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船は来年

 滑空機と飛空機の研究目的で継続的に収入が入るようになったが、それよりも大きいのは人の流れである。

 物流があれば外部の情報が手に入るため、わざわざ王都に人を送らなくてもいいんじゃないかという気になってきた。


 シュクレ村という温泉村に、外の人間という公平な目の持ち主が来るからである。



 物資を運ぶ人間は、グラメ村から船に乗ってプルヌス村で一泊し、シュクレ村までやってくる。

 そのため3つの村を流れ者の目で比較できる。


 グラメ村は大きく、最も発展している事は間違いない。だが、王都のそれには劣る、らしい。

 プルヌス村はまだ発展途上だ。開発し始めたばかりである。であるが、基本的な施設はちゃんとそろっているし、そう大きな不便は無い。

 そしてシュクレ村の売りである毎日入れる温泉は、他の誰から見ても異常であり、とても素晴らしいものだと多くの人間が絶賛する。


 定住するとなると、今のように夏ではなく冬になると、きっと評価は大きく変わる。

 しかし今のところは、どこに住みたいか、どこに長居したいかと言われればシュクレ村が一番人気である。



 ……グラメ村が王都より評価が低いのはしょうがないが、一番じゃないのは悔しいが、これからも頑張れば済む話である。

 基本、交易路から外れたグラメ村を大きくするには、水周りだけでなく物流にもテコ入れしないと駄目なんだがな。





 季節が流れて夏になったが、島の方は、船の建設はまだまだである。

 人をそれなりに投入しているが、木材の伐り出しが終わってもしばらく寝かさないといけないので、それを短縮する俺が来るまではどうしても出来る事が限られるからである。

 今は予想される資材の確保と言う事で、ひたすら木を伐っているだけだ。


 俺は月に一回ぐらいは顔を出しているが、その時に丸太を使えるようにするため、水抜きを行っている。

 船大工たちはそうしてようやく製材に入れるのだ。



「今年は無理っすねー。1隻目の完成は来年の春以降っす。2隻目以降はもっと早くなるけど、5隻揃えるのは来年の秋っすねー」

「分かってる。焦らずに頼むよ」

「うっす!」


 船大工と話してみたが、工期を短縮するのは難しく、どうやってもあと1年はかかると言われた。

 爺さんらがキャラック船を造った時はもう一ケタ多い人員を投入していたからな。差が出るのはしょうがない。


 ここまで来て、人を焦らせて変なミスをされるのも嫌だし。

 気を落ち着けてゆっくり待とう。

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