか?」
「良い場所?」
「ああ、腐ってるがとってもいいシスターがいる場所さ」
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「お前も案外考えてんだな」
「たまたま俺が手伝っていた所を紹介しただけさ」
俊哉の言葉に大輝は謙遜するような言葉で返した。「まあ、大輝がそう思っているなら」と俊哉は深く追求しなかった。......それにしても今日は何という日だろうか。久々に一人の時間を楽しもうと外に出かけて、たまには違う場所も行ってみると思って行ってみれば変なところで大輝に会い、子供をけしかけられ、シスターには変な想像をされ、子供に金をスられ、荒くれものにカチコミに行き......あれ?全然休めて無くね?
「クソ......俺の時間が......」
「まあ、そう言うなって二人も助けられたんだからいいだろ?」
「まあ、そうだな。じゃあ、大輝、何か奢ってくれ」
「おい待て、何がそうなったらそうなるんだ?」
だが、大輝もそこまでケチではない。それに子供を俊哉にけしかけた罪もある。大輝は仕方なさそうにため息を吐くと俊哉の肩を組んだ。
「そんじゃ、今日はたまには男二人で飲みに行くぞ!」
「ああ、そうだ!そうしろ!そして、普段できない話を存分にぶちまけようぞ!」
そして、二人は夜の街に繰り出した。
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