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品種改良

 栽培方法の改善は大きく躍進したが、更に上を目指すのが農家として正しい姿である。

 今後も何らかの改善が出来ないかを検討し、試験していくべきだろう。

 当面は昼夜の温度差による甘味増加がどの程度の期間は効果があるのかの確認と、水の質による変化の調査かな。甘味成分は水に溶けだしやすいし、水に色々と混ぜ物をしてから与えるのと、そのまま与えるのとでは変化があるのか。?また冷たい水を中心に与えた場合とぬるい水を与えた場合では? 調べる事は多岐にわたる。





 ここまでは今ある作物に対するアプローチだ。

 対して、より甘味の強い甜菜を求めるのにはもう一つのアプローチがある。


 品種改良だ。


 品種改良には「遺伝子組み換え」のようなものと、「交雑」――他の種類とのかけ合せ――による新種の創造と、「突然変異」によって生み出された種を品種として確立する手法と、同じ品種でも優秀な遺伝子を持つものを選び続ける「選別」、大まかにこの4種類がある。


 遺伝子組み換えは絶対に無理だとして、他3つの方法から俺たちは品種改良を行っていくことになる。



 分かりやすいのは「選別」だ。

 たとえば麦畑の中で最も形が良く多くの実りを付けた穂を探し、その麦から採れた実を次の種蒔きに使うやり方。平均から突出した最善を、次世代の平均にしてしまうやり方だ。

 これについてはすでにやっている。去年育てた小麦や大麦、カブ(甜菜)はすでにそのようにしていた。

 ただ、カブについては甜菜であると思わなかった事から、甘味に関する選別はしていない。単純に同じ期間で大きく健康に育った物を選んだからだ。今度は甘味のテストをするべきなんだけど……どうやればいいんだろう?



 交雑については近くにアブラナと、そう思っていたモノがあるのでこれを()ぜてみようと思う。

 交雑は人工授粉で確実に雑ざるようにしたいので、他よりも厳重に隔離した場所で育てる必要がある。……ガラスハウスとか、な!

 で、そうやって雑ぜて出来た種は品種にばらつきが出る。たとえ同じ甜菜から採れた種たちでも、同じような次世代が生まれるわけではない。育ち方から棲み分けを行い、品種として確立するまで10世代は付き合わねばならないのだ。数年がかりの作業になる。



 そして突然変異については、今のところ確認できていなかったりする。

 栽培種というのは荒野に生きる雑種と比べると突然変異が容易に発見できる。周囲に同じ品種が育つ中、たった一つだけ異端な物が育っていれば目を惹くからだ。比較対象が近くにたくさんあると目立つのだ。

 しかし、現在はそんな突然変異種が見つかっていない。こればかりは運によるものなのでしょうがないと言える。


 だが、俺には魔法がある。魔法で突然変異を起こさせればいいのだ。

 具体的には紫外線照射と異種交配だ。

 光の中から紫外線のみを抽出し、束ね併せて対象に浴びせる。すると相手の遺伝子に異常が生じ、突然変異種になる、はずなのだ。放射線が用意できればいいんだろうけど、放射性物質(そんな怖い物)を用意するのは嫌だ。だから紫外線だけでいい。


 異種交配による突然変異は、回復魔法を使った生物融合である。もっとも、魔法の無い現代でも「接ぎ木」という一般的技法として確立された、ありふれた技術にすぎないが。魔法によって安定してそれを行うだけである。

 異種交配で生じる新たな生命はキメラと呼ばれ、元になった生き物からかけ離れた特性を持つことがある。その中に元の品種よりも甘味成分を強く生み出す品種が出来れば万々歳。


 問題は突然変異種は安定しないという事か。次の世代が生まれない事すらあり、一世代限りの品種になりかねない。





 何はともあれ、選べる選択肢があり、できる事があり、それを成そうとする意志がある。

 ならばやるだけであり、迷う事は無い。

 変な物が出来たとしても魔法でチェックできるし、早々困ったことにはならないと思う。


 ならないよな?


 フリじゃないぞ?

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