第55話 思わぬ敵
10話まで「神逆のクラウン」を毎日投稿することにしました。ストックが結構あったので、ここぐらいまでなら問題ない......はず。
「カタカタカタカタ」
「ひゃあああ!変態さん、なんとかしてください!」
「なんとかするから離れて!」
大輝は泣きながら引っ付いてきたレイを引っぺがすと剣を抜いた。レイは大輝が剣を抜くやいなやすぐさま大輝の背中へとしがみついた。
目の前に迫るは百以上は確実にいるであろう骸骨軍団だ。それにどいつもこいつも手には武器のように骨を所持していて、さらには盾まで装備している奴らがいる。これが罠とはさすがに思いたくない。それになぜか嫌悪感を感じる。すると大輝の反応を感じ取ったフランが大輝に話しかける。
「主様も感じ取ったか」
「ああ、フランはそれがなにかわかるのか?」
「うむ、これは『災悪』と同じ気配じゃ」
「は!?」
大輝は思わず声を張り上げた。なぜなら神託はまだ来ていなかったからだ。だが、聖剣のフランが言っている以上嘘とは言えない。確か、神託が下るのは災悪が現れてからだ。ということは俺たちが来るまで目覚めなかったってことか?俺は眠れる獅子を起こしたのか?だが、まあそうだとしてもまだ問題はない。あのムカデを倒してから大幅にレベルアップしたからな。それに早めに芽を摘むのも悪くはないだろう。
「行くぞ、しっかり掴まっていろよ!」
「はい!」
「おらああああ!」
大輝はスケルトンに突っ込むと両剣を横なぎに振るった。するとスケルトンは簡単にバラバラになる。ある意味拍子抜けと言うほどに。
「楽勝!」
大輝はスケルトンの動きに気をつけながら次々にバラバラにしていく。時より全体魔法を使いながら。
「大輝、加勢するぞ!」
背後から俊哉の声が聞こえる。俊哉だけでなく他の仲間も加勢に来てくれたようだ。
「ドガアア―――――――――ン!」
「ドゴ―――――――――――――ン!」
「ボォガアア―――――――ン!」
......そして、俺よりも派手にやっているようだ。よし、そんじゃ俺も行くか!
「土の要塞!」
そう意気込むと大輝は上から下へ2本の斬撃を自身の直線上に飛ばすと今度は逆に下から上へ剣を振り上げた。すると斬撃によって跡がつけられた地面から幅10メートルほどの立方体が出現した。そして大輝は剣をクロスさせるように横なぎに振るうとその動きに合わせ立方体が横動きし始める。
「ぺちゃんこになれ」
「ドゴンッ!」
二つの立方体はその間に大量のスケルトンを挟み込むとそのままぶつかって押し潰した。その衝撃で、立方体は崩れ落ちる。
「よし、これでだいぶ片付いたろ」そう思いながら<気配察知>を使って周囲を探る。するとすぐに大輝の頭からクエスチョンマークが生えた。......あれ?おかしい。一向に数が減っていない。
大輝は遠くにいる俊哉たちを見た。その顔はまだ余裕がありそうだが、少し汗をかいている。それほどまでに動いたのか?まあ、数は多いから気をつけなきゃいけないことは多いけど。敵の魔物は大したことはない。
大輝は改めてよく周囲を探った。すると驚くべきことに気づいた。......小さくなった気配が大きくなっている!?
大輝は咄嗟にその方向を見た。するとそこではバラバラになったスケルトンが元の形に戻っている。そして、何事もなかったかのようにこっちに向かって歩き始める。おいおいおい、マジか!?
「それじゃあ、減らないわけですよ」
「全くだ。っていうか、お前随分と落ち着いたな」
「こういうのは癪なんですが、変態さんのおかげです」
「全く、感謝されているように感じないな」
「当たり前じゃないですか」となぜか得意げな顔で言った。「ならさっきの言葉は一体.....」と思わなくもないが、この会話が出来ている時点で俺もまだまだ余裕がありそうだ。そんじゃあ、引き続き切っていくか!
数十分後.....
「はあはあはあ......くそ、わからねぇ!」
大輝は余裕の様子もなくスケルトンを相手していた。倒しても倒しても再生して向かって来る。これを一体どれほど繰り返したか。もちろん、ただ切っていただけではない弱点も探っていた。だが、どこを切ろうとも復活してくる。途中でラノベの知識を活かして頭をかち割ってみたが意味がなかった。だからこそ焦りが募る。仲間もだいぶ顔色が悪い。このままではジリ貧だ。どうにかしなければ。
その時いままで大きな動きを見せなかったスケルトンが、突然動きを止めた。不自然なぐらい一斉に。そして、まるで笑うかのようにカタカタと歯を鳴らした。
「おいおい、やめろって......」
「数十体のスケルトンが集まっていきますね.....」
レイの言う通りスケルトンがその身をバラバラに分けて一つのパーツのようにして集まっていく。
「カタカタカタカタ」
そして、出来上がったのは15メートルほどの大きなスケルトンが50体近く。もちろん、巨大な武器も盾も持っている。それから見える範囲に弱点となるようなところはない。これには思わず大輝は苦笑い。そんな大輝をあざ笑うかのようにスケルトン(大)が襲いかかって来る。
「くうっ!」
「変態さん!」
呆気にとられていた大輝はスケルトン(大)の攻撃を避けることは出来なかった。だが、受け止めることには成功した......成功したのだが、それまで。動くことが叶わなかった。それほどまで急激にスケルトン(大)の膂力が強くなっていたのだ。思わず声が漏れる大輝に、レイが叫んだ。
「変態さん、盾が来ます!」
「そらああああ!」
動けない大輝を吹き飛ばそうとスケルトン(大)は盾を振るってきたが、レイの声でいち早く気づいた大輝は<超加速>を使って重心を上手くずらしながら最初の攻撃を逃れると盾の攻撃も避けた。
「炎竜旋!」
そして、距離を取るとすぐに火炎旋風を作り出し、焼け倒れることを試みた。だが、スケルトン(大)は平然とこちらに向かって歩いてくる。全然堪えていないようだ。まずい、スケルトン(大)一体にこの体たらくは。まだ相当の数がいるんだぞ。くそっ、しかたない!
