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第39話 エルフの森のアスレチック#2

おふざけパートはどうしても入れたくなっちゃうんですよね(笑)

「「「「「ぎゃあああああああ!」」」」」


 キングトレントに落とされてしばらく、大輝たちは今だに落ちていた、否、滑っていた。落とされてからずっと地面の中を通る滑り台を滑っているので、基本真っ暗で何も見えない。なので.......


「あ、ちょっと誰よ、この手!どこ、触ってるのよ。」


「痛いててててて!お、俺の腕がキマってる!関節がぁぁ!」


「誰なの?私の足を掴んでるのは!」


「おい。誰だ!俺の顔にしがみついてるのは!......このモフモフ感、レオか!?」


「わ~~~~ん、もう長いよ~~~~!」


「「「きゃああああああ!」」」


 上からセレネ、大輝、香蓮、俊哉、茉莉、そしてエミュとフラウとドリィは思い思いに何かを主張するが、それが他の相手に伝わるということはまるでなく、ただただ悲惨な状況となっている。いや、エミュ、フラウ、ドリィに関しては例外か。


 すると洞窟型滑り台はその空気感をさらに混沌へと誘った。


 お次は右に曲がりま~す。


「ちょ、だめ......そこは、んん!」


「今度は俺の腹に肘がぁぁ、食い込んでるぅぅぅ。」


「誰なの!?私のお尻、触ってんの!?」


「レオ、レオ、レオ!痛いから、俺の顔にそんなに強くしがみつかないでくれぇ!」


「だ、誰か~!私の足、挟んでるよ~!」


「「「きゃあああああ!」」」


 お次は左に曲がりま~す。


「ついに、捕まえたわ!この状況で私の胸を揉もうとか、絶対確信犯よね!」


「痛いたたたたたたた!」


「ごめんなさい......ん、誰か......押し潰しているみたい。」


「痛いたたたたたたた!」


「あ、ごめんね~。誰か、蹴っちゃった~!」


「「「きゃあああああ!」」」


 そして、軌道は再び真っ直ぐになると少しして光が少しずつ差し込んできて、今の状況が少しずつわかるように......とか思ってる場合じゃない!!


「「「「「うわあああああ!!」」」」」


 トンネル型滑り台の最後は射出口のように上方に向かって反っていて、さんざん加速させた大輝たちをそのまま放り出した。


 大輝たちは全員が空中に放り出され、地上に着くまでにかなりの高さがある。このままでは全員、地面に激突してしまう。


風圧(エアプレス)砂漠化(コンバートサンド)!」


影網(シャドウネット)!」


 大輝は魔法を唱えると本来押し潰す魔法の風圧(エアプレス)を真反対の上方に向かって、落下速度を落とすとともに地面の一部を砂場と化して落下衝撃を減らす処置をした。また、セレネは自身や大輝たちの影からこちらに向かって大きく放射状に影でできた網を張って、大輝たちが落下する前にその網で捕らえ落下速度をさらに奪った。


 大輝とセレネのおかげで他の一同は無事に着地できた。そして、また大輝たちの顔は散々な目にあい、割に死んでいた。大輝たちの精神が回復するまでそれなりの時間を要した。


「あの木、マジで許さねぇ」といったエミュ、フラウ、ドリィ以外の全員が思ったところで、回復し終わったのを確認すると歩み始めた。


 大輝たちがたどり着いた場所は丁度崖下辺りなのだが、上を見ても霧が濃すぎて何も見えない。とりあえずわかることは......


「これを通るのか......。」


 大輝たちの目の前でブン!と風切り音を立てながら、右、左と振り子のように揺れている巨大すぎるハンマー、同様に巨大すぎる断頭台の刃のようなもの、そして左右交互にある一斉射出式であろう木の杭。おおよそ、アスレチックと呼ぶには不相応な代物たちが丁度濃い霧の手前で並んでいる。不正はできない仕掛けのようだ。


 「なあ、これどうする?」と聞こうと思い後ろをふり変えると大輝以外の全員が大輝よりも10歩近く後ろにいた。大輝は思わず引きつった笑みをする。俺が先陣を切れと!?


