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好奇心で異世界への魔法陣に飛び込んだら青春を謳歌しました!  作者: 夜月紅輝
第5章 たとえ叶わないとわかっていても
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第71話 これは不幸な事故か何かだ

第5章始まりました。ギャルゲーらしく行きたかったのですが、大きく違う展開になりました。


評価、ブックマークありがとうございます。励みになります(*^-^*)

 場所は戻って大聖堂、獣王から帰還したエミュは同じ場にいるミリアと話していた。


「今回の討伐お疲れさまでした。風の噂によるとあの災悪を一人で倒されたとか」


「うん、大ちゃんがね。私は訳あってその場にはいなかったんだけどとてもカッコよかったらしいよ」


 エミュはそう言いながら自分のことのように笑みを浮かべる。そんなミリアは数多くの民と会話した経験とあの時の会話からすぐにその意見が誰によるものかを察した。


「そうだったんですか。ということは香蓮様と仲直りは出来たようですね」


「さすが察しが良いね。大ちゃんと香蓮ちゃんの関係は以前よりもすこぶる好調だよ。一日、一回は必ずからかってるかもしれないね」


「そ、そんなにですか.....」


 ミリアはその言葉に思わず驚きの表情をした。いつもの香蓮なら心配する母親のように大輝のことについてため息を吐くことが多く、堅物なイメージもあったのだ。なので、あの香蓮がそんな行動をするとはとても想像できない。だが、大輝と香蓮の仲が良くなったのは素直に嬉しく思う。あの時は気を遣うのが本当に苦労した。身近な存在であったこともそうだが、幼馴染という関係がかなり複雑で介入して仲介役を担うことが出来なかった。あの時ばかり聖女としての行動が悔やまれたことはない。もしかしたらもう元には戻らないんじゃないかと思ったから。だからこそ、この結果は嬉しい。しかし......


「エミュ様はそれでいいのですか?」


 ミリアは大輝と香蓮の関係もわかっていたが、大輝とエミュの関係もわかっていた。というかエミュの行動を見てわからないはずがない。エミュは大輝に明らか過ぎるぐらいに好意を持っている。そして、前から思っていたが、どうして大輝と香蓮の関係を一度拗らせるようなことをしたのか。前回の討伐前の時も大輝に香蓮へとプレゼントを贈るよう画策して実行したこともあるし。


 その質問にエミュはさもありなんといった様子で答えた。


「別に構わないよ。それで大ちゃんと香蓮ちゃんの仲が良くなるならいいじゃん」


「ですが、エミュ様は大輝様のへ思いを寄せているのですよね?」


「うん、そうだよ。とても特別な......ね」


 エミュは自分で言ったことが恥ずかしくなってきたのかだんだんと顔を赤く染めていく。そんなエミュを見てミリアは増々困惑した表情を浮かべる。自分の言いた言葉でそんなになるぐらいだったらどうしてこんなことをするのか。


 気になったミリアは思いきって聞いてみることにした。だが、あまり期待はしていない。


「エミュ様、自分の好きな人が取られたくないと思って遠ざけたり、それ以上関係を持たないようにするのが普通ではないんのですか?」


「うーん、私はこれが初めてだからあんまりわかないんだよね。でも、それが普通だとしたら私は普通じゃなくていいかな」


「と言いますと?」


「だってそれはあまりに悲しいことじゃない?自分の幸せのために他の人を蹴落とすなんてことは。まあ、最終的にはそうなってしまうのかもしれないけどさ、やっぱりお互いに全力で競った方が納得もいくし、折り合いもつきやすいんじゃないかなって」


