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第22話 男の意地#1

「う~ん。う~~~~~~~ん。」


 大輝はいろいろなものを見比べながら唸っていた。どれが一番似合うのかと。

 大輝は今ピアスやネックレスのようなアクセサリー店に訪れている。そばにエミュはいない。サプライズプレゼントなので、いても困るのだが。それにしてもなぜ大輝がこんなところへ訪れているかというと特に深いことはなく単純な話で、エミュに日頃の感謝をこういう形で表した方がいいと思ったからだ。......ということ自体実はルナとシューレイの入れ知恵だったりするのだが。


「う~~~む。」


「お客さん、彼女にプレゼントかい?」


「......!まあ、そんなところです。」


「今のところネックレスとピアス、髪留めを見てるけどどれにするつもりなんだい?」


「それが悩みどころなんですよねー。」


 正直、エミュがどのアクセサリーをつけても似合う。少し男向けになる竜っぽい装飾のネックレスだってエミュは竜人族であるから喜んでくれそうだし、エミュは髪があまり長くないのでふとした時に見えるピアスも何気にありだと思う。それに留めるタイプの髪留めで前髪の位置を少し変えるだけでもエミュなら印象が変わってそれはそれで良くなる気がするし、髪を縛るタイプのものであれば、エミュの頭にちょこんと短い尻尾ができてそれはそれで可愛らしい。う~~~~~む、悩みどころだ。


「そういえば、お客さん。予算は考えてるかい?」


「......あ。」


 大輝は思はず呆けてしまった。しまった、肝心なことを忘れていた。大輝は急いで自分のへそくりを確認してみる。......す、少ない。思ったより全然ない。大輝は過去の記憶を探ってみた。前は確かにもっとあったはずなのにないというのは必ずどこかで使ったはずだ。........あ。


「あああああああ~~~。」


「ど、どうしたんだいお客さん!?」


 店主が心配そうに声をかけるが、がっくりと膝を落とした大輝には聞こえていない。そうだ、1週間前の肉フェスの時に2次回行ってたんだった。そしてその時、酒も入ってたこともありボス級を討伐したこともありで手に入った金で豪遊していたんだった!あの時の金さえあれば、一番いいアクセサリーだって買えただろうに!


 そう現状今の大輝にはこの店の一番安いものしか買えない。後の祭りだと分かっていてもあの時の自身の行動を呪った。それから、自身の不甲斐なさにため息を吐きながら立ち上がる。せめて安くてもその中で一番いいものを探さねば。


「う~む。」


「よ、良かった。立ち直したかい。」


「ご迷惑かけてすいません。」


 店主の心配の声に大輝は丁寧に受け答えをすると再び品に目を通した。......今のところ候補は二つ。黄色の花柄の髪留めか少し青みがかった水色の雫が付いた髪留めか。安いので髪留めしかなかったのは悲しいが、これは自分の行動のせいなので文句など言えるはずもない。それにしても、どちらが良いだろうか。大輝がエミュがつけているのをイメージしながら考えた。


 花柄のやつは留めるタイプの髪留めであるので、目に髪が入らなくて済むし、基本的に華が咲いたような笑顔をするのでそのイメージにも合う。水色のやつは縛るタイプの髪留めで、こっちは髪を縛ったエミュが見たいという願望が入ったものでもあり、そしてエミュは時折髪を耳にかけるしぐさがあるのでその手間が省けるとも思うものでもあり、雫という形はともかく色はエミュの髪の色に近いものでありで似合うと思う。......う~~~む。これはこれで悩ましい。


 しばらく悩んだ大輝は雫の形をしたほうを選んだ。できるだけ公正公平に選んだつもりだが少しばかり自身の願望が入ったような気がしなくもない。だが、もちろんエミュが喜んでくれることを願って選んだものだ。そして大輝はそれを買い上げるとエミュがいる冒険者ギルドに向かった。


