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第5話 エミュと冒険#2

ついに新年号一日前となりましたね。平成最後を楽しみましょう。

「大ちゃん、それなあに?」


「ああこれか、これは食い物であって、食い物でないんだ。」


「ん?なにそれ、なぞなぞ?」


「なぞなぞじゃないんだな。ん~、見せた方が早いか」


 大輝はそういうと右手に持っていた、赤い手榴弾(リンゴ)を近くにいたスライムに投げる。あばよ、罪はないが、身をもってその威力を証明させてくれ。


 リンゴはスライムに直撃すると、ドゴ――――――――――ン!!爆音を響かせ、その身を跡かたなく消し飛ばした。その威力にエミュは目を丸くさせる。大輝も幾度となく見たのだが、やはりこの威力はおかしい、苦笑いしか浮かばない。


「あんなに美味しそうな匂いがしていたのに......なんかもう、恐ろしいね。」


「まったくもって同感だ。」


 今更ながらだが、あの死闘を繰り広げた大蛇に俺はこれを投げまくり、挙句の果てに口に放り込んだんだよな。今思うと少しあの大蛇が不憫に思えてくる、あの時の俺ってただの爆弾魔じゃなかろうか。......否定出来なさそうなのが辛い。


 大輝は「とにかく果物を見つけてもむやみに食べないように。」とエミュに忠告し、それに対してエミュは元気に「はーい。」と答えた。


大輝はエミュと行動し始めて、まだ2時間とちょっとしか経っていないが、エミュという人物の規格外さを知ることができた。


 初めに大輝の愛称についてだが、これはもちろんエミュからそう呼ばせて欲しいと大輝にお願いしたのだ。エミュ曰はく、名前呼びだけでは距離が遠く、言い換えるならまだ少し大輝との壁を感じるらしいのだ。それも大輝とエミュがともに行動し始めてかそう経たない頃にだ。しかし、それで驚きなのは大輝に全く不快な感じを与えなかったのだ。もちろん、大輝が浮かれていたのもあるが、ある時では襲ってきたオオカミの魔物を手懐けるというスゴ業を見せた。エミュのステータスで社交性という欄があったらもれなくカンストしているだろうというのが大輝の見解だ。余談であるが、大輝はもちろんエミュの提案を即答でOKした。


 二つ目にエミュのフィジカルについてだ。ある時、隠密能力(ハイドスキル)の高い魔物が、大輝の気配察知を掻い潜り背後から襲ってきたことがあった。その時、エミュが咄嗟に振り替えるとその魔物に裏拳をかました。拳が魔物の頭に当たると、まるでトマトがはじけるかの如く頭が爆散した。大輝は大輝に見せたあのちょんみりとした力こぶのある腕から放たれた攻撃とは到底思えなかった。エミュは返り血がが顔についた顔で「大ちゃん、これで邪魔者は消えたよ。」とニコッとしながら言った。この時ばかりはさすがに大輝も妙なヤンデレっぽいセリフとあまりのギャップが絶妙に噛み合わさって引いた。


 とにかくあんなことやこんなことでエミュという人物を知った大輝は「これも竜人という種族が関係してるのかな。」と思った、否、思わざるを得なかった。


 しばらくして、エミュが顔を少し突き出し、周囲をクンクンと嗅ぎ始めた。


「エミュ、どうした?なにか匂うのか?」


「うん、なんか甘い匂いがね。アッチ方から。」


 そういってエミュが指した方向は大輝たちからちょうど右に90度回転した方向であった。もちろん大輝は何も匂いを感じない。しかしなんだろうか、甘い匂いというとあの悪夢のような出来事を思い出す。行くべきか行かざるべきかすごく迷う。だが、エミュが大輝が所持している赤い手榴弾(リンゴ)の匂いわないだけ食える果実が存在している可能性があるのではなかろうか。そう思ったのが束の間、大輝の腹の虫が鳴いた。


「ふふ、お腹すいたね。」


「..........はい。」


 エミュに聞かれるとなぜだか無性に恥ずかしい、香蓮と一緒のときはそうは思わなかったのに。大輝は気を取り直すとエミュに寄り道させてもらった。


 その果実がある方向に近づくといろいろな甘い匂いが混じった香りがしてきた。そして、その方向からは無数の気配......あれ?既視感(デジャヴ)?いやいやいや、これはただの気のせいだ......そうでありたい。


