春祭り(上)
村にサヴが常駐することになったが、彼女は基本的に温室に入り浸りだ。
温室の中でしか育たない植物が気に入ったらしい。まだまだ小さな、ほんの数㎝の木の何を気に入ったのか。
とりあえず、もし何かやらかしたらたとえサヴでも容赦しないけどな。カカオは一日で育つわけじゃないのだ。
他にも風力洗濯機とか気にしていたけど、あれはコピーするの、難しいと思うぞ?
サヴに言われて神々を祀る祠を作ったけど、意外にもお祈りしていく人が多かった。
「や。さすがに人間じゃどうにもなんない所は神様頼みっすよ?」
サヴの所の神様は商売の女神なんだけど。農業や漁業関係ないけど。とにかく神様だからって祈っていくようだ。
祠とか無ければ無いで気にしないけど、あれば祈りたくなるらしいね。
神様だって、小さな村の一つ一つまでフォローするはず無いというのに。
それでも縋り祈りたくなるのは、人の本能なのかねぇ。祈る暇があったら自分の手でどうにかする手段を考えるか、俺に相談するかすればいいと思うけど。
ただ、神様を否定するのではなく、神様を有効活用していく方向性で考えてみたいと思う。
具体的には春のお祭りとか。
豊作を神様にお願いする名目で騒ぐのは悪くない。
ご馳走を食べて、酒を飲んで、「YUUSYA」で暴れて。
うん、悪くない。
「いや。最後のは余計っすよ」
「私も要らないと思いますよー」
はい、駄目出し貰いましたー。
いや。「YUUSYA」はクリア者が出るまで数年かけるのが当たり前だから。今年もクリア者が出なくても不思議じゃないから。
休日――は与えてないから、仕事の終わりにちょっと特訓して、それで挑戦4~5回目にようやくクリア者が出るだろうって難易度だから。
「セガール、悪い事は言わない。やめといた方がいいさ」
「……時代を先取りしすぎたって事か」
「ああ。そういう事さね」
悲しい事に、俺の理解者はいなかったようだ。
それでもそれ以外の種目はそのまま行うとして、新しい事はブチ込む時間が無いから色々と現状維持。
新しいイベントは来年の楽しみというか目標って事で、そのうち企画しよう。
もうすぐ夏だけど、豊作祈願の春祭り。
始まるよー。




