第43話 初陣#2
予約投稿の手もあったんですが、どうせなら投稿しちゃえって感じでやりました(笑)
大ムカデの魔物に超加速で向かった大輝は剣をクロスに構えると香蓮、俊哉、茉莉に指示を出した。
「香蓮!大ムカデの魔物の体勢を崩して、一時的に動きを封じてくれ!」
「注文が多いわね。でも、分かったわ!」
香蓮は大輝に文句を言いつつも、頼られたことに嬉しそうな笑みを見せる。その表情をエミュは横目に見ながら、微笑んだ。
「俊哉!お前は、光魔法でどこでもいい一点を焼け!」
「ははは、なるほどな。それは、効くな」
俊哉は先ほどとは違いどこか余裕そうな表情をすると軽口を叩いた。
「藍野!俺に、最大強化だ!加えて、先に仕掛けたエミュ、セレネに魔力を分けてやってくれ!最後にレオの背に乗っとけ!」
「わ、わかった~!」
茉莉は少しどもりながらもしっかりとした目で、大輝の声に反応した。
「氷凍化からの雷斬翔」
「ギッシャアア!.....ギシャ」
香蓮は刀を地面に刺すとその部分から放射状に氷が広がっていき、やがて大ムカデの魔物のもとに辿り着くと大ムカデの魔物は氷に滑り体勢を崩した。そして、一度刀を鞘に戻すと居合切りのように一気に抜刀した。その雷の斬撃は大ムカデの魔物に直撃するとその身を一瞬ビクッと震わせ、口元から煙を吐いた。
「光焼の矢」
「ギシャアアアアア!ギシャア、ギシャアアア!!」
そこに俊哉の攻撃が突き刺さる。俊哉は剣を構え、大きく腕を引くとまるで目の前に突き刺すように剣を前に出した。すると俊哉の光輝いていた剣はその光を一気に剣先に集め解き放った。
解き放った光は少しずつ形状を変え、やがて矢のような形になると大ムカデの魔物の胴体の中心部分に突き刺さる。そして、突き刺さった部分は赤く、それから白くなり煙を上げ始めた。
大ムカデの魔物は苦しみの声を上げる。
「虎怒の咆哮、魔力譲渡」
茉莉は大輝の指示通りレオの背に乗ると大輝には攻撃力アップの補助魔法、エミュとセレネには自身の魔力を受け渡した。
大輝は自身の体に力が溢れてくるのを感じると聖剣と魔剣の柄を強く握りしめる。そして、聖剣と魔剣に確認と指示をした。
「聖剣、この能力を増幅できるか?」
「可能じゃ」
「なら、任せた」
「うむ、任されたのじゃ」
「魔剣、魔力残量は?」
「さっきの解放よりも少し消費を少なくすれば、二回いけるの。」
「そうか、分かった。なら、それでいく」
「わかったなの」
大輝は聖剣の能力で茉莉の魔法を強化してもらい、さらに魔剣の能力で貯蓄していた魔力を解放してもらった。そして、<超加速>でさらに加速すると大ムカデの魔物に接近した。
「くらえ.....双虎砕刃!」
「ギャアアアアアシャアアアアアアア!」
大輝は聖剣に炎を、魔剣に風を纏わせる。炎の熱気と風の舞う勢いで大輝の後ろに二匹の虎が幻視出来た。そして、大輝は切りかかる!
大ムカデの魔物は今までにない声を上げて、痛みに悶えるようにジタバタと暴れ狂った。
「ギシャアアアア!ギシャアア、ギシャアアアアア!!」
大輝はなにか違和感を感じた。目の前にいる大ムカデの魔物は叫び声をあげ、暴れている。だが、その大ムカデの魔物から次第に熱気のようなものを感じた。そして、その違和感に他の仲間達も気づき、眉を顰める。なにか......なにか嫌な予感がする。
大輝の予感は的中した。
「ギッシャアアアアアアア!」
大ムカデの魔物は暴れながら、次第にその身を真っ赤にしていった。そして、熱気はかなり伝わってきて、かなり熱い。その様子に大輝は思わず苦笑い。......これがボスの第2形態ってか。全然笑えねぇ。
大輝はわずかに手が震えるのを感じた。だが、すぐに一度深呼吸して、気を落ち着かせる。よし、大丈夫だ。まだ、気持ちが持つ。
「ギャシャアアア......ブシュッ!」
大ムカデの魔物は体を大きく逸らして、戻す反動を利用しながら黄色い何かを広範囲にバラまいた。大輝はそれを見たことがあった。あれは.......溶解液だ!
「全員、近くに寄れ!......土の要塞!!」
そして、咄嗟に大輝は仲間たちの目の前に文字通り土で作った要塞を作り上げた。溶解液はそれに当たると白い煙立てながら溶かしていった。だが、要塞に穴をあけることは出来なった。大輝があらかじめ土の厚さを厚くしていたからだ。しかし、それでもギリギリセーフといったところでもう少し薄かったら被害が出たかもしれなかった。そのことに一先ずの安心を覚える。
「......!」
すろとその時大輝の<気配察知>に反応があった。しかも上方に。大輝はその瞬間気が付いた。しまった!あいつはこれが狙いだったのか!?
「全員、今すぐここから離れろ!」
「ドシ―――――――――――ン!!」
大ムカデの魔物は跳ね上がると大輝たち目掛けて体を回転しながら落ちてきた。だが、当たることは無かった。大輝のいち早い指示で被害を防いだのだ。「<気配察知>でなければ危なかったな」大輝はそう思いながら大ムカデの魔物から距離を取ろうとするが......