「あんた、勇者でしょ?なら、パパっと行っちゃいなさいよ。」


「くそ、無茶言ってくれる。」


 セレネの言い分に悪態をつく大輝であったがもとより誰かに先に行かせようとは思っていなかった。むしろ、自分が率先していかなくてはと。これが勇者としての自覚に当たるのかどうかはわからないが、少なくとも前よりは勇気を持つようになった気がする。


 「よし、行くぞ」と自分に発破をかけるように頬を叩くとタイミングを計って走り出した。


 まず一つ目のハンマーステージは問題なく通り抜けられた。そして、問題は二つ目であった。


 断頭台の刃はハンマーと同じように右、左と揺れているのだが、その揺れているタイミングがいやらしく通れる隙間が僅か一人分しかない。だが、止まていれば先ほど通ったハンマーに跳ね飛ばされる。


 大輝は一瞬で思考した。この世界に来て状況判断能力も上がったのか、すぐに辿るべき道が示された。そして、それがわかると躊躇わずに駆けだした。


 振り子ゾーンを抜けると今度は木の杭が飛んでくるステージだ。これはおそらく直進しているだけでは当たってしまう。だが、進まないという選択肢はない!


 大輝は再び走り出すと数多の木の杭が射出された。大輝はそれを集中力を研ぎ澄まして、一つ一つの軌道を確認していく。そして、時にはしゃがみ、時にはワンテンポずらして、時にはダイナミックに飛び越えていきながらそのステージ、いやこれらのギミックを突破した。


 大輝は思わず「やったぞ!」という喜びを仲間たちに報告しようとして振り返ると......仲間たちは魔法を使ってそもそも自分たちに当たらないようにしていた。茉莉はレオの背に乗ってクリアし、唯一、エミュが竜人族の身体能力を活かして大輝と同様の突破を見せただけだが。


 これには大輝も思わず起こってしまう。


「おい、お前ら!それはないだろ!?」


「いや、大輝、あんなのでいなくなっちまった方が不味いだろ?」


「......ごもっともです。」


 大輝の怒りの抗議は俊哉の一言で簡単に論破された。確かに、この目的はこの先にいる『災悪』を討伐することで、このアスレチックを完走することではない。だが、自分のあの頑張りはなんだったのか。そう思いたくもなる。


 大輝がどんよりした顔を見せるとさすがに初めに何も言わなかった罪悪感に駆られ、すかさずフォローに入る。


「ま、まあ、見てたが凄かったぞ!あんな動きは俺にはできない。」


「......そうか?」


「え、ええ、そうよ。勇者という名に恥じないすごい動きだった!」


「そうか......ああ、そうだよな。お前ら、次からはちゃんと言ってくれよ?」


「すまん、すまん。わかってると思ってた。」


 「言わないとわからないこともあるんだぞ」と大輝は言うが、その顔はさっきまでの暗い顔を霧散させて、ドヤ顔に近い顔をしていた。これにはセレネは思わず―――――――


「ちょろいわね。」


「しーだよ~、セレネちゃん。」


 ――――――言葉が漏れてしまった。茉莉はすかさずお口をチャックするようジェスチャーした。一方、エミュはというと「大ちゃん、かわいい」と言いながら喜ばしい笑みをしていたり、フラウとドリィは「さすが主様なのじゃ!」とか「さすがマスターなの!」と言いながら純粋な声で大輝をヨイショしていた。


 こうして、完全復活した大輝はまた歩みを始める。


 次にたどり着いた場所は大きな池であった。そして、その池には点々と一人分の大きさしかない足場が続いていた。おそらく、船を軽快に渡り飛んだ義経のようにあの足場使って向こう岸まで渡るんだろう。......あれ、さっきより全然簡単じゃないか?


