第12話 装備を整えよう
「なるほど、そういうことだったのね。それなら構わないわよ。」
「私も異論はありません。ちょうど空き部屋もあることですしね。」
「ま、ここ借家だけどな。」
「あんたは相談もなく勝手に決めたことを反省しなさい。」
「いふぁふぁふぁ、ふねるなよー(いたたた、つねるなよー)」
少女は大輝が経緯を話すとその言葉を疑わず信じてくれた。どうして信じてくれたのか聞くと見る目には自信があるとのことらしい。
時と場所が変わって大輝たちはリュークが言ったようにリューク達パーティが住んでいる借家にいる。それから机を挟んでリュークの仲間と向かい合っている。ちなみに、すでに冒険者登録は済ましている。
そして現在正座させられているリュークはさらにそばで椅子に座っている仲間の少女から頬をつねられている。それに大輝は「まあまあ」と言いながらなだめる。少女は気を取り直すと改めてこちらに挨拶してきた。
「それじゃ、これから一緒に住むことになるなら自己紹介しなきゃね。私はルナ・アリアドネ。ルナで構わないわ。そしてこのパーティでシーフをやってるわ。」
「私はシューレイ・クルアトル、僧侶です。シュリで構いませんよ。クエスト以外は普段教会の方にいるので私に尋ねたいことがありましたら教会に来られれば会えますよ。」
「俺はラドフ・ガルドス。俺もラドフと気軽に呼んでくれ。ちなみに俺は戦士だ。」
「そして俺様がリューク・カイザだ。このパーティのリーダーで戦士だ。ぜひとも俺様のことはリューク様と―――――――――――。」
「ギロッ」
「......呼ばないで、ラドフと同じでリュークと気軽に呼んでくれて構わない。」
ルナに睨まれると蛇に睨まれたカエルの如くリュークはたちまち小さくなっていく。なるほど、だいたいこのパーティの上下関係(主にリュークとルナだが)が見えてきた。だが、なかなかに良いパーティだと思う。ギクシャクしてないし、言いたいことを遠慮なく言えてる感じが。これは良い出会いをしたな。
大輝はチラッとエミュを見る。エミュは大輝の視線に気づくとニコッと笑う。エミュもこのメンツを気に入ったようだ。
「ニヤニヤニヤニヤ」
「「!!」」
気づけばルナがニヤついており、シューレイは微笑ましい表情を浮かべ、そしてリュークとラドフの目つきは怖い。
ルナはパンパンと手で音を二回鳴らすとリュークとラドフは一切の無駄のない動きで酒を持ってきた。......ん?酒?......また酒!?
「さーて、あなたたちの関係のあることないこと根掘り葉掘り聞かせてもらうわよ。」
「いや、ないことは話せ――――――――。」
「ってことで今日は飲むわよ~~~~~!」
「「「おおおおおおお!!!」」」
「「え、ええ!?」」
そして半ば強制的に始まった宴は深夜まで続いた。
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「昨日は楽しかったね。」
「そうだな。少なくともしばらく酒はいいかなと思うぐらいはな。」
「それにしてもほんとにいいのかな?」
「まあ、いいんじゃねえか?あいつらも言ってたし。俺たちは初心者冒険者な訳だし、先輩冒険者のあいつらの話聞いておいた方がいいと思うしな。それに返せるように頑張ろうぜ。」
「そうだね。」
大輝とエミュが話していることは大輝とエミュがこれからクエストに出るために必要な装備をリューク達が買ってくれるというのだ。なんて親切な人たちなのだろか。この借りた金は必ず返さなければ。
それから大輝たちはリューク達からもらったお金を片手に装備屋に着いた。店頭には高そうな装備が並んでいる。ここに来るまでにエミュから大体のこの世界のお金のことは聞いていて日本とほぼ同じなのはわかったので、この装備がいかに高いかよくわかる。たとえるならこの装備でフェラーリは買えるだろう。まあ、これを置いてるのはこういう高いのも扱ってますよというアピールだろう。
「あらん、ボォーイとガァールじゃない。それに見たことない顔ねぇん。私は店主のカマルス・ニューワールド。ぜひともカマちゃんと呼んでぇん。」
「おっふ。」
「ふふっ、あんたも感嘆の息を漏らしてしまうにねぇん。私って罪な女。」
「........。」
はっきり言おうめちゃくちゃ苦手だ。凄まじい身の毛がよだつ恐怖に襲われる。絶対カマとわかる見た目でタンクトップにゴリゴリ筋肉......悪いが吐きそうだ。名前にもカマが入ってるし。......とっとと済ませてしまおうか。
「ジ――――――――――。」
「.......!」
全身に警音が鳴り響く。な、なんで見られてるんだ!?あの視線は間違いなく俺の全身をなめ回すように見ている。大輝は思わず身をよじらせ全身が見られないように隠した。
「ふふん、隠さなくてもいいじゃなぁい。ただあなたのスリーサイズを測っていただけよぉん。あ、でもあなたにその気があるなら―――――――――。」
「ありません!!」
「あらそう、残念ね。」
な、なんなんだこのバケモンは。話してるだけでゴリゴリとSAN値と体力が削られていく。に、逃げたい。もう帰りたい。大輝の精神はだいぶ弱っている。
とりあえず右も左もわからない大輝はもらったお金をカマルスに預け、装備を見繕ってもらうことにした。
数分後
「おお!」
大輝は身に纏った装備を見て思わず感嘆の声をあげる。ブーツとか初めて履いたが履き心地は案外悪くない。このローブも着ただけなのに一気に冒険者感が増したな。それに......
「大ちゃん、どうかな?」
エミュはくるりと一回転しながら大輝に感想を求める。「似合ってる」と言いたいがなぜかうまく言葉にできない。大輝はしどろもどろになりながらも口にする。
「すげーいい!」
「そっか、ふふっ」
大輝はとにかく「良かった」と伝わるように全力のサムズアップを加えた。エミュは微笑みながらもう一度一回転する。大輝にはなぜかその回転が先ほどよりゆっくりに見えた。もちろん感覚的な問題なのだろうがエミュの背後にまるで花畑のような背景が幻視出来た。見惚れてしまうのはしかたがない。
そして大輝とエミュはカマルスにお礼を言うとその店を後にした。
「それじゃ、時間もあるしクエスト行ってみるか。」
「うん、どんな感じか楽しみだね。」
大輝は左手で腰に携えた剣に触れながら、冒険者としての仕事に期待を膨らませていた。
漫画アプリで読める漫画呼んでると欲しくなって困りますね(笑)あー、金が足りない(笑)
それではまた次回