**********************************************

「はあ~。」


「エミュ、どうしたの?浮かない顔して。」


 エミュは顎を机につけながらだらーと不満とも見える顔をしている。ルナはなんとなく分かってはいるけども一応聞いてみた。エミュはむくっと起き上がると口火を切る。


「私の大ちゃんがの目移りが凄いんだよね~。」


「あ~、それは私たちの男どもも変わらないから安心しなって。......それにしても()()ね~。」


「そうですよ。そんなもんです。未だに卑猥な本を回し読みしてますしね。」


「え~、そうなの!?」


「あ~、分かるわ~。私たちの男どもだってね、――――――――――――」


 この場に大輝やリューク、ラドフ、そして他の男性冒険者がいたらきっといたたまれなく、居心地の悪いこと間違いなしの話ができるのはこれが女子会だからである。ルナやシューレイの言葉に他の女性冒険者が各々の反応を言葉にして表す。どこも不満というものはあるようでそれなりの盛り上がりをみせてた。


「......でもやっぱり戦闘になるといてくれると助かりますよね。」


「まあね。でも、エミュの方だとどっちかっていうとエミュがメインで戦闘してるんじゃない?ほら、エミュって竜人族だし。」


 今更だが、肉フェス以降エミュが竜人族であることは問題なく受け入れられた。もともと偏見を持ってる人が少ないことあり、エミュの人柄もありで、むしろ竜人族というレア人種をこんな村で見られるということで人気になった。


 エミュは少し唸りながらこれまでの戦闘を振り返る。思い出すと自分よりも大輝の方が前線に立っていることが多い。


「ううん、やっぱ大ちゃんの方が多いかな。」


「へ~、案外男らしいのね。大輝のやつ。」


「うん、カッコいいよ。」


 そういうとエミュは明るい笑顔を見せ、エミュの背景にはパッと咲いた花さえ見える。この花が咲いた笑顔を見せるのは大概大輝の話をしてる時で、エミュはそのことに気づいていない。「まったくいつになったら気づくのやら」とルナとシューレイ、他の女性冒険者が思うのはいつものことである。......ちょっと気づかせてみせようか。


「エミュ、大輝が話しかけてきたらどう思う?」


「う~ん......やっぱ嬉しいかな。」


「じゃあ、知り合いの女性だったら?」


「それは別に何とも思わないかな。」


「最後に、全然知らない女性だったら?」


「......それはちょっと嫌だな。」


 ルナやシューレイ、他の女性冒険者は思わずニヤニヤしてしまう。それは分かりやすいほどにエミュの表情が変化しているからだ。ここまで感情に表して、しかも自分で「嫌だ」と言葉にも表しといて未だに気づいてないとは。


「......エミュ、それを嫉妬っていうんだよ。」


「嫉妬?」


「「「「「あちゃ~、そこからか~」」」」」


 この場にいるエミュ以外の全員ちょっとした嘆きに似た声が出た。それを見てエミュは怪訝な顔を浮かべている。まったく純粋すぎて逆に危ないわ。


「エミュ、『嫉妬』というのはね。簡単にいうとさっきエミュが嫌だなって感じたことそのものよ。もっと自分のそばに居て欲しいって感じね。」


「なるほどね~」


 エミュは相槌を打つもあまりピンと来てない感じだ。ルナはそれを見て苦笑いする。これはエミュが竜人族だからだろうか、それとも単に疎いだけだろうか。どちらにしろ、気づくのはもう少しかかりそうだ。


「おーい、エミュはいるかー。」


「お、まったく噂をすればなんとやらってやつね。」


「ふふっ、そうですね。」


「ん?なんの話だ?」


「あんたの話よ。」


「........?」


 大輝は怪訝な顔をしながらもエミュに姿勢を向けた。そして空間宝物庫(ストレージ)からエミュに渡す予定のアクセアサリーが入った袋を取り出す。


「なになになに、もしかしてプレゼント?」


「え!?そうなの!?」


「ちょ!?ルナ!?」


 ルナの突然すぎるネタバレに焦る大輝。おい!ルナ!黙ってるって言ってただろ!?ルナは「大丈夫大丈夫」というがホントだろうか。大輝はその言葉を信じて袋から髪留めを取り出そうと――――――――


