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好奇心で異世界への魔法陣に飛び込んだら青春を謳歌しました!  作者: 夜月紅輝
第5章 たとえ叶わないとわかっていても
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第73話 俊哉の思わぬ一日#1

たまには出してあげないとね(´-ω-`)


評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(*^-^*)

 俊哉は一人街を歩いていた。たまには気兼ねなく一人で外も歩くのも悪くない。こういう時は思ったよりも視界が広がって、普段見つけられない面白いものだったり、今この時にしか見れない奇跡的な光景が見れるかもしれない。もちろん、上手い食い物だってそうだ。周りの人々からの視線ももう慣れたので気になることもないし、外の空気も喧騒も案外いいもんだ。やはり時には一人の時間を作ることは大切だな。そうだ、たまには遠出してみるか。


 そう言って普段はいかない南の住民区へと向かった。そこは東の商業区とは違って子供が多く、いろんなところを遊び場にして走り回っている。また若い男女の姿も多く見受けられた。これに関してはノーコメント、たとえ勇者パーティの一人であろうと俺は男だ。これ以上言うまい。なんせ「リア充爆発しろ」とか言ったら、転移者(勇者)パワーやらなんやらで本当に起きてしまいそうだからだ。


 そして、俊哉はそこをおのぼりさんのようにキョロキョロと見回しながら、そこにある風景を目に捉えていく。すると目の前にシスターらしき人物が多くの子供を連れて歩いていた。この光景に俊哉は思わず目を見開く。それはそうだ、こんな光景元の世界で見ることはまずない。だが、この世界ではこれが当たり前であることはもう知っている。そしてもう考えがこっちよりに染まりつつあるのか楽しそうなやり取りをするシスターと子供達を見て思わずほっこり。


「ほーら、これでどうだ?」


「わあ!すごーい、たかーい!」


「お兄ちゃん、私もー」


 するとどこからともなく近くからそんな声が聞こえた。子供たちが多く、大人が少ないということからこの辺はおそらく孤児院が多いのだろう。そして、先の聞こえた声は同い年ぐらいの男の声だ。同い年が子供と遊んでやっているというのはなんともしみじみと感心してしまう。


 俊哉はふと興味本位でどんな男が遊んでやっているのかが気になった。そして、塀の上から頭だけ突き出して覗いてみる。


「よっしゃあ、これならどうだ......あ」


「お前かい」


 覗いた俊哉は思わずその男と目が合った。しかもそいつは俺の友達(ダチ)で現在勇者をやっている。つまり、その男は大輝であった。


 大輝は俊哉と目が合って思わず固まる。そして、数秒後に俊哉の方へ指を指して一言。


「変質者が現れたぞ、シスターを助けろ!」


「シスターを狙ってるのはお前かー!」


「シスターを取らないで!」


「おい、大輝!てめえええぇぇぇ!」


 大輝の言葉で多くの子供達がシスターを護ろうと俊哉にいろんな言葉を投げかけながら群がっていく。それに俊哉は困惑、大輝は高笑い。そして、しばらくして大輝がネタ晴らしをしてこの事態は沈下した。俊哉はもうへとへとである。


「悪い悪い冗談のつもりで言ったんだが、思いのほか信じちゃって。まあ、お前なら許してくれるよな」


「許すか、ボケ」


「心が小さいなぁ、これだから俊哉ってやつは」


「全世界の俊哉に謝れ、ロリコン勇者が」


「んだとぉ?」


「やんのかぁ?」


 そんな大輝と俊哉の仲の良いありふれたやり取りがしばらく続くと俊哉は聞きたかったことを聞いた。


「そういえば、なんでこんなところにいるんだ?」


 そう俊哉はこれが聞きたかった。正直言って、大輝が子供の世話とは柄に合わない。それに確か、大輝は子供が苦手とか言っていたはず。それのなにがどうなってこんな状況になっているのか。今の俺には到底理解できない。


 すると大輝は特にこれと言った深い事情もなくサラッと答えた。


「俺さ、なにかと大聖堂に行ってること多いじゃん?で、シスターと会って話すこともあるわけよ。それでしばらく前に孤児院の手伝いに是非来てくれないかと言われてさ、定期的にこうして来てるわけ。まあ、勇者という肩書はここでは伏せていたりするが、それが案外普通の人って感じで割といいんだ」


「そういうことか。まあ、俺的にもその気持ちは確かにわかるな。他の人から何て言われるかわからないが、俺だって時には肩書を下ろして普通の人として過ごしたいし。というか、今がそんな感じなんだけど

な」


「でしたら、時には庶民の男性二人のぶらり旅なんていうのはいかがですか?」


「「!!!」」


 大輝と俊哉が話していると気配も感じさせずシスターが二人の会話に割って入ってきた。それに対し、二人とも思わず後ずさりしながら驚いた。しかし、シスターは負けじとグイグイ来る。


「大輝様、もう上がられて結構ですよ。ですから二人で楽しんでいってください」


「い、いや、それはな......大変だから頼まれたはずなんだが?」


「大丈夫です!もう充電できました、二人のおかげで!」


 なぜか「二人のおかげ」という辺りがやたら強調されているような気がするが気のせいだろうか。そして、俺たち二人をやたらキラキラした目で見ている気もするが......あまり気にしないことにしよう。


「いやー、男二人でっていいですよね。それも勇者との大親友とのシチュ、たまらないですね!」


「お、おう......」


「それは良かったな......」


 二人はこのシスターに若干押され気味だ。なんというかもうこの人から離れた方がいい気がする。いや、本当はわかっている。さっきからやたら男二人という言葉を強調しているが、おそらく......おそらくだがこのシスターは腐ってやがる。なにがあってそうなってしまったのかわからないが、こちらとしての意見としては是非とも正常に戻って欲しい限りである。このままではある意味俺たちが汚されてしまうから!


