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絵の中に在る  作者: 中野あお
3.私たち/彼ら
12/38

3-③

 部長である久嶋はこの日を待ちわびていた。

 そういうと大げさかもしれないが、サークルとして一年で三番目に大きなイベントなのだ。一番は学園祭、二番は展示会である。

 少なくともここ数週間、彼女の頭を悩ませていたことは確かだろう。他の二つのイベントとは異なりここでの成否は今後一年のサークルを大きく左右することとなる。その意味では失敗できないのだ。


 副部長以下、他の三回生も同じ気持ちで会った。

 幹部学年などと呼ばれることもある彼女たちはサークルの中心なのだ。各々思うところは色々とあり、他のサークルと掛け持ちをしている者もいるが新歓にはできるだけ顔を出していた。中心として行う二回生よりも時間の調整がつきやすい分、そこに割ける時間は多かった。


 当然、今日が成功するかどうかというのはこれまでの新歓が成功したかどうかにかかっているのだから二回生の面々も頭を悩ませていた。

 彼らにとっては初めての新歓であり手探りで新入生と話さなければいけないからである。先輩から軽く指南を受けていると言っても実際やってみると上手くいっているのかわからない。

 それ故に、彼らも今日何人の新入生が来るのかを心配していた。


 一見すると心配していないような四回生の面々も新勧の結果を気にかけてはいた。

 あまり積極的に新歓には参加できていないとは言えども、これまで所属してきたどのような人が入って来るか気にならないはずではない。それを少しゆったりとした立場から見ていることができるというだけであって、気にかけていないわけではないのだ。

 残りの一年だからこそ良い人を迎えて過ごしたたいという想いが彼らの中にはあるのだろう。


 誰もが緊張する中、十八時を迎えた。



「もう扉の前に何人か集まってるみたいだけど。」


 戸田がそう呟く。

 彼女が扉の外を確認したわけではなく、扉の外で待っている二回生からの報告を受けての発言だ。


「じゃあ、時間になったし始めますか。準備は良い?」


 久嶋の問いかけに対する返事は決まっている。ただの確認だった。

 彼女が勢いよく扉をあける。


「お待たせしました。今から顔合わせを始めます。」


 扉の前に待っていた新入生は五人。全員久島にとっては見たことがある顔だった。新歓に来ていない人がいるはずもないので当然だが。

 待っていたのは女の子が五人。そこに朝居の姿はまだなかった。

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