「ギャシャアアアアア!!」
「クソッ!俺狙いかよ。」
大ムカデの魔物はすぐに大輝の方へ向かって行った。どうやら勇者である大輝を優先的に潰そうとしているらしい。
大輝は剣を立てると防御態勢に入った。同時に超加速を使ってこちらから逆に向かって行った。
「ギシャアアアアアア!」
「おっらああああああああああああ!!」
大ムカデの魔物と大輝は正面衝突した。互いに拮抗してその場から動かないが、その緊迫した雰囲気は周囲に伝わる。しかし、徐々に大輝が押され始めた。それは別の作用が働いていたからだ。
「あっちぃなあああぁぁぁ!」
大輝は怒号のように叫ぶが大ムカデの魔物から発生している熱気に意識が削がれているのだ。だが、そんな大輝を支える者たちがいる。
「勇者だからって、大輝を狙い過ぎなのよ!......大氷槍!」
「好かれてんだな、大輝!へっ、妬けるぜ!......精霊の刃」
「シャキッとしなさい、勇者でしょ?......影縫い」
「大ちゃん、援護するよ!......竜の炎弾」
「強化するよ~!......強者の構え」
「ウォン!」
茉莉は全員の能力を向上させた。
香蓮は空中に巨大な氷の槍を作るとそれを大ムカデの魔物に投擲した。
俊哉は剣を天高く構えると精霊の力で光魔法を一段階強化すると大ムカデの魔物に目掛けて振り下ろし、光の斬撃を放った。
セレネは大ムカデの魔物の影から影の針を無数に作り出すと大ムカデの魔物の四方八方から突き刺した。
エミュは周囲の空気をこれでもかというほど吸うとその吸った空気を一度で全部吐き出した。しかし、その吐き出した空気は炎を激しく燃え上がらせて大ムカデの魔物に向かって行った。
レオは腕を大きく上げて振り下ろし三本の巨大な斬撃を放った。
「ドゴ――――――――――――――――――――――――――ン!!!」
「ギャシャアアアアアァァァァァァァァ!!」
全ての攻撃が直撃した瞬間、大ムカデの魔物は絶叫して、一瞬だけ動きを止めた。否、止められた。この一瞬に大輝はニヤリと笑みを浮かべる。
「もういっちょ、行くぜ!......双虎砕刃!」
「ギシャアアアアアアアァァァァァァ!!」
大輝は拮抗してる状態から動きを止めた大ムカデの魔物を一気に切りつけた。大ムカデの魔物はその攻撃によって吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられた。そして、狂ったように大暴れしながらその一連の攻撃による痛みで悶えた声を出した。
一方、大輝たちは息を切らしていた。無理はない、ここまでの激戦は今まで一度もなく、ここまで体と魔力を酷使したことはない。加えて、初の「災悪」との戦闘だ。緊張、恐怖、不安など様々な負の感情による精神的疲労もあった。これで疲れないという方がおかしいだろう。
大ムカデの魔物は依然暴れている。動きがあるということは敵はまだ生きている。しかし、魔力の酷使で倦怠感がかなりきていてすぐさま追撃とはいかなかった。それが、数分後恐ろしい瞬間を招くことを大輝たちはまだ知らない。
「はあはあはあ......ぐっ」
「主様、大丈夫なのじゃ?」
「きつそうなの。もしかして......」
「大丈夫だ、いろいろ余計な力を使っているだけだと思う。あいつらは関係ない」
大輝は膝を地面につけると剣を支えにして、呼吸を整えた。でけぇし、こえぇし、虫だしで判断がまだ遅い。きっとこういうのは経験詰んで慣れていくんだろうからそこまで気にし過ぎることはないんだろうけど。
そしてしばらくして、大輝が立ち上がったと同時に大ムカデの魔物も動き出した。
「ギシャアアアアアアアァァァァ!!」
「「「「「くっ......!」」」」」
大ムカデの魔物は大輝たちに向かって思いっきり叫んだ。その叫びは咆哮のように大輝たちに強い空気の衝撃を与えた。それに対して、大輝たちは各々でその衝撃に耐える。
すると、大ムカデの魔物は大輝が作り出した<大土壁>の砕けた破片を自身の体を巻き付けるようにして持つとそのまま大輝たちに向かってぶん投げた。
「全員、出来る範囲で対処しろ!」
大ムカデの魔物の叫びから数秒後のことなので、大輝たち自身の体力のこともありすぐには動けなかった。それゆえの大輝の指示だ。そして、投げられた岩を各々対処していくがどうも俊哉、香蓮、茉莉の三人の動きが悪い。
「ギシャアアア。」
「.......!」
すると大ムカデの魔物は大きく体を立てると口元に光を収束し始めた。それもその三人に向かって。
「お前ら、そこを離れろぉぉ!」
「「「うわぁ!」」」
大輝は咄嗟に走り出す。そして、聖剣に風を纏わせると三人のすぐそばまで寄り、吹き飛ばした。
その瞬間、大ムカデの魔物は収束し、さらに圧縮された光を発射した。
大輝に眩い光が襲い掛かる。
「大輝!」
「ドッガ――――――――――――――――――――――――ン!!!」
香蓮の叫び声も虚しく、大輝は光による白い大爆発に包まれた。
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それではまた次回




