** 焦点 **
出演
20歳女性 2016年行方不明者(捜索中)
29歳(自称)男性 液化球体化合物 青色
?歳男性 職業不明
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『メイさん!』
「!?」
(あり得ない)
グイッ。
(魚人の急襲の現場にも間に合わなかった。トラーでさえ、今の俺たちの位置の把握に刻をかけている。・・・チッ、足が、動かない。メイだな)
グイッ、グイッ。
『待ってって、言ったのに、』
「・・・・・・・・、メイ、今は駄目だ、」
(・・・・うそ、やっぱりあれ、サエグサさんじゃない?)
ぼそ、
「各国での重要な交渉の最中、信じられない間の悪さにおまえは登場し、大切な刻を無駄にしたことは大目に見よう」
(そうだよ、こっち来る、ん?ぷるりん何か言ってる)
ぼそぼそ、
「だが過去にガーランドでは、欲深く甘味に執着して俺を妨げ、エスクランザに攫われた実績がある」
(エスクランザに、攫われた?ああ、去年の、)
ぼそぼそ、
「そのエスクランザでは公衆の面前で下衣を脱ぎ捨て足を曝し、女性としてはあるまじき愚かな行動をとった」
(・・・・・え?これは私に対する、説教?)
ブツブツ。
「あれは本当に、女という性別を主張したいのであれば、やってはいけない。一庶民だろうが、貴族とか、王族とか、天上人だとかは、全く関係ない。お前の婚約者であるオゥストロも、アリア皇子だって、あの緊迫した状況にお前が下半身を剥き出しにフラフラと現れて、部下の手前もあり頭を抱えたはずだ」
(私が?下半身を剥き出しに?いつそんな、変態露出狂みたいなハレンチな行動をとったって?)
グチグチ。
「次に南方でのことだが、ヴェクトとの、命のやり取りの最中にしゃしゃり出て、お前のなんだかよく分からない主張のために、俺に冷や汗をかかせた」
(魔人との対決?なんなのだ、昔の話をくどくどと、今はそんな場合じゃな「あとファルドでは、」
(・・・・、・・・・、・・・・、)
グチ・・・。
「いや、やめておこう。つまり言いたいことはだな、今回は、間抜けなお前は出てくるなということだ。わかったな?」
(・・・・、・・・・、・・・・、・・・・、・・・・、・・・・・・・・。)
「絶対に、出て来『出てって!!!』
「!」
タッタッタッ『え!?』
『どっか行って!!!』
(・・・・。)
『え、あの、』オロオロ、キョロキョロ。
言い方や声色そして音声調節により、聞き手に与える印象はがらりと変わる。それをモラルハラスメント(悪口)ととるか、年長組(人生の先輩)のありがたい教えととるかは聞き手に一任される訳なのだが、聞き手の気持ちになって、相手を傷付けない言葉選びが必要となってくる。
今回の結果は、受け取る側が怒りで返し、発信者側に退出を迫り、身になる教え聞かせとはならなかった。
更には放たれた怒りによる退出希望を、全く無関係の第三者が受信してしまったことにより現場は混乱し、双方に深い溝を作ってしまったという、大変悪い一例でもある。