「意外と考えてるんですね.....」


「あれ?私ってそんな考えてないように見えてたの?」


 怪訝な顔を浮かべるエミュにリリスは思わず口を塞ぐ。しまった、つい本音がポロっと。だが、まあ確かにその方折り合いはつきやすいだろう。しかし、それはあまりにお人好しすぎる発言ではなかろうか。必ず自分に振り向くと思っていなければ、そんなことは到底言えないはず。ましてや相手は幼馴染である香蓮様だ。小さい頃から一緒で思い出の桁が全く違う。そしてまた大輝様が香蓮様の思いに気づいていないなら未だしもそんなことは残念ながらない。なのにこの自信、一体どこから来るのだろうか。全くもって不思議である。


「自信?それは私の方が大ちゃんにアピールしているからね」


「そうなんですか.....」


 また声が出てしまっていたのか。これは気を付けなければいけないようだ。しかし、アピールしていることをそんな胸張って言われても、正直それは当たり前なのではないか?......なんであろうか。今エミュという人物が全く分からなくなっている。いろいろ考えているかと思えば、行動は随分と基本的なことだし。もしかしてそのアピール内容になにか仕掛け的なことがあるのだろうか?ダメだ、全くあるようには思えない。


 ミリアは思わず疲れたようなため息を吐いた。このまま会話を続けていても疲れるだけかもしれない。それにこっちがそんなに気にする必要はないのだ。だが、どうしてここまで突っかかってしまったのは謎である。


 そんな時、後方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「お、エミュがこんなところにいるのは珍しいな」


「大ちゃんが気に入っているこの空気を感じてみたくてね」


「そ、そうなのか」


 大輝はエミュの言葉を聞いた瞬間、思わず顔を背けた。なぜだか妙に意識していしまう。いや、その原因はわかっているのだが、もう少しなんとかならないものだろうか。


 そんな大輝の様子を見てエミュは嬉しそうな顔をする。大輝を見かねたミリアは大輝に助け船を出した。


「大輝様、災悪を一人で倒したというのは本当ですか?」


「ああ、それは確かに事実だが、真実ではないな」


「なるほど、なんとなくわかりました」


 ミリアは言葉の通り大輝の言った意味がわかった。おそらくその近く香蓮がいたのだろう。そして、なんらかのことがあって大輝は災悪を倒せるに至った。そして、そのなんらかというのは二人の関係を修復するきっかけとなったことなのだろう。だが、実はこんなことも聞いている。


「大輝様、死にかけたというのも本当なのですか?」


「あー、正直な話だと本当だ」


「大丈夫だったんですか!?なにか身体に支障でも!?」


「いや、大丈夫だって。見て見ろよ、ほら。ピンピンしてるだろ?」


「失礼します」


 ミリアは大輝の言葉を信じていないわけではないが、勇者になにかあったらと思い大輝の身体検査を始めた。大輝はそのことに思わず困惑する。なぜなら見せるとは言ったがそれほどジロジロと見られるために両腕を広げたわけではない。にもかかわらず、ミリアはついに触ってチェックし始めた。


「ここは異常なし。ここも異常なし。ここも.....」


「ミリア?ミリアさん?あのー、聞こえてますか?おーい」


「静かにしてください!今、診療中ですから!......あ、こう見えても医術はしっかりと学んでありますから安心してください」


「いや、聞いて!?そこの心配をしてるんじゃないんだよ!?」


 大輝の抗議も虚しく足の隅から途中「しゃがんでください」という命令もあり頭のてっぺんまで詳しくチェックされた。それが無性にむず痒い。おいエミュ、なに膨れてんだ。まさか参戦する気じゃないだろうな?


