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第32話 聖女と二人目の幼女

またまたヒロインとサブヒロイン登場です。

 クラッカートを出発して馬車に揺られることしばらく、大きな白い建物が見えてきた。そして、周りを囲むように高い外壁に、その外壁から伸びる薄い膜。


「「「おおお~!」」」


 大輝、エミュ、ドリィはまるでロードオブザリングばりの巨城に思わず簡単な声を上げる。そんな絶賛おのぼり三人に香蓮が説明し始めた。


「ここが私たちが召喚された聖霊国アイリス。女神アイリスを崇める宗教国家よ。可愛い服や美味しい料理もあるし、人当たりもいい人達ばっかだからすぐに居心地が良く感じると思うわ。」


「薄い膜っぽいのあるよな。あれって?」


「あれは結界よ。主に魔物除けと外から迫て来た敵の侵入を防ぐらしいわ。」


「へ~。なるぼどな。」


 そして香蓮達が門番に紋章の入ったレリーフらしきものを見せるとついに聖霊国アイリスへと入国した。見る限り中世のような感じだ。だが、入ってとすぐに目についた光景はほとんどの家々の外装が白いことだ。いつだか地球にいた頃にテレビで見たスペインのフリヒリアナのような感じだ。

 人々は賑わい、活気がある。ここら辺は最初にいた村と変わらないかもしれない。ただ、人口規模が違うだけで。


 それから、馬車はその国の北側に向かった。外から見えたあの巨城がある場所だ。その際、通った城下町の中心街の賑わいは想像を絶していた。ほとんどお祭り騒ぎであった。そして、その人々を見ていると頭に動物の耳や腰あたりから尻尾が生えている人たちがいた。......あれはもしかしなくても獣人か!?やべぇ、あの耳と尻尾にすげー触れてみてぇ!


 大輝のボルテージは先ほどからうなぎ登りだ。 


 しばらくすると、目的地にたどり着いた。馬車を降りると真っ白い修道服を着た美少女とその左右にこれまた美人な女性が出迎えてくれた。


「はじめまして勇者様。私がこの国の聖女であるミリア・フォールン・アイリスだよ☆年は15歳で特技は女神様と交信することだよ☆私のことは是非ともミリアちゃんって呼んでね☆」


「.........。」


「み、ミリア!?どうしちゃったの!?」


 まるで小学生の女の子が好きそうなアニメのような、キャピっといった音が幻聴で聞こえてくるような機敏な振り付けをしながら、左手を腰に右手をピースの形にしてそれを右目に近づけながらあざとさが全面に伝わってくるポーズをした。


 大輝はあまりのことに唖然。香蓮はミリアの突然の行動に困惑!どうやら普段はこうではないらしい。


「........。」


「........。」


「.................。」


「.................えっと、その―――――――――」


「な、なにも言わないでください。.......うぅ.......。」


「.......はい。」


 誰が一体こんな残酷なことをしたのだろうか。聖女ミリアは恥ずかしさのあまり顔を覆ってプルプルと震えてる。大輝はふと後ろを振り返ってみた。すると俊哉と目が合い、ススッと目線だけを逸らした。......なるほど、全てを察したぞ。大方お前の入れ知恵だな。おそらくだがそう言えば、俺への印象はバッチリとか言っといたんだろ?確かに可愛い子は好きだ。だが、いくら可愛くてもあざといのは苦手だ。......だから、後で一発、聖女の代わりに俺の拳に殴られろ。


 大輝はギロっと俊哉を一瞥する。俊哉は目線は逸らしているが手を合わせて謝罪のポーズはしていた。「だが、殴る」そう心に決めた大輝は聖女に向き直すとできるだけ自然に聖女を本題へと移るよう促した。