 身の危険を感じた大輝達は「それではまた」と言って颯爽とのそのシスターから離れていった。


「あのままいればヤバかったな」


「ああ、そうだな。だが、おそらくあの人の脳内ではもう手遅れのような.....」


「止めろ。吐き気がする」


「すまん、俺が悪かった」


 大輝は思わず顔を青くした。一瞬でも想像してしまったのだろう。俊哉はそんな大輝の背中を優しく擦る。


「あ、ごめんなさい」


「ん?......大丈夫だ、気にすんな」


 俊哉に正面から少年がぶつかってきた。その少年は俊哉に弾かれてよろめきながらもすぐに謝るとその場を立ち去って行った。俊哉はその少年を怪訝な顔で見つめたが、あまり気にしなかった。


「なあ、なんか飲み物買わないか?飲めばスッキリすると思うから」


「わかった。なら、お前はそこで休んでおけ、俺が買うから......ってあれ?俺の財布どこだ?」


 俊哉は自分がしまいそうな場所を触りながら財布を探すがどこにも見当たらない。大輝と会う前にあることを確かめていたはず。そして、あった。なのに今はない。なら他に財布が消えそうなのは.....あ。


「どうした?」


「おそらくだが、さっきぶつかった子にスられた」


「.....は?」


************************************************

「......チッ。大して入ってないな」


 俊哉からスった少年は俊哉の財布の中身を見ると思わず愚痴る。すると少年はすぐに青ざめ始め、頭を抱え始めた。


「不味い不味い不味い!このままじゃ、妹が売られる!もっともっと金を稼がないと――――――」


「よお、元気に稼いでるか?」


「.....!」


 そんな少年の前に一人の男が現れた。男はニヤニヤした顔をしながらその少年に高圧的な態度で話しかける。


「で、順調かい?」


「ああ、順調だよ。けど、そんなことはどうでもいい。妹はちゃんと無事なんだろうな?」


「ああ、ちゃんと無事さ。見てみろよ、これ」


「.....!」


 そう言って男が見せてきたのはブロンドの髪の毛だった。それを見て少年は驚き、そして怒りに震える。なぜならそれは見間違えるはずのない妹の髪だったからだ。


「てめぇ!」


「やんのかぁよっと」


「くっ!」


 思わず飛び掛かった少年だが逆に男に蹴られて壁に激突する。そんな少年を見ながら男は嘲笑いその髪の毛を少年に見せつけるようにして去っていった。


「クソ.....」


 少年は起き上がると地面に落ちている髪の毛を拾い始めた。その目に涙を浮かべながら。恨めしい、妹が護れない自分が。憎い、自分の弱さが。許さない、あいつらだけは絶対に。だが、それをするには考えも行動もお金も何もかもが足りない。


「クソクソクソ!どうして俺がこうなるんだ!どうしてこんなことを続けなければならないんだ!俺は好きでやっている訳じゃない!妹のためにやっているんだ!」


 少年は泣きながら地面を叩いた。誰に言っているかもわからない叫びを上げながら。もうとにかく吐き出したかったのだ、この思いを。


「......だとよ、俊哉」


「なら、スったことは不問にしてやるか」


「!......どうしてここに!」


 少年は声がする方向に振り向くとそこには先ほどスった時にいた男が二人いた。少年は咄嗟に身構える。


「何の用だ。もしかして取り返しに来たのか?」


「その予定だったんだが、気が変わった。それとさっき止められなくてごめんな、間に合わなくて。だが、安心してくれあいつらの行き先ならわかるから。......なあ、あの男をギャフンと言わせたいか?」


「......言わせたいと言ったら?」


「手伝ってやるよ。ただし、俺の財布の半分は返してもらうぞ」


 少年はその言葉が信じられず疑った目をずっと二人に向けている。「こいつらであいつらに勝てるのか?」と。すると二人は互いに少年を信じてもらえるよう動き出した。大輝は右手に炎を、俊哉は左手に光の球体を作り出して見せる。


その行動に思わず少年は驚いた。なぜならその行動は自分たちは冒険者か魔術師ということを表しているからだ。


「「な?これでだいじょうぶだろ?」」


「兄ちゃん達は一体......」


 少年がそんな言葉を呟きながら思わずたじろぐ。すると二人は腕を組むと胸を張り......


「勇者と」


「精霊騎士と言ったら?」


 二人はドヤ顔でそう言った。

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