 大輝はもうさすがに耐えかねてその時のことをちゃんということにした。


「待て待て、ちゃんと言うから。俺は毒に侵されただけでもう大丈夫だから!」


「毒に侵されたんですか!?見せてください!」


「え!?」


 大輝は思わずその反応に驚いたが、すぐに「しまった、やっちまった」という顔をした。この真面目ちゃんにそんなことを言えばこうなることは予想出来ていたのにどうしてこんなことを言ってしまったのか。とても悔やまれる。


 そんな大輝の心情を知る由もなくミリアは大輝の服を逃そうと上着に手をかけた。さすがにそれは不味いと大輝はミリアの手を抑える。


「いやいやいや、何やってるの!?ミリア!?」


「何って調べるに決めってるじゃないですか!」


「いや、それをする必要はないんだって!ちゃんと藍野に解毒魔法をかけてもらってるから」


「そうですか。なら、念のための再検査を......」


「待て、どうしてその思考に行く?」


 不味い止まる気配が全くしない。もう好きなだけ調べさせた方が早く済むかもしれない。だが、それをしてしまうとエミュがもれなく出動する。今エミュはこちらの光景をじっと見ているが、俺にはわかる。あれは香蓮の家にいた猫と同じ反応だ。まるでタイミングを今か今かと探っているような感じだ。あんな状態のエミュに抑え込まれたら間違いなく逃げ出すことはできない。エミュには未だ力では全く勝てない。


 だが、大輝は現在警戒すべき方を完全に見誤っていた。ミリアは大輝の手の力が弱まったのを感じると一気に上に上げた。これには大輝も思わず大絶叫。


「うわああああああ!?落ち着け、ミリア!もう早まってるけど、今ならまだ取り返しがつくぞ!」


「......意外といい腹筋してますね」


「ミリア!?それもう目的からズレてないか!?」


「私も見たいぃぃぃぃ!」


「エミュ、早まるなぁぁぁぁぁ!」


 大輝の声も虚しくめくりあげられて露わになった腹筋に二人の少女がまじまじと見るというおかしな光景が出来上がってしまった。大輝はもちろん必死に服を降ろそうとするが、もうすでにエミュに服を掴まれていて降ろすことは出来ない。


「もう少し詳しく見せてもらってもよろしいですか?」


「全然よろしくないよ!?だから、俺に意見を聞く前に背中の服の裾にも手をかけるのは止めてくれないか!?」


「大丈夫だよ、大ちゃん。少し触るだけだから」


「グレードアップしてんじゃんか!?どこも大丈夫じゃないけど!?」


 エミュとミリアは次第に鼻息を荒くしていく。こいつら人の筋肉を見てこんな興奮する奴らだったか?いや、そんな訳はない。もっとまともだったはずだ。少なくともミリアは絶対に。


 もはや大輝の思考はただ悲しいことになっていた。頭ばっか考えがよく巡るのに体は全く巡らない。そして、エミュによってやがて長椅子に寝かされる......力づくで。ああ、もう二人の顔が怖い。誰か助けてくれ。


 そんな半泣きになっている大輝に天の声が響いた。


「二人とも少しは落ち着きなさい」


「「あいた!」」


 香蓮は二人の頭に拳骨をくらわせることで二人の暴走を制止した。大輝は思わず香蓮が救世主

メシア

に見えたが、すぐに身構えた。なぜなら香蓮がなかなかに鋭い目つきでこちらを見てきたからだ。だが、今回俺は何もしていない。さすがにわかってくれるはず――――――――


「大輝、目を瞑りなさい」


「え?あ、はい」


 そして、香蓮に言われた通り目を瞑ると腹部にそっと何かが触れたような気がした。大輝は咄嗟に目を開くともう既に目の前に香蓮の姿はなく大聖堂の入り口の方へ疾走していた。これには大輝も思わず呆けた顔をした。......もしかして、あの視線はただ俺の腹筋を見ていただけで、目を瞑れって言ったのは触りたかっただけ?嘘だろ、おい。


 そして、大輝は迫りくる二つの視線に咄嗟に目を向けた。もうエミュとミリアの顔は大輝から見たら鬼かなにかにしか見えなかった。


「いや、待て、待ってくれええええぇぇぇ!わああああぁぁぁぁ!」


 大輝の絶叫も虚しく滅茶苦茶撫でまわされた。

良かったら評価、ブックマークお願いします。感想、レビューもお待ちしてます(*^-^*)

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