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第28話 魔剣の少女

サブヒロイン登場回ですね。

「エミュ、まだか?」


「もう少しだよ。」


 大輝がエミュに連れてこられた場所は森であった。それもそこそこ奥の方へ。


「ここだよ。」


「ここは......」


 到着した場所は簡単に言えば洞窟であった。見たところ何の変哲もない場所で、精霊の瞳で見てもなにも反応はしなかった。こんな場所に何があるというのか。するとエミュは無警戒でずんずんと洞窟に入っていった。大輝は慌ててエミュの後を追う。


「エミュ、ここに何があるって言うんだ?」


「魔剣らしいよ。」


「......魔剣?」


 魔剣ってあれだろ?魔法が付与された剣ってことだろう?まあ、漫画やラノベ次第では結構変わっていたりするが大体は合ってるだろう。ただ、ものによれば相当強力のはずだ。それが手に入るのか......いや、待てよ。あるって情報が出回ってるならすでに誰かに取られてる可能性もある。もちろん、デマの可能性もあるが。というかそもそもどこからその情報を仕入れたんだ?大輝はそう思うとエミュに聞いてみた。


「なあエミュ、その情報どこで聞いたんだ?」


「あ~、あの男だよ。ほら、あの女ったらし。」


「......なるほど。」


 ついにあのエミュまでラディウスを名前で言わなくなったか。まあ、それはさておきこの情報って確かクリスさん達が確かめてなかったっけ?


「あの女ったらしがね、この情報はかなり有力だからって言ってて大ちゃんとの再戦まで時間があるからその情報を確かめに行ったんだよね。でも、無かったんだけど。」


「......なら、なんでこんなところに来てるんだ?」


「なんか違和感がある場所を感じたんだよね。でも、それをあの女ったらしに伝えるわけにはいかなかったから黙っといたんだ......そう、ここ。」


 エミュに連れてかれた場所は小さな一室ようなところで祭壇っぽいものがあるだけで、他には何もない殺風景なところである。だが、感覚に優れているエミュが何かあると感じたならきっとそうなんだろう。大輝はエミュの感覚を信じると精霊の瞳を使った。すると祭壇の下から魔力反応を感知した。......確かにある。やはりエミュの感覚は正しかったな。大輝は祭壇まで行くとエミュに手伝ってもらって、祭壇を横に動かした。


「ゴゴゴゴゴッ」


 祭壇は石畳の擦れた音を立てる。すると祭壇の下には地下へと続く階段があった。


「ほんとにあったね。やっぱ、大ちゃんに話しておいて良かったよ。」


 エミュは嬉しそうに笑顔を見せ、大輝の近くに寄ってくる。それに対し大輝は思わず顔を反らした。勘違いならかなり恥ずかしいんだが、なんかここ最近というか今日特に距離近くないか!?まあ、俺得だからいいんだけど、ドキドキし過ぎてこれはこれで心臓に負担がかかるんだよな......。大輝は出来る限り意識しないようにしながら、空間宝物庫(ストレージ)から取り出した松明に火を灯すとそれを頼りに下に降りて行った。


 地下にたどり着くとその部屋のつくりは最初に見た部屋と同じだった。祭壇があるのも同じ。ただ、その祭壇の中心には台座があり、その台座には紫色を基調とした剣が刺さっていた。おー、あれが魔剣か。確かにザ・魔剣って感じだな。


『お前も力を求めに来たのか?』


「「!」」


 突如として、部屋の中に声が響き渡った。大輝は咄嗟に精霊の瞳をつかうとその声は魔剣から発せられたものだとわかった。......魔剣の名はドレインソード。そして自我のある剣。


 このタイプは下手に嘘つくのはまずいと感じた大輝はエミュに松明を渡して魔剣に近づくと正直に話した。


「.....そうだな、間違ってはいない。」


『ならば退け、我はお前を主と認めることはない。』


「それはどうしてだ?」


 大輝は思わず質問した。言い方は悪いが剣は道具だ。道具は使われてその存在意義を示す。だが、この魔剣は自らを使う相手を選別している。ということは相応しいものが現れなければ、いつまでも経っても自身は存在しないことになる。それは......自我のあるこいつにとっては寂しいことじゃないのか?


