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第9話 エミュと冒険#6

「―――――――というわけです。」


「なるほどね。」


「........。」


 エミュは語り終えると少し表情が明るく見える。もしかしたら、誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。だが、そんなペラペラと言える内容でもない。そんな葛藤がエミュの中にあって、ずっとエミュを苦しめていたのかもしれない。


 ウンディーネは優しい笑みを浮かべる。


「それで今のエミュちゃんは何をしているの?」


「......今は竜化になるためにとにかく修行しています。戦っています。心を強くするために。」


「......修行ね。エミュちゃんが40年間ずっとここにいるのはそういう理由だったのね。」


「気づいていたんですか!?」


「まあね、私の国はこの森を統括しているから。」


 そうは言いながらもウンディーネはエミュの回答に不満そうな顔をする。

 大輝はエミュが語っているときもそうだったが、少し時間間隔に酔っていた。エミュが何歳なのか実に気になる。


 ウンディーネは小さくため息を吐くとエミュにビシッと人差し指を向ける。


「エミュちゃん、視野を広げてきなさい!」


「視野?」


「ええ、そうよ。エミュちゃんはちょっと.......いえ、普通に頭が固いわよ。」


「そ、そんな!?」


 エミュはその言葉を聞くとのけぞる様に驚いた。「なんだこのコテコテのやり取りは」と大輝は思わず苦笑いするがエミュの明るくなった顔がなんだか嬉しかった。


 ここで大輝は良いことを思いついた。前にエミュにした提案、今もう一度やったら上手くいくのではないか?やらなくて後悔よりやって後悔。いけぇ俺ぇぇぇ!


「エミュ、あの時俺が提案したこと覚えてるか?」


「提案?......あ、『一緒に冒険しないか?』ってやつ?」


「そう、俺、エミュと一緒に冒険したいんだ。」


「...........。」


「それとさ、俺、エミュが竜化できるように手伝いたいんだ。」


「!......部外者なのに?」


 エミュは一瞬驚くような表情をしたがすぐに真面目な表情に戻す。そして、大輝にあえてきつい言葉を浴びせた。自分の都合に大輝を付き合わせたくないようだ。大輝は思わず唾を飲み込む。ここでエミュに取り繕うような、たとえ優しい言葉であっても嘘をつくようなことはしたくない。偽りない本心語らねば。


「そう......だな。エミュの言う通りだ。でもさ、エミュの言葉を聞いてたら助けてやりたい、力になってあげたいって思ったんだ。......俺は『必ずエミュを竜化できるようにしてあげる』みたいなイケメンっぽい言葉は言えないけど、俺はエミュにこの場所であったことが何かの縁だと思ってる。だからって訳じゃないけど俺はエミュを助けたい。」


「.........。」


「あんた、説得下手ねぇ~。」


「しょ、しょうがないじゃないですか。こんなこと初めてなんですから。」


 大輝の説得術にウンディーネは苦言を呈する。そんな苦言に大輝は噛みついた。とはいえ正直自分が何て言ったか緊張であんまり覚えていない。支離滅裂になっていないか、嘘っぽく聞こえてないかとても気になる。ウンディーネはそんなそわそわしている大輝を見て「しょうがないわね。」といったため息を吐くとエミュにそっと聞く。


「エミュちゃん、あなたの気持ちはどうなの?」


「......大ちゃんの言葉はとても嬉しい。だけど――――――。」


「エミュちゃん!!......あなたの偽りない本心を聞かせなさい。」


 未だ本心を隠そうとするエミュにウンディーネは一喝の一声を言い放った。それからエミュに優しく諭す。エミュは両手を握りしめ、唇を噛みしめ今にも泣きそうな顔になるのを堪えてる。そして静かに言う。


「......こんな私がわがまま言っていいんですか?」


「いいのよ。今この場にエミュちゃんの言葉を遮るような奴はいないわ。......それにね、私さっき言ったよね『視野を広げなさい』って。今のエミュちゃんは心に余裕がないのよ。」


「......心の余裕?」


「そう、私の個人的な意見だけど、エミュちゃんいろんな新しいもの見るの好きでしょ?私の料理見た時も目を輝かせてたしね。だからね、エミュちゃんは大輝と一緒に冒険していろんなものを知ったり、見たり、触ったり、とにかくたくさんの経験をすれば、きっとどこかに竜化ができる手掛かりが見つかると思うの。......あとはもう少し自分を許すことかな。」


ウンディーネはそういいながら大輝にサムズアップする。大輝は歓喜の表情をし、そのまま敬服した。この忠誠をあなたにイエスマイロード。

 

 エミュは何かを決めた顔をすると今まで伏せていた顔をあげた。


「わがまま言っていいのなら、私は旅に出たい。大ちゃんと一緒に冒険したいと思います!」


「良く言ったわ、エミュちゃん!それでこそ私の子よ!」


「うぷ、うんぶぃーめやま、やめれくらさい(※ウンディーネ様、やめてください)。」


 ウンディーネはエミュに近づくと豊満な胸に言葉通り我が子を愛でるように押し付け、抱きしめた。エミュは困り顔をしながらも声色は嬉しそうだ。なんとも羨ま――――ゲフンゲフン、美しい光景だ。これは脳内フォルダに保存しとかなければ。


 エミュはウンディーネの胸から離れると、大輝の方を向いた。大輝もエミュの方を向き、互いに向き合うような形になった。エミュは少し恥ずかしそうにする。それが妙にかわいく見えて大輝は思わず赤面しかける。


「大ちゃん、急に考え変えてごめんね。」


「全然問題ねぇよ。」


「不束者ですがよろしくお願いします。」


「!......ああ、よろしくな。」


 エミュはキレイなお辞儀をした。大輝はどことなく同棲し始めで若妻が挨拶しにきたような言葉に聞こえてしまい思わず想像してしまった。咄嗟に大輝は腕を使って顔を隠す。だが、耳が真っ赤でバレバレだが。


「大ちゃんどうしたの?」


「い、いやなんでもない/////。」


「エミュちゃんと冒険出来るのが嬉しすぎるのとエミュちゃんが可愛すぎて照れてるのよ。」


「そっか、ふふっ、そうなんだね大ちゃん。」


「全部言わないでくださいよウンディーネ様ぁ~。」


 そしてそのまま丸一日宴は続いた。

ウンディーネ「大輝、あんたって意外と初心ね。」


大輝「それが何ですか?」


ウンディーネ「ってことは、どう―――――。」


大輝「それだけは言わせねぇよ!?」


それではまた次回

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