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王都の新年祭(報酬)

 嫌な仕事だったけど、報酬はきっちり貰う。

 お金があるに越した事は無いのだ。



「うんうん。これで多くの民が飢えずに済む。ようやってくれたなぁ」

「はいはい。世辞はいいから早く報酬ちょうだい」

「よしよし。この爺がとっておきの報酬を上げるからなぁ」


 俺の頭を撫でる手を無視しつつ、さっさと報酬を寄越せと右手を出す。

 すると公爵は嬉しそうに笑い、鈴を鳴らして使用人を呼んだ。


 見えなくとも傍に控えていたのだろう、すぐに現れた使用人が俺に二つの袋を渡す。

 金貨と……なんだこれ?


「片方は金貨じゃよ。あとでちゃんと数えるんじゃぞ?

 もう片方はな、この爺が延命のために取り寄せた神の飲み物。その材料じゃ」


 渡されたのは黄色い果実。ラグビーボールのような、20㎝ぐらいのそれに、俺は心当たりがあった。


「シャオブローマと言ってな、現地の蛮族どもは「神の食べ物」と呼ぶ果物じゃよ」


 これはおそらくカカオの実。

 チョコレートの材料だった。





 クソみたいな気分になる嫌な仕事だったが、得られた報酬はとてもとても素晴らしい物だった。

 カカオは病気になり難く、成長が早い。桃栗三年というが、カカオは4年。結実率が低いと言われているが、そもそも花の数が多いので気にする事じゃない。

 実はどうでもいいとして、種はカカオパウダーやカカオバターになるのでどれだけあってもいいと思う。


 難点を一つ挙げるなら、カカオは亜熱帯の植物と言う事だ。

 俺のグラメ村のような北国の植物ではないという事で、ちゃんと育つかが問題となる。

 公爵も自領で増やせないか試したが、すべて失敗に終わったらしい。


 もう一つ付け加えるなら、公爵は利用法を詳しく知らないようだ。

 種を飲み物にするところまでは知っているけど、苦いだけの飲み物だからもう要らないのかもしれない。俺もカカオバターと飲み物以外の利用法は知らなかったりするのでそこまで大きく違わない。


 チョコレートを作りたいけど、牛乳や砂糖が無いし。

 甘くてエグイ、家畜の飼料、テンサイはどこですかー? 乳牛なんて贅沢は言わないから、雌牛が欲しいんですけどー?



 せっかくのカカオだけど、俺はそれを活かせない状況のようである。育てるのは温室を作る気でいるが、その先の展望が足りない。

 砂糖と牛乳が安定して手に入るよう、早く領地が発展してくれればいいんだけど。


 無理だよなー。

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