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ぷるりんと異世界旅行に、  作者: wawa
断崖の牢獄~トラヴィス山脈
23/75

** 焦点 **


 出演

 20歳女性 2016年行方不明者(捜索中)

 29歳(自称)男性 液化球体化合物 青色

 ?歳男性 職業不明 


*********





 『メイさん!』


 

 「!?」


 

 (あり得ない)


 グイッ。


 (魚人の急襲の現場にも間に合わなかった。トラーでさえ、今の俺たちの位置の把握に刻をかけている。・・・チッ、足が、動かない。メイだな)

 グイッ、グイッ。


 『待ってって、言ったのに、』


 「・・・・・・・・、メイ、今は駄目だ、」


 (・・・・うそ、やっぱりあれ、サエグサさんじゃない?)


 ぼそ、

 「各国での重要な交渉の最中、信じられない間の悪さにおまえは登場し、大切な刻を無駄にしたことは大目に見よう」


 (そうだよ、こっち来る、ん?ぷるりん何か言ってる)


 ぼそぼそ、

 「だが過去にガーランドでは、欲深く甘味に執着して俺を妨げ、エスクランザに攫われた実績がある」


 (エスクランザに、攫われた?ああ、去年の、)


 ぼそぼそ、

 「そのエスクランザでは公衆の面前で下衣を脱ぎ捨て足を曝し、女性としてはあるまじき愚かな行動をとった」


 (・・・・・え?これは私に対する、説教?)


 ブツブツ。

 「あれは本当に、女という性別を主張したいのであれば、やってはいけない。一庶民だろうが、貴族とか、王族とか、天上人だとかは、全く関係ない。お前の婚約者であるオゥストロも、アリア皇子だって、あの緊迫した状況にお前が下半身を剥き出しにフラフラと現れて、部下の手前もあり頭を抱えたはずだ」


 (私が?下半身を剥き出しに?いつそんな、変態露出狂みたいなハレンチな行動をとったって?)


 グチグチ。

 「次に南方でのことだが、ヴェクトとの、命のやり取りの最中にしゃしゃり出て、お前のなんだかよく分からない主張のために、俺に冷や汗をかかせた」


 (魔人との対決?なんなのだ、昔の話をくどくどと、今はそんな場合じゃな「あとファルドでは、」


 (・・・・、・・・・、・・・・、)


 グチ・・・。

 「いや、やめておこう。つまり言いたいことはだな、今回は、間抜けなお前は出てくるなということだ。わかったな?」


(・・・・、・・・・、・・・・、・・・・、・・・・、・・・・・・・・。)



 「絶対に、出て来『出てって!!!』




 「!」

 タッタッタッ『え!?』




 『どっか行って!!!』



 (・・・・。)


 『え、あの、』オロオロ、キョロキョロ。


 






 言い方や声色そして音声調節により、聞き手に与える印象はがらりと変わる。それをモラルハラスメント(悪口)ととるか、年長組(人生の先輩)のありがたい教えととるかは聞き手に一任される訳なのだが、聞き手の気持ちになって、相手を傷付けない言葉選びが必要となってくる。


 今回の結果は、受け取る側が怒りで返し、発信者側に退出を迫り、身になる教え聞かせとはならなかった。


 更には放たれた怒りによる退出希望を、全く無関係の第三者が受信してしまったことにより現場は混乱し、双方に深い溝を作ってしまったという、大変悪い一例でもある。




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