 しかし、不安が拭えぬ大輝は実のなる木がが目視できる距離で立ち止まる。これにはエミュも怪訝な顔で大輝を見る。


「急に立ち止まってどうしたの?大ちゃん。」


「エミュ、よく見てみろあの五つの木のうちの真ん中の一つを。」


「ん?分かった......!、あれって!」


「そう、あれだ。」


 大輝は見つけてしまった、あの凶器(リンゴ)を。どうやら大輝はあれとなにかと縁があるようだ。たとえそれに助けられたといえど実に切りたい縁である。そして、一目でそれを悪だと思うと他の四つの木の実もなんだか悪そうに見えてしまう。


 左から順に黄色で桃の形をした実、オレンジ色でバナナの形をした実、赤い手榴弾(リンゴ)、紫色をしたみかんの形をした実、灰色でぶどうの形をした実。もうやばい、あのりんごと変わらないなにかを絶対持っているはずだ。大輝は「美味しそう。」と今にも飛びつきそうなエミュを制止しながら、その木の周りにる魔物たち行動を注視した。


 まず動きがあったのは黄色の桃からだ。その身を食べた魔物は一瞬体をビクッとさせると地に突っ伏した。な、なにが起こったのだろうか。地に伏した魔物はピクリとも動かない。


 次にオレンジ色のバナナ、それを食べた魔物は突如として全身が発火した。甘い匂いに焦げた臭いが混ざって少し気分が悪くなってきた。エミュは鼻を摘まんで完全シャットアウトだ。な、なんなんだあれは口から火を吹くだったらまだわかる、だが全身キャンプファイヤー並みに燃え上がったんだが。


 それから次に起こったリンゴは言わずもがなだ。次に動きがあったのは灰色のぶどうだ。それを食べた魔物は足先から体が灰色に染まりやがて頭全体を覆うともう動かなくなった。予想するにあれはおそらく石化の症状だろう。


 そして最後その隣にある紫色のみかんを食べた魔物は全身の穴という穴から血が流れだし、やがてベチャっとスライムの最後みたいに原型をどどめずに溶けた。大輝は上手いコメントが見つからなかった。とにかく地球に帰った時、普通のぶどうが食えるか不安になってきた。ちなみにだが、大輝はこれまでの実の特性から桃を食べた魔物の死因は心臓麻痺あたりじゃないかと思った。


 大輝はエミュの方にポンとてをおくとゆっくりと首を横に振る。エミュは悲しそうな表情をうかべ静かにうなずく。言葉にしなくても伝わる意思、少し大輝とエミュの心の距離が縮まったようだ。


 大輝は近くにあった小石を手に持つと恨みを込めて、リンゴなる木の幹にぶち当てた。


「「「「「ブギャアアアアアアアアア!!!!!」」」」」」


「「ギャアアアアアアアアア!!!」」


 大輝の投げた小石が当たるとリンゴの木の幹にジャック・オー・ランタンの如く顔ができ叫び声をあげた。そしてその木に呼応するように周りの四つも叫び声をあげた。大輝とエミュはあまりのことに大絶叫!すぐさまその場を逃げ出した。


「「「「「「ドスドスドスドス!」」」」」


「「!!」」


 大輝は音のする後方へ「まさか......」という思いで振り返る。結論を先に言えばそのまさかだった。その木たちは地面から根っこを引きずり出し大輝たちを追いかけて来ていたのだ。しかもわざわざリンゴの木を先頭にして。


「なんでこうなるんだよ~~~~~」


 なんか逃げてばっかだと大輝は叫ばずにいられなかった。大輝は再び全力疾走をし森の中を駆け抜けていった。

エミュ「えへへ、美味しそうだな~~、じゅるりっ。」


大輝「こら、やめなさい。変なものを食べようとするんじゃありません。」


エミュ「え~~~、でもでも~~~。」


大輝「でもじゃありません。ステイヒアッ!」

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