『我の使用者はみな戦いを欲し、血を欲し、勝利を欲している。』


「.......。」


『勝利を欲することはおかしいことではない。弱肉強食は自然の摂理。どの世界においても切り離せないもの。でも........我はもううんざりだ!」


「.......。」


 大輝はその言葉を黙って受け止めた。最後に発した言葉がきっと本音の部分なんだろう。何があったかは分からないが、あの魔剣の自我(こころ)は弱っている。


『人が恐怖する声、人が絶望する声、人が狂う声!どれもこれもうんざりだ!.....だから我は問う『お前も力を求めるのか?』と。その答えで我は判断する。我は食材を切る包丁ぐらいで丁度いいのだ。......まあ、魔神によって作られたこの()......もとよりその選択肢は無いがな。」


 魔剣の声は段々弱弱しくなり、悲しくなっていった。大輝もどこか胸に来るものがあった。おそらくこの世界にも大きな大戦とかがあったのだろう。そしてその時により力を欲した者がその魔剣を手にし、多くの人を殺していった。その時に聞いた声は今の俺だったら発狂ものだろう。それを想像すれば確かにもう戦いとして使われるのは嫌だろう。......だが、それでも――――――――――――


「なあ、俺は人を殺さないと言ったら信じてくれるか?」


『無理だな。同じような言葉を使って裏切られた。......だが、何故お前は力を求める?理由はそれだけでは無いのだろう?』


「そう......だな。お前の言う通りだ。......俺は、お前を一人にしたくないと思った。」


『.......。』


「俺はお前にもっと楽しい景色を見せたいと思った。もっと面白いことを教えたいと思った。だから、俺はお前を欲する!俺はお前が欲しい!俺と一緒に来てくれ!」


『......そんな口説き文句は初めてだな。』


 しばらく沈黙が流れる。その間、大輝は嘘偽りないことを目で訴え続けた。すると魔剣が口火を切る。


『そ、そんな見つめるでない!......わかった、お前の言葉を信じよう。おそらくこれで最後になるかもしれないがな......。』


「なら、俺が嘘つかないようになにかつけるか?ほら、呪いとか。」


『お前本気なのか!?』


「本気だから言ってるんだろ?お前が欲しいって。」


『うぅ.....わかった。こっちへ来い。』


 魔剣はなにやらうろたえた声を上げつつも大輝をこちらへ呼び寄せた。そして自身の柄を大輝に握らせる。


『思いっきり引き抜け。』


「おらああああ!」


 気合一発。大輝はグッと台座に刺さっていた魔剣を引き抜いた。その瞬間、眩い光に包まれた。大輝とエミュは咄嗟に手で目を覆った。すると魔剣から発せられた威厳のある声ではなく可愛らしい幼女の声がした。


「契約成立っと。」


「......え?」


「可愛いぃぃぃぃ!」


 大輝は思わず目を見開く、そのあまりのフォルムの違いに。魔剣、否、幼女は小学5年生ぐらいの大きさで、魔剣と同じ紫を基調としたゴスロリに、銀髪のツインテール、そしてメイドがつけそうなカチューシャをつけている。その幼女にエミュは大興奮。そういえば、エミュってなにかと可愛いもの好きだったよな。


 大輝はふと先ほどの魔剣に言ったセリフを思い出した。......あれ?魔剣→幼女に切り替えた瞬間、俺とんでもないこと口走ってないか?完全に「お前が欲しい」って言ったぞ!?幼女を俺が!?大輝は思わずのたうち回って発狂したい気持ちをグッと飲み込んだ。ただ、顔は真っ赤だが。


「それではマスター、右手首を見てなの。」


「お前、そんなしゃべり方だったか?」


「ふふん、威厳あったでしょなの。でも、あれ普段は疲れるからしないの。それから、『お前』はやめてなの。」


「ああ、すまん。名前は.....ドレインソードでいいんだよな。」


「そうなの。」


「でもなぁ......。」


 大輝はう~んと考える。その名前は長いから出来れば呼びたくない。なら短くして、尚且つ女の子っぽい名前の方がいいよな。ドレインソード......ドレイン......ドレィ.....ドリィ!これがいい!


「なあ、この手首のあざがマスターつまり契約者の証ってことだろ?」


「そうなの。」


「なら、マスターとして命ずる。お前の名はドリィだ。ドレインソードは長いからな、短く呼びやすい名にした。よろしくな、ドリィ。」


「よろしくね、ドリィちゃん。」


「......マスター。」


 ドリィは少し頬を緩める。無表情な魔剣()だと思ったがそうでもないようだ。まあ、信頼を積み重ねるのはこれからだな。


「ねえ、ドリィちゃん。ギューッとしてもいい?」


「......!」


 ドリィはエミュの存在に気づくとある一点を二度見した。心なしか目の感情を失っているような。ドリィは一歩後ろへ下がるとエミュが一歩前に足を進める。


「ドリィちゃ――――――――ん!」


「く、来るな巨乳!なの!......ぎゃああああああぁぁぁぁ!」


 大輝はエミュの胸にうずめられるドリィを見て、女装していた自分がリズベットに抱きしめられている構図と重なっていることに気づいた。そして、大輝はぐったりとしているドリィを見てそっと「ごめん」と呟いた。

それではまた次回

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