 大輝がそんなことを考えていたら、突如として池の中から何かが飛び出してきた。


「ザッパアアアアアァァァァ!」


「.....おっふ。」


 大輝は思わず声が漏れた。飛び出してきたのはまるでト〇コにでてきそうなでかすぎるワニであった。そのワニは足場を超えて再び池の中に潜ろうとした時、チラッとこちらを見た。ば、バレてらぁ......。


 これには仲間たちも「うわぁ」と思わず声が漏れている。あのワニを見てから行くのがどうにも気が重い。そんな中、一番最初に動き出したのはなんとセレネだった。セレネは大輝たちから離れると少しだけ体を仰け反らせた。すると、セレネの背中から魔法陣が浮かび上がりコウモリのような羽が生えたのだ。


「それじゃ、お先に。」


「いや、待て待て待て。」


「なによ。」


 大輝は咄嗟にセレネの動きを止めた。割と大きな変化に上手く情報の処理が追い付いていない。その羽は魔法で作り出したのか?それを聞き出すために大輝はセレネに質問する。


「それは?」


「見ればわかるじゃない、羽よ。」


「いや、それは分かってる。それは魔法なのか?ってことだ。」


「あー、そういうことね。これは私が生まれつき持っていた羽よ。普段は人族に合わせるためにしまっているだけ。」


「......なるほど。」


「じゃ、もう行くわね。」


 そう言うとセレネは羽をはためかせ飛び出した。「空とぶの気持ちよさそうだな」と大輝たちはその光景を羨ましそうに見ていた。特にエミュは。


 大輝はそんなエミュを一瞥した。こんなに日が経っているのに、エミュが竜化できる兆候が見えない。大輝はそのことが歯痒くて仕方なかった。


 その時、水中から大きな反応が浮上してきた。この反応はまさか!?


 大輝は咄嗟に走り出すとセレネに向かって叫んだ。


「セレネ!下だ!」


「え?」


 大輝の声を聞いたセレネは言われた通り下を見た。すると、その水面には巨大な影があり、そして、その巨大な影は今にも浮上しようとしていた。


「間に合え、超加速(ブースト)!」


 大輝はセレネに向かって大きく飛び出すと足元から火属性魔法と風属性魔法を組み合わせたまさにジェットというべきものを噴射して勢いよく空中を飛び、セレネのもとへ向かった。


 水中から飛び出したのは先ほど見たワニで、そのワニは巨大な口をさらに大きく開けてセレネを捉えると一気に口を閉じ始めた。


「.....え?......嘘。」


「おらあああああ!」


 大輝はセレネのもとに辿り着くとお姫様抱っこの形で抱きかかえ、今まさに閉じようとしていたワニの口からスレスレで抜け出した。


 そして、そのままの勢いで向こう岸まで飛んでいく。


「ふぅー、危なかった。」


「......ごめん、不注意だったわ。」


「いいよ、別に。無事だったからな。」


 大輝はセレネにニコッとした笑みを見せた。おそらく安心させるために見せた笑みなのだろう。だが、セレネはその笑みがやたら印象的に見えた。


 それから無事に向こう岸まで辿り着くとセレネを降ろした。


「あんた、飛べたのね。」


「いや、あれは勢いを使って『跳んで』いるだけだ。実際には滞空はできない。......ま、いずれは飛べるようになりたいけどな。」


 そう言うと大輝は反対岸にいる仲間たちに手を大きく振って無事であることを伝える。セレネはそれを見て心配させたことに罪悪感が湧き、改めて大輝に感謝を伝えた。


「さっきはありがとね、助けてくれて。」


「まあ、勇者だからな。」


「......どさくさに紛れて、私の太もも揉んだでしょ?」


「な、ナンノコトヤラ.....。」


「この変態勇者が!......まあ、これはさっきのことで不問にしてあげる。」


「それは助かる。」


「今、自白したわね.....ったくもう。」


 セレネはニシシと笑う大輝に呆れたため息を吐いた。ほんとにこんな勇者で大丈夫なのか。


「あんたを好きになる、なんて相当のもの好きね。」


「......なんだ?急に。」


「べっつに~。」


 そう言うとセレネは他の仲間たちがこちらへ来ている姿を眺めた。大輝はなぜセレネがそんなことを言ったのか考えながら、仲間が来るのを待った。

文章が滅茶苦茶になっていたことをお詫び申し上げます。


評価、ご感想、ブックマークどしどし募集中です。


それではまた次回

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