「やはり、臭うなここは。さすが田舎の小規模ギルドということか。」


 大輝はふと手を止め声のする入り口を見た。そこにはいかにもチャラそうなイケメンの冒険者が三人の女性を侍らせていた。そしてそのイケメンは鼻を摘まみ臭うというジェスチャーさえしている。この時点で空気が随分と悪くなった。

 そんな中大輝は冷静に相手を見定めていた。わかることはこいつは俺より強い。装備でもわかるが、闘気というのかそんなのが伝わってくる。だから、他の冒険者も嫌悪感は全開に出してるのに何も言わないわけか。


 イケメンは「ここら辺だと思ったんだけどなー」と思いながら周囲を見渡すとある一人を見て動きが止まった。


「見つけた。僕の女神様を!」


 イケメンはずかずかと歩き始める。まるで他の人は空気みたいに見向きもせずに。そして大輝を押しのいてエミュの前で膝まづき、エミュの手をとったかと思うとその手の甲にキスをした。


「「!」」


 大輝とエミュは衝撃的な行動に目を見開き、エミュは咄嗟に手を引く。「恥ずかしがらないでよ、女神様」と言いながらイケメンは立ち上がる。


「さあ、女神様。こんなむさ苦しいところにいないで僕とともに行こう。」


「おい、ちょっと待て。」


「ふーむ、もしかして名残惜しいのかい?ああ、なんて慈愛に溢れてるんだ。それこそ僕の女神さまだ。」


「おい!聞こえてんのか?」


「誰だ耳障りな声を出すのは。」


 清々しいほどのアウトオブ眼中に大輝は思わず荒々し声を上げる。その声でイケメンはやっと反応してくれたようだ。周りの女性はなんで見過ごしてんだ。


「俺だ。」


「ふん、お前のような雑魚がなんの用だ。」


「俺の仲間に変なまねすんのはやめてもらおうか。」


「......大ちゃん。」


「......変なことだと?」


 イケメンはなにか不味いことでもしたのかという顔をした。マジで気づいてないのか?イケメンだろうといきなり手の甲にキスするなんて許せるはずがない。


「僕は女神に最大の敬愛をもって答えただけだ。それに君のような雑魚が女神さまを相棒だと?ふんっ、うぬぼれも大概にしろ。」


「........。」


「.......ん?なんだそれは?」


「おいてめぇ!何すんだ!」


 そういってイケメンは大輝がもっていた袋を取り上げると中身を確認した。大輝は取り返そうとするがイケメンの取り巻きに止められる。イケメンは中身を見ると鼻で笑い袋を床に落とした。そして―――――――――


「パリンッ」


「.......!」


 イケメンは床に落ちた袋を足で踏み潰した。確実に中身が割れた音がした。エミュは思わず殴りかかろうとする!だが、大輝はエミュの前に手を出すとエミュを制止した。


「大ちゃんどうし.......て......。」


 エミュは口ごもった。それは今までの大輝では考えられないほどキレていたから。大輝は睨みつけるようにイケメンを見た。


「おいおい、これは冗談じゃすまねぇぞ?」


「冗談だって?もとより済ます気はないから安心しろ。」


「そうかよ、クソイケメン。」


「ふん、僕のことを嫌ってる割には随分と褒めてくれるじゃないか。」


「俺は正直者なんだよ、だがその言葉を聞いて俺も安心した。」


 ここで大輝はガっとイケメンの胸ぐらを掴む。


「俺と戦え!」


 大輝はギルドに響き渡る声で宣戦布告した。

エミュをもっと可愛くしていきたいのにまだ文章力が足りませんね。頑張ります。

それではまた次回

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