婚約者、決まる
新しい問題、発生。王都から特使が来た。
俺に婚約者ができました。それも、10人ほど。
もともと、この世界では結婚という概念が現代日本とは全く違う。
人権という考え方が無く、女性の人格が認められておらず、財産の個人保有に関しても国の都合で簡単に取り上げられる程度の物でしかない。
結婚とは上司が命令して行う者であり、恋愛感情といった甘い考えなどは危険思想扱いされるレベルだ。
国と家の都合が優先され、貴族位を得た俺であってもそれは例外ではない。むしろ、貴族だからこそより強固に縛られる事になる。
ただなぁ。
俺の結婚騒動はあと2年は引き延ばせると思っていた。
なんちゃって貴族の男爵であり、領地が開拓中で安定しておらず、なによりもまだ若いから。
今生の俺の年齢は13歳。
知識チートと魔法チートで目立ってしまった、「元」ただの子供ですが何か?
もともと結婚には何の感情も抱いていないので、婚約者ができた事はあまり気にしていない。
俺の生活を侵害しない程度に分を弁えてもらえればそれでいい。
ただ、相手の身分というか、所属が問題だ。
陛下の娘から2人。
2大貴族から3人。
その他国内の貴族から3人。
他国の王族から2人。
「俺はどこの大物だよ!」と言いたいが、魔法チートを考えるとそこまで間違った話ではないのが面倒くさい。
少なくとも国内の連中だけでなく俺の戦闘能力を知っている他国の奴らからすると、戦略級魔法兵器である俺との敵対は絶対に避けたいと思うだろう。都市一つに魔法攻撃を仕掛ける馬鹿が俺以外にいるなら話は別だけど。少なくとも王国がそんな奴に攻撃されたという話は聞いていない。
婚姻外交はいつの世も基本なので、人質や枷とか鎖として有力者の娘を結婚相手を差し出すのは不思議じゃないけど。やり過ぎだろ。
いきなり王族とか、マジでないわ。
婚約は話がまとまった段階で、これから本格的に動くみたいだ。家財やら身の回りの世話をする奴隷やら、婚礼の準備があるので、その婚約者がこっちに来るまであと1年あるらしい。
その間に色々と考えておく必要がある。
ガラス細工はこの世界でも一般的に普及している技術だし、あまり正しくはないが肥料も基本的な考えはある。
他所の人間がこの村に来たとしてもそこまで驚くことは無いと思う。事前情報として俺の魔法チートを聞いているなら、ちょっと変わった村扱いで済む。
……。
…………。
んなわけあるかぁ!!
それで通るなら特使相手に催眠で防寒用のアパートや温室を隠さんわ!
ヨカワヤとか、秘密を守れる相手以外にばれると不味いだろ、どう考えても!
いろんなところで同じことをやれって言われたら、次に進む時間が無くなるし!
はぁ。
もう情報検閲とか、いろいろと制限を付けるしかないよね。ここで相手の人格とか権利とか考えてはいけません。
基本、自分優先。
もう数年あればできる事も増えるし、その間は嫁さんたちを束縛しよう。
俺を恨んでもいいけど、ついでにこの結婚を決めた連中も恨んでください。




