閑話 変わりゆく気持ち
今回はちょっと休憩です。
私は森の中でずっと一人だった、ずっと孤独だった。でも、寂しくはなかった。だってこれは自分で決めたことだから。何年、何十年、何百年もの日々が過ぎても私はただ強くなるために、誇りを取り戻すために魔物と戦い続けた。
そんな時、私は油断して大蛇に襲われた。大蛇自体は大した相手ではなかった、だが体に打ち込まれた毒には耐性が無くてすぐには動けなかった。その大蛇は頭も良かった。私が初めに打ち込まれた毒に慣れてきたことに気づくとすぐさま新しい毒を打ち込んできた。
私の体は毒に負け始め、徐々に衰弱し始めた。そんな時だった。
『こっちだ蛇野郎!!俺を捕えたかったら、こっちに来てみやがれ!!!』
見知らぬ少年の声が聞こえた。少年は大蛇を挑発するように言うと私から大蛇を引き離してくれた。私はそのうちに体の中で耐性をつくるとあの大蛇の臭いを追った。
私がたどり着いたときには大蛇は頭を粉砕して死んでいた。おそらく、あの少年が殺ったのだろう。見た時には全く戦闘力を感じなかったがどうやったのだろう、それにあの見たことない服。私はこの時少し少年に興味を持った。
とにかく走り回って少年を探すとぐったりしていた少年を見つけた。少年が落ち着くのを確認してから話しかけた、すると少年は月島大輝というらしい。しかも名の方が大輝。名前自体ここらでは聞いたことはないのに、さらに名の方が下に来る。いったいどこから来たのだろうか。そう思うと私はまた少し興味が湧いた。そしてまたこの時点で私は大ちゃんと呼ぶことに決めた。
話していくと私はぽろっと自分が竜人族であることを言ってしまった。大ちゃんはとても驚いていたが、恐怖するようなことはなかった。ただ、私は詮索されるのを恐れて話を無理にそらしてしまったが。
それから大ちゃんは私を冒険に誘ってくれたが、私はその話には乗れなかった。私はここに居続けなければならない理由があったから。でも、大ちゃんとはいろいろと話してみたいと思った。だから、お礼もかねて大ちゃんを森の出口へと送るまでは一緒に行動した。
大ちゃんと話しているとともに行動しているといろんなものが新鮮に感じた。ずっと一人だったから人恋しくなってたのかもしれない。でも、やっぱり楽しかった。
ある時、私のドジで思いっきり吹き飛ばされ湖に落ちたことがあった。そして、湖から上がるとふと大ちゃんにどうして竜人族の私を恐れないのか聞いてみた。すると大ちゃんはこの世界とは違う世界から来た言う。正直、あまりピンとは来なかったので大ちゃんの話におざなりに返してしまったが、大ちゃんの名前といい、服装といいでなんとなく納得した。
すると次期水の精霊王のウンディーネ様に出会った。いろんんことがあり、私はウンディーネ様の計らいで悩みを打ち明けることにした。そして話し終わると少しだけ楽になった。ただ、大ちゃんとの冒険の終わりがあることを感じて少し悲しい気持ちにもなった。でも、終わらなかった。ウンディーネ様は私に告げた。
『エミュちゃん、視野を広げてきなさい!』
そしてまたウンディーネ様は今の私には心の余裕がないとも言った。だから、竜化できないのかと私は心の中で思った。それから、私は大ちゃんとウンディーネ様の勧めで大ちゃんと冒険を続けることに決めた。......きっとこの選択が私のターニングポイントだったんだと思う。
大ちゃんとともに村を訪れると全てのものが新鮮に映った。多くの人も風景も匂いもその全てが。私がずっと森に閉じこもっていたことが馬鹿らしくなるぐらいに。大ちゃんは私にこの光景を見してくれた、それだけで感謝の念が湧いた。
それから全てが面白く、楽しかった。人も食べ物もクエストも。言葉が上手く出てこないけどとにかくそれが全てだった。ただ、時折大ちゃんが他の女性と話していると嫌な気分になることがあったけど。
そんな時、ラディウスが現れた。私はラディウスが直感で受け入れられなかった。そして、それは態度や言葉遣いからもはっきりした。
ラディウスは私に近いづいてくると私の手の甲にキスをした。それに私は思わず寒気がして、大ちゃんからも握られたことない手を最初に握られたことに腹が立った。でも、それ以上に腹が立ったのは大ちゃんが私のために用意してくれたプレゼントを目の前で壊されたことだ。その行動は簡単に私の怒りの沸点を振り切って、思わず殴りかかろうとしてしまった。だけど、それは大ちゃんに止められた。
大ちゃんは人を殺すことを嫌がっていたから、「どうして止めたのか」と思うところもあったけど、今思えばあの時止めてくれなかったら確実に殺していたと思う。たとえあの男が嫌なやつであってもそれだけで殺したら、竜人族の誇りが汚されていたかも知れなかったから大ちゃんの行動は嬉しくもあった。
大ちゃんはラディウスに私のために決闘を仕掛けて負けてしまった。とても悲しくはあったが、まだ諦めてはいなかった。ラディウスと過ごしたあの一週間は最悪だった。竜人族でも女ったらしはいたがそれでも女の人をまるで道具の一部のような扱いはしてなかった。
あの男は醜かった。そして連れ添っている三人も酷い扱いを受けてるのに喜んでるのが気持ち悪かった。一日でもこの日々が過ぎることを祈り、またクリスさんに言われた通り私は大ちゃんを信じ続けた。
そして訪れた運命の日。私はただ両手を握りしめ勝負の行方を見守った。大ちゃんとラディウスの戦いは熾烈を極めた。そして、大ちゃんが戦いに勝利した。
私は嬉しくなって思わず大ちゃんを抱きしめた。そして思わず涙が溢れてしまった。そのときわかったあの時のルナの言葉。
『もっと自分のそばに居て欲しいって感じね。』
私は今もこれからも大ちゃんがそばにいて欲しいってもっともっといっぱい冒険したいって......大ちゃんが好きなんだって。その時、私が竜化できないことが嬉しかったのは内緒の話。
ねえ、大ちゃんもっと私に新しい景色を見せて、もっと新しいことを教えて、もっと新しいことをかんじさせて。
大ちゃん......大好きだよ。
これまでのエミュの心境の変化に触れて書いてみました。上手く書けているでしょうか。もう少しで新章が始まります。お楽しみに!
それではまた次回




