西から来た賢人 **
出演
18歳男性 南方共和国真存在地集落 北方大猿村
西方大陸調査隊 地質学者
35歳男性 南方共和国真存在地集落 熊牙村
プルム港安全保安部 職員
25歳男性 南方共和国真存在海集落 鮫牙村
プルム港安全保安部 職員
28歳男性 南方共和国真存在空集落 鷹鳶村
プルム港安全保安部 職員
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〈なんでなんでー、なんで僕の荷物だけ、検閲されるのー!?〉
〈あんただけじゃない。北から船で来る、大猿の荷物は、ここでみんな検められる〉
〈なんでえ!〉
ガサッ、〈・・・これ、これは何?〉
〈お土産だよ!みんなが気に入ったら、北方から大量仕入れの交渉する予定!ねえ、少し食べてみてよ、美味しいの!〉
くんくん〈血のように赤いが、何かの果肉か?〉
ふんふん〈陽の実の匂いがするね〉
すんすん〈他にも何か、混ざってるな〉
〈そうだよ。丸くて赤い、陽の実をすり潰して作るんだよ。いろいろ保存のために薬味も入ってる。北方は寒い日が多いから、この実を育てるのが大変なんだ。だからとても高価なんだよ〉
ーーぺろり。
ぴりっ!〈!!!〉
ぞわぞわぞわっ!
ぺろり〈!!〉ペロペロ、もぐ、ごくり。
ぞわぞわぞわぞわぞわぞわっ!!!
〈鷹鳶さんもどうぞ!〉さっ!
ヒヤリ、〈俺は、要らない〉
〈なら俺がもう少しいただこう〉もぐ。
〈ね、美味しいでしょう?癖になるでしょう?その酸味。少し味気ないものに乗せると、葉物でも肉類でも、なんでも合うの〉
ペロペロ。
もぐもぐ。
〈・・・・〉
〈鷹鳶さんには申し訳ないけど、鳥の卵をね、フワフワに焼いた上にね、この赤いのを乗せたら、すごくすごく美味しいんだよ!〉
〈!、卵に?〉ビクッ!
〈卵に・・・〉モグッ!
〈ふわふわの卵に、〉もぐ、ごくり。
〈(卵は)やらないぞ。〉ギロッ!
〈ね、美味しいよね!〉にこりっ!
〈間違いない。アレだ〉
コクリ。
〈白色、酸味のある真魔に続く、赤色の真魔〉
コクリ。
〈鹿猿と守熊には、絶対に見せてはいけない〉
コクリ。
〈〈〈・・・・・・・・〉〉〉こくり。
〈没収〉
〈なんでえっ!!!〉
魔米酢に続く血野富。南方大陸の住人の食欲を高める血の赤色は、赤い野菜を加工した北方大陸人気の調味料の一つである。酸味のきいたこのソースは様々な食品の味変に役立つのだが、残念ながら、輸入持ち込みは禁止され、検閲所にて全て回収されてしまった。
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出演
18歳男性 南方共和国真存在地集落 北方大猿村
西方大陸調査隊 地質学者
17歳男性 南方共和国真存在海集落 鯆鮫村
情報部員 大海域特派員
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〈・・・・・・・・そういえばね、こっちの皆にお勧めのお土産を、港の管理人にとられたんだよ、〉
〈お土産?〉
がっかり。
〈酸味があって、赤色の美味しい調味料。北方では今すごく人気なの〉
・・・・。
〈親子そろって、おかしな物を南方に運んでくるなよ。あんたの一族が前に、北方から持ち込んだ白色の調味料、アレで森が枯れちゃって、地長が心労で毛並みがボサボサになったって、奥さん部会で問題になってたから〉
???
〈親とかそんな昔のこと言われても、それを持ち込んだのは僕じゃない。草木を食べ過ぎの鹿猿たちが悪い。それに僕が持ってきた物は、白色じゃなくて赤色〉
〈〈・・・・・・・・〉〉
〈お前はほんと、それを、今やるの?ってゆー、びっくりするほど余計な事をすることがあるからな。変なこと、やめてくれ。〉
〈そういえば、ガーランドの港でね、なんだか竜騎士かピリピリしてたんだけど、この情報、買う?〉
この後、南方大陸において諸外国の情報を売り買いする青年は、世界的終末の危機を日々想定妄想し、その対策を研究し続けている、西方のド田舎からやって来た学者の青年により、びっくりするほど余計な内容を掴まされる。そしてマスコミ業界で働く青年は、このびっくりするほど余計な内容を各地に配信してしまい、世界各国はじわじわと混沌の渦に巻き込まれていく。