「ドリィ、少しでいい。常時魔力を解放してくれ」
「わかったなの」
「まだ、しゃべる剣いたんですね」
「こんな状況で随分と落ち着いてるな」
レイの気の抜けそうな発言に大輝は呆れてしまう。だが、レイはそんな大輝の気持ちを知ってか知らずか明るい笑みを浮かべると言った。
「当たり前じゃないですか、変態さんを信じてますから」
「......はあ、現金な奴め」
大輝は思わず笑みがこぼれた。まあ、こういう時こそ冷静にだな。よし、やるぞ!
「超加速、炎裂刃」
大輝はスケルトン(大)に突貫すると聖剣を上段に構えた。だが、こちらには近づけさせないとスケルトン(大)は骨を横なぎに振るう。しかし、その攻撃を半身で避けると頭から炎の刃を叩きつけた。するとスケルトン(大)はその身を崩れさせる。......よし、一体目。
「おらああああ!」
大輝は最初のススケルトン(大)が崩れるとすぐに別の一体のもとへ向かった。そして、一旦通り過ぎながら片方の足首の切断すると方向転換。背後から背骨を思いっきり切った。スケルトン(大)はそうはさせないと盾で防ごうとするが、その盾ごとぶった切られる。二体目。
「カタカタカタカタ」
すると大輝の存在に恐れをなしたのか2体のスケルトン(大)が大輝に向かってきた。だが、大輝はその接近している2体に構わず突っ込んでいく。
スケルトン(大)は大輝に向かって骨を振り下ろす。しかし、大輝はそれを避けるとスケルトン(大)の腕を少し駆け上がり、横に飛んだ。向かった先はもう一体のスケルトン(大)だ。そのスケルトン(大)はこちらに盾を突き出し、大輝の攻撃を防ごうとする。
「......と見せかけてぇ!」
大輝はそのまま盾に向かって行くと盾に対して垂直になるように姿勢を変えた。そして、その盾まで辿り着くと思いっきり蹴って宙返りするように先ほどのスケルトン(大)に接近した。
「風裂斬!」
そこから思いっきり魔剣を横なぎに振るった。その風の斬撃によって肩から腰にかけてそのスケルトン(大)両断される。大輝はさらにそこから体の向きを変えると<超加速>で一気に接近する。
「カタカタカタカタ」
「......!」
「わあああぁぁぁ!」
大輝が向かってきたのがわかるとスケルトン(大)は普通に攻撃しても無駄だと思ったのか手に持っていた骨をぶん投げた。その攻撃に大輝もレイも思わず驚いた。先ほどから思っていたが、このスケルトンたちはただの骨ではなく知能があるようだ。そのことがこの上なく厄介だ。
「変態さん、前!前!」
大輝は動きを読んで最小の動きでそれを避ける。だが、その動きを読んでいたのか大輝の動きに合わせて拳を振るってきた。その攻撃に思わずレイが叫んだ。
「おらああああ!」
「変態さん、何してるんですか!?」
レイが疑問に思ったのも無理はない。なぜなら今にも向かってきている拳に対してなぜか大輝は聖剣を地面の方へ投げたのだ。そして、地面にしっかり刺さったのを確認するとその聖剣の柄から伸びている糸を引き戻した。その瞬間、大輝の体はその聖剣に引き寄せられ、それによってスケルトン(大)の攻撃を避けた。
「今のは?」
「糸......正確に言うなら蜘蛛の糸だけど」
そう大輝が使ったのは蜘蛛の女王からもらったスキル<蜘蛛糸>だ。それを聖剣の柄に結び付けて飛ばしたのだ。その蜘蛛糸は大輝の魔力で作られているため、蜘蛛糸を飛ばすも、戻すも自由自在。その特性を利用したのだ。
大輝はすぐさま聖剣を引き抜くとスケルトン(大)のがら空きになったところに斬撃を飛ばして体を両断した。
そして、すぐさま<気配察知>で周囲を探ると止まったままうごかないと大きな気配がある。そして、倒したスケルトン(大)もそのままだ。なんだこれは?終わった感じはしない。これはもしかして第3ラウンド......ある?
大輝がそう思ったのもつかの間、スケルトン(大)は突如体を宙に浮かせ、一つに集まり始めた。それから次第に一体の大きなスケルトンを作り上げていく。そして、出来上がったスケルトンは上半身だけだが、大きさは先ほどの3倍はありそうでその体を黒い靄のようなもので纏いその体を浮かしている。それから凄まじい威圧感を放ってくる。そして、肋骨が全てくっついていてまるでそこに何かを隠しているかのように見えなくなっている。
「ガタガタガタガタ!」
スケルトン(特大)は大きく笑うように歯を鳴らした。それに対し大輝は思わず......
「......楽勝とかいってすいません」
謝った。
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それではまた次回