「そ、それじゃあ、俺が勇者な訳だけどこれからどうすればいいか教えてくれない?」


「そそそ、そうですね。そうしましょう!では、私について来てください。」


 ミリアは未だに顔を赤らめながらそそくさと前を歩いていく。その後をついていった大輝たちは応接室と呼ぶには相応しくないほど大きな部屋にミリアと大輝が互いに向かい合う形で座りあい、他のメンバーがミリアと大輝の間にある机を囲うような形で座る。


 そして、ミリアは一つ咳払いをすると話を始めた。


「とりあえず、勇者様が無事でよかったです。いない時は本当に焦りましたから。」


「......なんか迷惑かけて申し訳ない。」


「大丈夫です。こうして会えましたから。それとアイリス様の代わりに私も謝らなければなりません。」


「......?」


「勇者様がなにやら持っていたものに驚かれて勇者様だけ召喚時の座標がズレてしまいまして、それについてアイリス様は詫びの一つも入れてないということで。」


「........??」


 大輝は頭から多くのはてなマークが生えた。迷惑かけたのはこっちだし、仮に俺が普通に召喚されなかったのが女神様のせいだとしてなぜそれをミリアが代わりに謝る必要があるのか。


『メッセージを受信しました。』


「......!」


「どうしました?」


 大輝は突然頭の中で流れた言葉に思わず驚いた。ミリアは怪訝な顔で大輝を見るが、大輝は「ちょっと待ってくれ」とミリアに伝えるとすかさずステータス画面を開いた。するとステータス画面の一番下に「メッセージ1件」と書かれた項目があった。大輝は指を動かしそれを開いてみると―――――――――


『ごめんね、手元くるちゃったテヘペロ(*''▽'')/』


「......。」


 ......なんだろうか。言いたいことが溢れて逆に出てこない。とにかくわかったことはこの女神様は随分と軽いということだ。しっかり顔文字までついてるし。つーか、なんで顔文字なんて知ってるんだ?


「......アイリス様からなにか来てるんじゃないですか?」


「良く分かったな。」


「アイリス様と勇者の皆様達には特殊なパスがあると聞きますからね。......ちなみになんと書かれていましたか?」


 聞かれたことに大輝は偽りなく答えた。するとミリアはまたプルプル震えだすとササッとソファから立ち上がり、そこから土下座した。


「本当に申し訳ありません。我らが主でありながらこのような扱いを!」


「え、え、ちょっと待て土下座はいいから。」


「いいえ、勇者様にこうするのは当然のことです!」


「待て待て待て、俺への視線がとんでもないことになってるから、俺のために立ち上がって!」


 それからも大輝は叫びながら必死に説得した。なぜなら周囲から「女の子に土下座させる鬼畜野郎」といった視線がビシバシと投げち蹴られるからだ。その説得のかいがあったのか、ようやく立ち上がってくれたミリアは勇者業について話し始めた。


「まず、勇者様にはこの世界に仇をなす災悪を討伐してもらいたいのです。」


「なるほど。まあ、なんとなくは予想出来てた。俺はその最悪を各地を回りながら討伐して行けなばいいんだな?」


「本来ならばそうなんですが。ここに一つ問題があります。」


「......問題?」


「はい。ここらは香蓮様達にも話してないことです。」


 大輝は「そうなのか」といった視線を投げかけると香蓮達は肯定するように頭を縦に振った。ミリアは大輝が確認をとり終わったのを確認すると続きを話し始める。


「その問題とはアイリス様への信仰力にあります。」


 「それはあの女神様のことだからしかたないんじゃ」と思った大輝だがどうやらそんなことでは無さそうだ。ミリアの話によるとこの世界は長らく平和に暮らせていたらしい。だが、その影響で信仰力が失われてしまった。人々が祈るのは大抵が自身が、恋人が、家族などが危険にあった時にその身を助けてくれるようにとのことらしい。もちろん、普段から祈りを続けている人もいるらしいが、平和ボケと言えば聞こえは悪いがそのような形で信仰力が失われているらしい。確かにそう考えるとテストのときは困ったときの神頼みとばかりに祈ってたなと思わざるを得ない。そして、その信仰力の減少がなにに影響するのかというと女神様の力そのものに影響するらしい。そういうことで―――――――――


