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畜産センターの強敵

 猪の家畜化という事で、猪専用エリアには兎用エリアとは違う工夫がなされている。


 まず、大きめの水場、そして沼である。

 猪は綺麗好きという事で、体にノミやダニがいる事を嫌う。そのため、ノミやダニを落とすために泥を全身に塗りたくり、木でこすって泥ごと害虫を落とすという行動を取る。

 沼が無いと猪にストレスが溜まり、肉質が悪くなるのではないかと危惧したのだ。


 その行動に因んで、林も用意した。

 ドングリが主要な餌という事で、樫・楢・柏のどれかは知らないけど、ドングリを作る木を大量に植えてある。ヨーロッパでは餌をドングリに固定することで豚の品質を高めるといった育て方をしている事もあり、上手くいけば良質な牡丹肉が手に入るのではないかと期待している。

 もしも肉の臭みがそのままであんまり美味しくない豚肉――じゃない、猪肉だったらドングリは自分たちで食べる為に回収するとしよう。人間だってドングリを食べるんだからね。わりと美味しいし。


 という訳で、猪の飼育エリアは半分以上がドングリ林になっていて、林の中で山芋を、平地にカブなどを植えている。

 カブや山芋が未熟なうちに食べられないよう、農業エリアは柵を使って囲っている。ある程度育ったら柵を撤去するけど、それまで待て猪ども。ジャンプ一発で1mの木柵を飛び越えるんじゃない。そして穴を掘るな。トンネルを作るな。そこまでして山芋やカブを食いたいのか貴様ら。



 正直なところ、この方法は猪の事を考えてではない。必要に駆られての配慮である。

 最初は日本の畜産農家のような豚小屋を用意してみたのだ。

 しかし、豚小屋はその日のうちに倒壊。猪の圧倒的突進力によって完膚なきまでに破壊された。猪は助走距離が短くともトップスピードを出せる瞬発力があり、小さな小屋に収まる器ではなかったのである。


 他にも、餌を与えようとすれば餌係が怪我をするリスクが高く、容易ではないとか。

 猪の体を洗おうにも暴れるだとか。

 普通の養豚の常識が全く当てはまらない。仕方が無いので、兎と違い、半ば放し飼いの状態なのだ。





 それでも、猪を育てるのにはリスクが付き物だ。


「うわぁぁぁーーっ!!」

「部下Aぇぇーー!!」


 猪エリアのカブの様子を見に行った部下Aが、猪に撥ねられた。まぁ、保護の魔法を使っているから怪我はしないんだけど。叫んでみたのはお約束というやつである。

 このように、猪のエリアにいるだけで怪我をしかねない状況だ。今は俺がフォローしているが、どうにかして猪を躾けないと、畜産としては成功できない。


 牙を折った。

 まだ駄目だ。


 半分ほど、雄を去勢した。

 大人しくなった。

 ただし雌は去勢できない。半分以上の猪は凶暴なままだ。



 さて、他にどんな方法があるかね。

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