「どこに災悪が現れるのか現状では予知できないのです。ですので、現れてから対処するしかありません。ご理解をお願いします。」


「......。」


 ミリアがこういったのはおそらく俺が「最初に襲われる人を見殺しにするのか!」と言う可能性があることに対する対処だろう。この際、何と言われようともより多くの人を助けるために。そもそもこの召喚自体そういう意味合いがあったのかもしれない。


「.....そういうわけで、勇者様達にはここに留まってもらい、私がアイリス様より神託を聞いて伝えますので、そうしたら災悪の討伐をお願いします。アイリス様へ信仰力があがれば予知も出来ますのでそれまではどうか―――――――――――」


「それ以上は言わなくていい。ちゃんと理解したから。」


「.......はい、わかりました。」


「そんな辛気臭い顔すんなって、聖女(ミリア)なら笑顔で人々を元気にするのが仕事でもあるだろ?......討伐に関しては俺たちに任せろ。だから安心してくれ。」


「......!......ありがとうございます。」


 大輝の言葉に少しだけ心が救われたような明るい表情を見せたミリア。大輝もその顔を見て微笑む。

 ミリアは「お疲れでしょうから、今日は早めにお休みになってください」と言うと大輝たちを城の入り口まで見送りに行こうとした。香蓮から聞いた情報だと現在香蓮達は城の近くの屋敷でシェアハウスをしているらしい。え、それなんのテラ〇ハウ〇?と大輝は思わざるを得なかった。これはどうやら「気を許せる人たちが一緒の方がいいでしょう」というミリアの計らいらしい。ということなので、今香蓮達は自炊生活をしているという。勇者とは一体......これはなかなかに考えさせられる。


「わらわを無視するでないのじゃああああああ!」


 そんなことを考えてると前方にある横道からキキ―と急ブレーキをかけて、一人のドリィと同じぐらいの背丈でドリィと同じような白を基調としたゴスロリを着て、きれいな金髪ストレートの幼女が現れた。ドリィはその幼女を見た途端これまでに見たことないほど嫌そうな顔をする。


「え、えーと、君は?」


「わらわはフラガラッハ、聖剣じゃ。やっと会えたの我が主様よ。」


「お、おう......なるほど。」


「なんじゃ、その適当な返しは......ん?」


 聖剣は大輝の反応を不満そうに頬を膨らませると大輝の近くに自分と似たようなドリィを見つけた。直感でわかるあれは魔剣だ。そんな聖剣に慄くように魔剣(ドリィ)は大輝のズボンをギュッと握る。


「あ―――――――!わらわの主様になんでこやつがいつのじゃ!?」


「あなたのものじゃないの!マスターはドリィの(契約者)なの!」


「お主、どうやって主様を謀った?」


「なにもしてないの!むしろマスターから来てくれたの!」


「何を―――――――!」


「なんの――――――――!」


 聖剣と魔剣は互いに手を取り合うと力比べをし始めた。そして、あっちへゴロゴロこっちへゴロゴロとしだいにキャット、否、キトゥンファイトというべきかそんな取っ組み合いを始めた。


 大輝はそれを止めようと必死だ。なぜなら後ろから「ロリコン野郎」とか「ロリコン勇者」とか囁かれているからだ。あの聖女(真面目ちゃん)やこの世界に来てから長く一緒にいるエミュですら、引き気味だ。香蓮やセレネなんて言い表せたもんじゃない。おい、俊哉、お前にそんな顔をされる筋合いはない。


 現在進行形で大輝の株が大暴落。「誰かこの状況をなんとかしてくれ!!」そう思いながら大輝は事態の収拾を図っていった。

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それでは、また次回

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